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困ったお客様の出禁問題

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ときどき耳にするけど、多くの人は経験したことがない「出禁」。もちろん経験しないにこしたことはないですが、お店側にとってはなかなか頭の痛い問題のようです。

ある意味やくざよりも厄介な出禁問題

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

以前、聞いたお話です。ある方がバーで飲んでいたのですが、お会計をしてお店を出た瞬間に、そのお店のご主人が出てきて、「あのー、大変申し訳ないのですが、お客さまはうちのお店には合わないようなので、次回からのご来店はお断りいたします」って告げて、さっとお店に戻っていったそうです。

そのご主人、上手いですよねえ。わかりますでしょうか。僕、お店を開店する前に、「こういうときは、こういう風に対処したほうがいい」みたいなことを、いろんな先輩バーテンダーに聞いて回った時期があったんですね。それをこれからお伝えします。

例えば、やくざ関係は「警察を呼ぶ」、もうこれに尽きるそうでして、自分でなんとか対処しようとしない、すぐに110番って教えてもらいました。

ちなみに、飲食店をやっているとやくざが来るのって本当に怖いですよね。街や通りによって、「この街は、何坪以上だと来る」とか、「怖いから正月のしめ飾りだけ買ってる」とか、いろいろあるようです。

心配であれば、そのあたりで長く経営している個人店のバーに行って、「この辺ってやくざってどうですか?」って聞けば教えてくれます。あと、詳しい人から「その通りに1軒も風俗がなければ、まず来ない」って聞きました。

そういう意味で、やくざ関係は対処法がはっきりしているのですが、難しいのが冒頭に書いた「出禁」です。すごく酔っ払って大騒ぎしたり、やたら他の女性のお客様に絡んだり、「うわあ、ほんと迷惑だなあ」と感じるお客さんっています。そういう人を出禁にするのって、夜にお酒を飲む店の独特の文化かもしれませんね。

だいたいの人は「本当に申し訳ありません。お代は結構ですからお帰りください」って伝えて、おもいっきり頭を下げると、納得して帰ってもらえます。「今まで飲んだ分、無料」って心理的に「じゃあいいか」ってなるんですね。

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