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【すごい博物館016】黒田記念館(東京国立博物館分館):美術の教科書に載っていた作品に出会える!

美術好きにオススメ 上野散策の一環に 無料


■黒田記念館とは

2024年5月と11月に訪問

東京・上野公園の近くで東京藝術大学の隣の場所に、明治時代に日本における西洋美術の教育や近代化に尽力した黒田清輝さんの功績を称える記念館があります。

昭和3年(1928年)に建てられた2階建ての記念館は、それ自体が国の登録有形文化財に指定されています。

ここには黒田さんの遺族から寄贈された、油彩画約130展、デッサン約170展、写生帖などが所蔵されていますが、平成19年(2007年)には「東京国立博物館」に移管され、現在はその分館として運営されています。

黒田清輝さん(慶応2年~大正13年・1866~1924年)は、約10年間のフランス留学の際に印象派的な絵画表現を学び、帰国後に東京美術大学で西洋画科の指導者となり初代教授も務め、さらにその後は貴族院議員として美術行政にも取り組みまれた方だということです。

黒田記念室

2階にある大きなホールでは、約3か月ごとにテーマを変えながら黒田さんの作品を展示しているそうです。

建設当初は天窓から自然光が入る作りになっていましたが、作品保護の観点から現在は人工照明が使われているということです。

訪問時には、黒田清輝さんがフランスに留学していた時期に描いた絵画を中心に作品が展示されていました。

こちらの油彩画は「パリ―風景(1890年)」で、右上には完成したばかりのエッフェル塔が描かれています。

こちらは、ベルサイユ近郊で描いたという油彩画「田舎家(1888年)」です。

フランス北部のブルターニュ地方にある海岸と島を描いた「ブレハの海岸(1892年)」です。

部屋の中央に展示されていたのは、女性(モデルは後に妻となった照子さん)が日傘を持って歩く姿を描いた「逍遥(明治28年・1895年)」ですが、これは黒田さんがフランスから帰国後に描いたもので、画面右側に人物を寄せているのは当時としては奇抜な構図で注目を集めたのだそうです。

鉛筆でのスケッチなども展示されていました。

黒田さんが東京の平賀町にあった自宅アトリエで使用していたと伝えられている、イーゼル、椅子、絵の具箱です。

イーゼルは室内用ですが、絵の具箱には三脚がついているため、野外での創作時にも使っていた可能性があるとのことです。

資料室

この部屋にはデータベース端末が設置されていて、黒田さんの代表作品の解説を閲覧できるようになっていました。

通常期には公開されていない、「湖畔」など黒田さんの代表作を、デジタルデータで鑑賞することができました。

映像室

残念ながら、訪問時は「調整中」でした。

特別室

黒田さんの代表作である、「湖畔」、「智・感・情」、「読書」、「舞姫」の4作品は、「特別室」で年に3回(2週間)公開されています。

部屋の正面にある3枚の女性のヌードの絵画、「智・感・情(重要文化財、明治32年・1899年)」は、1900年のパリ万国博覧会に出品され、銀賞を受賞した作品です。

部屋の右側にの壁には、「読書(重要文化財、明治24年・1891年)」と「舞妓(重要文化財、明治26年・1893年)」がありました。

そして部屋の左側に掲げられていた「湖畔(重要文化財、明治30年・1897年)」は、のちに妻となる照子さんを箱根で描いた油彩画ですが、美術の教科書にも掲載されている有名な作品を間近に鑑賞できて興奮しました。

■まとめ

日本を代表する洋画家の経歴を学びながら作品を鑑賞でき、建物自体もノスタルジックな雰囲気を醸し出していて、大変見ごたえのある記念館でした。

1階にはカフェも併設されているので、ゆっくりとコーヒーを味わいながら黒田さんの作品や美術の歴史に思いを馳せるのも楽しいと思います。

<良かった点・いまひとつだった点>

〇質の高い美術作品の数々を無料で鑑賞できた。
〇年に3回ではありながら代表作を公開する期間を設けてくれていた。
〇建物自体も当初の雰囲気が残されていて昭和初期の文化を味わえた。
△映像室で黒田さんの経歴解説などのビデオが上映されていてほしかった。

■インフォメーション

詳細はホームページで確認を

開館日・時間
 火~日曜日(月曜日は休館、例外あり)
 09:30 - 17:00(入場は16:30まで)
料金
 無料
アクセス
 JR山手線・京浜東北線など、
  または東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅 徒歩約15分
 京成電鉄の京成上野駅 徒歩約15分
 JR山手線・京浜東北線の鶯谷駅 徒歩約15分
住所
 110-8712 東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館内

以上です、ご覧いただきありがとうございました。


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