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ゴミ箱と交通機関で街を変えよう

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今回の「ワイングラスのむこう側」は、「街」について考えます。最近インバウンドの影響もあり街にゴミが増えてきたことを実感している林伸次さん。ゴミを捨てる人に怒りを向けるのではなく、どうすれば街にゴミが増えないかを考えます。

最近街にゴミが増えてきた

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

当店を渋谷で開いてから26年経つのですが、最近渋谷の路上にゴミがすごく増えているのを感じます。渋谷は今、観光地になってしまったから、みんなゴミをどこに捨てていいのかわからないんだと思います。

例えば、これが大手町だとします。もしコンビニでサンドイッチを買ったり、カフェでテイクアウトのコーヒーを買ったりして、食べ終わっても、「自分が勤めるオフィスに戻って捨てよう」とか、「あのビルのトイレに立ち寄って、そこにあるゴミ箱に捨てよう」とか、いろんなゴミ箱の場所を把握していると思うんです。

それが、観光地になってしまった渋谷は、歩いているほとんどの人たちが、外からやってきた人たちです。どこにゴミ箱があるのかわからなくて、やむを得ず路上に捨ててしまうのだと思います。

じゃあなぜゴミ箱を置かないかというと、若い人は知らないかもしれませんが、1995年に起きた地下鉄サリン事件が原因なんです。怪しいものを入れられないよう、いっせいに日本の街からゴミ箱が消えていきました。

今検索してみたら、それだけが原因ではなく、家庭ゴミを捨てにくる悪い人たちがいたから、ということもあったようです。いろいろ理由はあると思うのですが、もう少し街中に公共のゴミ箱があってもいいと思うんです。

もちろん、すごくコストもかかるようでして、そのお金はどこから捻出するんだ、税金からかという意見もあると思います。だったら、日本の街にたくさん清涼飲料水の自動販売機があるじゃないですか、その自動販売機の横には必ずその自動販売機で利益を得ている人や事業者がゴミ箱を設置しなくてはいけないという法律を作るのはどうでしょうか。

自販機の横にゴミ箱があるのを見たことがある、という人も多いと思うのですが、あれは全国清涼飲料協会という団体の働きかけで設置している「リサイクルボックス」で、ゴミ箱ではないんです。むしろ、「ゴミを捨てないで」と呼びかけています。

自治体とかが、支援金やなにかしらの優遇措置を与える形で、自動販売機を設置している人に、ゴミ箱を運用してもらうのはありだと思うんですが、いかがでしょうか? 自動販売機だけだとなかなか儲からないという話も聞くので、そういう形で支援するのはアリだと思うんです。

世界の大都市は24時間動いてる

そしてもうひとつお願いがあります。バーを営業していると、お客様の終電の時間ってすごく売り上げに影響するんですね。終電が遅いとみなさんもう少しゆっくりしていただけるんです。

今、繁華街でお金を使ってくれるのは若い人や外国人が多いです。そういう人たちは、みんな夜にお金を使ってくれるんです。ぜひお願いなんですが、1時間に1本、大晦日みたいに真夜中も電車を走らせていただけないでしょうか。

もちろん、電鉄会社で働いている人たちも、「これ以上働かせるつもりなのか」って怒ってしまうかもしれません。でも、実は10年くらい前に、東京の都バスの24時間運行っていう実験があったんです。

その時は、都知事が代わると早々に終わってしまったんですが、世界には24時間公共交通機関が動いている都市がたくさんあります。想像なのですが、ちゃんと運用すれば経済効果はすごくあると思うんです。

新型コロナウィルスが拡大した時に、終電が早くなったのは覚えていますでしょうか。せめてあれを元の時間に戻して欲しいと思います。

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林伸次(はやし しんじ) 1969年生まれ。徳島県出身。1997年創業の渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。本連載の書籍化『ワイングラスのむこう側』『大人の条件』はじめ書籍多数。また『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』など、小説も執筆。

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