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インターネットはうさん臭い、とみんな思ってたのに忘れてる
お知らせ
林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。
今ではあたりまえになったインターネット。インターネットがなかった時代のことを思い出すのも、だんだん難しくなってきました。今回はそんな、インターネット普及直前の世の中の雰囲気について考えます。
記録に残ってないことは歴史にならない
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
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先日、渋谷のラジオに出演したんですね。パーソナリティは野宮真貴さんとカジヒデキさんなので、ついつい渋谷系の話題になってしまいました。
渋谷系ってご存じでしょうか。1990年代に、ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターを中心に流行った音楽やファッションのムーブメントなのですが、野宮さんもカジさんもその中心人物なんですね。それで、僕がお二人の前で、こんな話をしました。
「最近、若い人たちで、『お父さんやお母さんが渋谷系を好きだったから、僕も渋谷系のことが好きでよく聞くんです』っていう方が来店することがあるんですが、彼らも渋谷系のことにすごく詳しいんですね。どうしてそんなに詳しいのか聞いてみると、インターネットで調べて、当時のことを学習しているんです。でも、僕と話していると、当時すごく有名だった人やお店のことは全く知らなかったりもして、何でだろうと思ったら、その人やそのお店のことがネットに出てないんです。ネットに残ってなければ、なかったことになるんだなあって思いました」
すると、カジさんが、「そういうことってあります。僕も話してて、『あれ? そんな風じゃなかったなあ』って感じることがよくあって。結局、歴史って、声が大きい人や、生き残った人が語ったり書いたりしたことが残るんです。歴史って、誰かが意図的に書き換えられるんです。だから僕もちゃんと書き残さなきゃって思ってて」と言って、野宮さんも「そうそう」って答えました。
本当に歴史って、書き残した人の勝ちなんですよね。それでかどうか、最近、「昔のことを書いておいて」っていう依頼原稿や、「あの時、本当はどうだったの?」みたいな質問が増えてきたんです。
bar bossaって1997年に開店しているんですね。当時はインターネットが全然普及していなかったんです。それって今の若い人たちにとってみれば、「電気がない時代、人はどうしてたんですか?」に近いことなので、「インターネットが出てきたときってどんな感じだったんですか?」ってたまに聞かれるんですね。
インターネットが来ると言っていた人たち
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