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【すごい博物館004】東京大学・健康と医学の博物館:健康維持へのヒントが盛りだくさん!

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■健康と医学の博物館とは

2024年12月に訪問

東京大学の医学部は、安政5年(1858年)に天然痘の予防のために設立された「神田お玉が池種痘所」が起源になっていて、現在は本郷キャンパスの龍岡門を入った右手に東京大学医学部附属病院が位置しています。

「東京大学医学部・医学部附属病院/健康と医学の博物館」は、平成23年(2011年)に医学部総合中央館にオープンし、医学・医療の進歩や健康維持に関するノウハウを伝えてきましたが、平成31年(2019年)には現在の東大病院南研究棟の1階に移りリニューアルオープンしました(本郷キャンパスの「鉄門」から入ると近くて便利)。

博物館内には常設展と企画展のスペースがあり、常設展には東大医学部・附属病院の歴史と業績を伝える資料が展示されていて、企画展は時期によって内容が変わりますが、訪問時には「医療の今を知る」というテーマで健康に役立ちそうなノウハウが紹介されていました。

■常設展:近代から現代への医学の歩み

常設展は3つの部屋から構成されていて、医学部と附属病院が160年の歴史の中で担ってきた役割などが紹介されていました。

展示室1

明治時代初期、東大医学部の前身である東京医学校は、技術が進んでいたドイツから2名(ベルツさん・スクリバさん)を教師に招き、その彼らの功績によって日本での内科・外科の基礎が築かれたということです。

外科の教師として指導や診療にあたっていたスクリバさんが、当時使用していた、咽頭鏡、扁桃腺切除機、輸血管などが並べられていましたが、ドイツ製を示す「BERLIN」の文字も確認できました。

医学部眼科の教授だった石原忍さんが、大正8年(1918年)に考案した「色覚異常検査表」は、その簡便さから世界中で使われることになったそうですが、小学生の頃に健康診断でこの検査を受けたことを思い出しました。

展示室2

世界で初めて実用化された「胃カメラ」は東大とオリンパスによる共同開発により生まれたということで、昭和35年(1960年・写真奥)と昭和45年(1970年・写真手前)のモデルが展示されていました。

大正から昭和初期に、動物に人工的に「がん」を発生させる研究が行われ、その成果が、発がん物質の発見や抗がん剤開発に貢献したのだそうです。

東大医学部を卒業しながら文豪の世界で活躍した、森鴎外さんや斎藤茂吉さんたちの経歴を、タブレット端末で参照できるようになっていました。

展示室3

こちらのパネルでは、日本における看護師育成の歴史、アレルギーの原因となる抗体の発見、筋肉の収縮・弛緩へのカルシウムの関与などが説明されていました。

看護学校で使われていた水銀式の「体温計コレクション」、外国製も含めて実に多くのメーカーが作っていたのだと驚きました。

こちらは東京大学文書館に所蔵されている資料を紹介しているコーナーですが、2024年度の特集として、明治時代末期に東京大学で盛んだった「スポーツ活動」の記録などが展示されていました。

明治時代に医科大学の学生だった田口文太さんという人が、水泳や漕艇などの競技で活躍し、その後の日本のスポーツ振興においても重要な役割を果たしたということが紹介されていました。

■企画展:医療の今を知る

訪問時には5つの部屋を使って、骨や内臓といった人体の仕組みや、運動や食生活における健康へのヒントなどを、体験を通して理解できる展示が行われていました。

特別展A

この部屋では、体の衰えとともに運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」の問題を紹介していて、実際に歩幅を測ったり、片足立ちをしたりして、自分の体の衰え具合をチェックできるようになっていました。

特別展B

感染症を引き起こす「ウイルス・菌・寄生虫」がテーマで、それらの大きさや種類、そして、それらが実に多岐にわたる病気を引き起こすことを理解することができました。

特別展C

糖尿病や腎臓病などを予防するために、どのような食生活を送るのが望ましいのかを、食事サンプルを例に具体的に解説していましたが、成人病予防のためには自分の好きなものだけを食べていてはいけない、ということを再認識させられました。

特別展D

心臓や血管といった循環器の病気がテーマで、写真手前の模型では動脈硬化や大動脈瘤がどんなものなのかを手で触って理解できるようになっていて、このような状態にならないよう定期的に検査をしたいという気持ちになりました。

特別展E

内臓の病気や大腸がん予防の大切さについての説明もありましたが、1960年代以前には写真のような器具をお尻から挿入して直腸を観察していたそうです、痛そう。

■まとめ

企画展「医療の今を知る」は、私たち人間の骨格、循環器、内臓などを健康に保っていくためのヒントにあふれていて、中年の私にとっては成人病予防の注意点を知ることができ大変参考になりました。

なお、この記事は展示の解説やホームページ等を参照して記載しました。

<良かった点・いまひとつだった点>

〇自分の健康について考え直すヒントがたくさん得られた。
〇受付でアンケートに答えたら、過去の企画展の資料がもらえた。
〇近くに病院のカフェがあり、ランチを兼ねて訪問できる。
△常設展の展示が少ない、過去の医療道具などがもっとあるといい。

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東京大学総合研究博物館(小石川分館)×閉鎖中

■インフォメーション

詳細はホームページで確認を

開館日・時間
 木~火曜日 (水曜日は休館)
 10:00 - 17:00(入場は16:30まで)
料金
 無料
アクセス
 都営地下鉄大江戸線の本郷三丁目駅 徒歩約8分
 東京メトロ丸ノ内線の本郷三丁目駅 徒歩約10分
 東京メトロ千代田線の湯島・根津駅 徒歩約12分
 東京メトロ南北線の東大前駅 徒歩約12分
住所
 113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 南研究棟1F
地図

以上です、ご覧いただきありがとうございました。


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