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【すごい博物館001】インターメディアテク:東京大学の歴史が詰め込まれた芸術的博物館!

科学好きにオススメ 大学関連施設 東京駅すぐ近く 無料


■インターメディアテクとは

2023年9月に訪問

JR東京駅の南側には、かつて東京中央郵便局の5階建てビルがありましたが、その後、外観を残したまま38階建てのJPタワーが建設されました。

このタワーの下層階にあるブティックやレストランが入ったオシャレな商業施設「KITTE」の2階と3階を利用して、平成25年(2013年)に東京大学総合博物館と日本郵政株式会社の協力により「インターメディアテク」がオープンしました。

ここには、東京大学が明治10年(1877年)の開学以来収集してきた、数多くの学術標本や研究資料が展示されています。

東京大学には本郷キャンパスに「東京大学総合研究博物館(UMUT)」の本館があり、インターメディアテクはその分館という位置づけとなっています。

常設展示のタイトルは、「メイドインUMUT-東京大学コレクション」となっていて、2階は動植物標本が中心の「自然史」、3階は機械や製品による「文化史」がコンセプトになっています。

数多くの展示資料の中から、面白く興味深かったものをいくつか取り上げていきます。

■2階ACADEMIA/COLONNADE 2/特別展示

2階の入口右手にある「アカデミア」は、昭和初期の東京大学の教室を再現したノスタルジックな雰囲気が漂う部屋で、壁には元教師たちの肖像画が飾られていました(スマートフォンで二次元コードを読むと人物名が表示されるようになっていました)。

この部屋の奥に設置されている大きな映写機は、昭和34年(1959年)に製造されたもので、法務2号館大教室で使用されていたものだそうです。

メインルームである「コロネード2」の中央には、全長約8mのミンククジラや、アザラシ、キリン、ダチョウの骨格標本が並べられていましたが、このコーナーは、以前フランス・パリで訪れた「フランス国立自然史博物館」の展示に雰囲気が似ているなと感じました。

モンゴルで入手したという雄のアカシカの標本は、二股に分かれた立派な角が印象的でした。

「紀元前900~600年頃のエジプト神官のミイラと木製の棺」は、明治21年(1888年)に東京帝国医科大学がフランス領事から譲り受けたものだそうですが、こちらは写真撮影はできませんでした。

18世紀にイギリスの王室海軍が開発した「バーク型帆船模型」の模型と、昭和12年(1937年)にベルギー政府から寄贈された「地球儀(800万分の1)」です。

「ギメ・ルーム-驚異の小部屋」と名付けられたこのコーナーでは、かつてフランスのリヨン市にあった「ギメ美術館」から譲り受けた6つの展示ケース使い、一定期間ごとにテーマを変えながら学術標本を展示しているのだそうです。

エミール・ギメはアジア史の研究者で、パリにはアジアの美術品を展示している「ギメ東洋美術館」がありますが、彼が使用していた展示ケースが東京で現在も使われていることを知り、感慨深く思いました。

約3万3千年前の巨大なマンモスの牙がありましたが、残念ながらどこで発見されたものかは明らかではないそうです。

こちらは、東京大学のシンボルである「赤門」が国宝に指定されたことを記念して、昭和8年(1933年)ごろに設置された「國賓赤門」標柱です。

参考:東京大学本郷キャンパスの赤門

現在は「赤門」は国宝ではなく重要文化財に指定されていて、横にその説明書きもありました。

「グレイ・キューブ」という場所では、一定期間ごとにテーマを変えた特別展示を開催していて、訪問時には魚の研究に使ったスケッチの数々が紹介されていました(写真撮影はできませんでした)。

■3階COLONNADE 3

3階フロア「コロネード3」の中央には、19世紀後半にアメリカの発明家トーマス・エジソンの会社が制作した蓄音機のコレクションが並べられていました。

化石や鉱物、実験道具などが「珍奇物収集キャビネット」内に整然と並べられ、アート作品のように見えました。

明治初期に使われていた製図器などの道具には、東京大学工学部の前身である「工部省工学寮・工部大学校」の名前が記されていました。

古代オリエントのコーナーには、イラン北西部で発見された「コブウシ型土器」が展示されていましたが、これとほぼ同じものが、東京・池袋の「古代オリエント博物館」にもあったことを思い出しました。

通路部分には、測量や写真撮影に関する機材も展示されていました。

1925年にフランスのゴーモン(映画会社)が作った「立体写真箱」ですが、今から100年前に既に3Dが実現していたことに驚きました。

岐阜県にあった野鳥館が公開していた約300点の鳥の剥製(老田コレクション)を、野鳥館の閉鎖に伴い平成20年(2008年)に譲り受け、その一部が展示されていましたが、その種類の多さに圧倒されました。

3階の出口付近には、かつて東京中央郵便局の外壁に取り付けられていた大時計の針(左)と、東京帝国大学大講堂(現在の安田講堂)で使われていた大時計の針(中央と右、中央の文字盤はレプリカ)がきれいに並んで展示されていました。

■まとめ

日本の最高学府である東京大学の歴史や研究成果を、膨大ながら美しい展示資料を眺めながら存分に堪能できる、美術館のようなミュージアムでした。

JR東京駅丸の内駅舎のすぐ近くにあり、とてもアクセスしやすい上、入場料は無料、そして週末にも開館しているので、家族でのお出かけやデートにもふさわしい場所だと思いました。

「onIMT」というアプリを使うと、展示にまつわる解説を聞くことができるので、時間があるとき資料を眺めながら蘊蓄に耳を傾けるのも楽しいと思います。

なお、この記事は展示の解説やホームページ等を参照して記載しました。

<良かった点・いまひとつだった点>

〇落ち着いてシックな雰囲気に、資料が芸術的に並んでいる。
〇東京駅から近く、外国人観光客にも日本の学術文化を伝えられる。
〇フランスに関係する展示が多く見受けられた。
△キャプションが少ない、二次元コードでHPの解説が読めるとよい。

<東京大学関連施設の記事>

東京大学総合研究博物館(UMUT)
農学資料館(東京大学大学院農学生命科学研究科)
健康と医学の博物館(東京大学医学部・医学部附属病院)
小石川植物園(東京大学大学院理学系研究科附属植物園)
農場博物館(大学院農学生命科学研究所附属生態調和農学機構)×閉鎖中
東京大学総合研究博物館(小石川分館)×閉鎖中

■関連:旧東京中央郵便局長室

インターメディアテクの入る「KITTE」の4階には、かつての東京中央郵便局の局長室が再現されていて、自由に入場することができます。

当時の床や窓、そして局長の机などが再現されていて、昭和時代の懐かしい雰囲気を味わうことができます。

この部屋では、机に座って景色を眺めながら手紙を書くことができるうえ、当時の木製ポストに郵便物を投函することもできるようになっています。

■インフォメーション

詳細はホームページで確認を

開館日・時間
 火~日曜日(月曜日は休館)
 11:00 - 18:00(土日は20:00まで)
料金
 無料
アクセス
 JR山手線・東海道線などの東京駅 徒歩約3分
 東京メトロ丸ノ内線の東京駅 徒歩約3分
 東京メトロ千代田線の二重橋前駅 徒歩約5分
住所
 100-0005 東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
地図

以上です、ご覧いただきありがとうございました。

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