人間関係のストレスは、身近な人の死より辛い
お知らせ
林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。
人類は嗜好品を克服できない
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
先日、松井博さんのVoicyに出演していたときのこと、こんな質問をされました。「林さん、お酒ってこのままずっとあると思いますか?」
お酒って、どうやってできるかご存じですか? 糖分に酵母がつくと、酵母が糖分を食べて、アルコールと炭酸ガスにするんです。酵母は空気中にふわふわと浮いているので、例えば、蜂蜜に雨水がたまって、そこに酵母がつけば、自然発生的にお酒ができることもあるんですね。とにかく簡単にできてしまうので、世界中ほとんどの人類がお酒を発見して、ずっと手放さないでここまでやってきたんです。
でも、もしかしたら、このままだと僕たちはお酒をかなり制限してしまうかもしれないと思うこともあるんです。スターバックスが日本に上陸したとき、ほとんどの喫茶店関係者が「煙草が吸えない喫茶店なんて流行るわけない」って断言したんですね。でもご存じすごく流行ってしまいましたよね。今は、煙草が吸える飲食店の方が少なくなりました。そういうことがお酒にも起きてしまう可能性もあるかもしれない、って松井さんに説明したんです。
そしたら松井さんがこう答えました。「人類は煙草をかなり克服できたけど、それはコーヒーのカフェインに取って代わっただけかもしれないですよね。以前はみんなこんなにコーヒーを飲んでいなかったですから。やっぱり僕たちは嗜好品を手放せないようになっていると思いますよ」
なるほど。そう言われてみれば、ただ単に煙草のニコチン中毒が、コーヒーのカフェイン中毒に代わっただけなのかもしれません。僕たちは嗜好品からは逃れられなくて、ちゃんと距離をとって、溺れないようにしているだけなのかもしれないです。
アンナ・レンブケの『ドーパミン中毒』という本を読むと、僕たち人類は、薬物やセックスや買い物やSNSやギャンブルといった、ありとあらゆる「沼」にハマってしまうという設定になっているようで、とにかく「行き過ぎてしまうと破滅」ということを、この本は何度も何度も警告してくれるんですね。実際に読んでいただくのをオススメしますが、例えば、「特殊なマシーンを自作して、マスターベーションにふける男性」が登場するのですが、もう完全にやめられなくなるんです。
たぶん、何か自然をこえた快楽を追求してしまうと、僕たちの脳は追いつけなくなって、制御できなくなっているのでしょう。
何が人間を幸せにしてくれるのか?
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