独立開業準備の記録または雑記
独立開業の実際
こんにちは、公認会計士・税理士のyamakenです。
2024年もいよいよ残りわずかです。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
私は12月30日付で現職を退職し、独立開業する運びとなりました。
現職からは「引継ぎが終わったら出社しないで自分の開業の準備をしてもいいよ」と言われていたため、12月2週目くらいからは開業の諸々の準備や、営業活動的なことを進めていました。バタバタでしたが、その分大きな充実感も得られました。
ここでは、改めて「なぜ独立しようと思ったのか」「これまでのキャリア」「これからどうするか?」を自分の中での整理も含め、ざっくりまとめてみようと思います。
独立の準備をこれからしようとする方の参考にもなれば幸いです。
なぜ独立しようと思ったのか
一言でいえば「会社が分裂してしまったから」です。
現職では、IPO支援や決算開示支援といった会計コンサル、FAS(財務DD・株価算定等)業務、系列の税理士法人での税務業務などを主に手掛けていました。しかし今年の春頃に、創業者かつ代表の会計士が外部から出資を受け入れて新規事業にシフトする方針を決定。既存事業は縮小、となりました。
既存事業を続けたい役員らは大半のクライアントを引き継いで独立し、残ったクライアントも人員不足による契約解除や対応不備でのロストが相次ぎ、最終的な既存契約は小粒な税務顧問業務のみが維持される形に。
私としてはIPOコンサルやFAS業務をもっとやっていきたかったのですが、会社として今後の新規獲得は行わず、案件の相談があっても社内では実施せずに同業者へ振っていくこととなりました。もともと独立開業は目標にしていたとはいえ、想定よりちょっと早いタイミングではありましたが、こうした経緯から、これもいい機会かと思い今回独立を決めました。
これまでのキャリア
私のこれまでのキャリアをざっくり振り返ると、以下の通りです。
極小監査法人~Big4監査法人
前回のnoteでも少し触れましたが、私は就職氷河期のあおりで極小監査法人に入所。その後Big4監査法人に転職し、監査業務を中心に7年ほど在籍しました。メーカー、商社系や旅行業に主に関与し、アドバイザリー業務や小規模クライアントの主査も経験しまして、初めての主査業務は初年度監査だったのでやりがいもありました。マネージャーになる前に辞めましたが、シニアとしてプロジェクトを回す力はそこそこ身につけられたかな、という感じです。
事業会社(IPO準備会社)
ITシステム開発事業を行うIPO準備会社で、海外子会社連結やIFRS導入、原価計算制度整備や資金繰り管理などを含め、経理・人事・総務・法務などのバックオフィス業務をプレイングマネージャーとして幅広く担当しました。シンガポール・ベトナムに拠点があり、在外子会社関連の業務(タックスヘイブン税制、移転価格税制とか)も多かったのでなかなか面白い仕事でした。ただ事業会社に入り込んでみると、自分がなりたいのはバックオフィス関連のゼネラリストというよりは財務・会計周りのプロフェッショナルかなぁと、と改めて認識。またCFOとも折り合いが悪くなり、N-4~N2期の途中までの2年ほど在籍しました。
独立系コンサルティングファーム
IPOコンサル、資金調達支援、決算開示支援、財務DD、そして税理士登録を経て税務業務もやりました。小規模なファームなので、いろんな業務を経験できるという点に魅かれ入社。最低3年はここでいろいろ経験してから独立したいな、という青写真があったのですが、会社分裂というハプニングもあり、結果1年半ほどで退職&独立することに。
これからどうするか?
数年以内に独立するつもりで現職に移ったので、独立自体は想定内でしたが、タイミングとしては急でした。勤務先の顧客をそのまま引き継いで…ということもなく、自己資金も潤沢とは言えない状態でのゼロスタートとなりました。まずはいろいろと準備が必要で、下記のようなことを行いました。
監査の非常勤をすることにした
Big4時代の同期に相談して、在籍している監査法人の非常勤職を紹介してもらいました。当面の生活費や固定支出への手当、また監査や会計に関するキャッチアップのため、しばらくはお世話になる予定。ただ、思ったほどアサインは無かった…(平均して週1~2くらい)。ただ4月以降は増えるのかもしれない。パソコンなどの機材を買った
私用のPCはデスクトップ型の古いものしかなかったので、LenovoのThinkPadを購入。また、外出先での作業も想定しポケットWi-fiも契約しました。あとはAmazonのブラックフライデーセールでいろんなガジェットを新たに揃えて仕事環境を整えました。オフィスを借りた
当初は自宅事務所も考えましたが、住んでいる場所が事務所利用不可だったためレンタルオフィスを借りました(税理士事務所として開業する場合はバーチャルオフィスやシェアオフィスは駄目で、個室が必要です)。
レンタルオフィスですが、立地はいいので名刺に書いたら結構反応が良かった。やはりブランドイメージ的なものも重要ですね(ただし4平米の狭小ですが…)。研修やセミナーに参加した
これは以前からですが、独立後に役に立ちそうな研修やセミナーは暇を見つけては参加・視聴していました。開業セミナーについては実際に独立開業した方の事例を聞けるので、イメージがしやすく、また失敗談やトラブルなどについても知れたので有用でした。特に営業や集客に関しては方法論自体をあまり知らなかったので、セミナーは勉強になりました。知人や委員会のメンバーなどに相談した
元上司や同僚・後輩、また会計士協会(東京会)の同じ委員会の独立会計士の方などいろんな人に話を聞いてもらいました。皆さん親身になってアドバイスしていただきありがたい限りです。このような会計士同士の人間関係やコミュニティは大切にしていきたいですね。
私は税理士としては今まで所属税理士で会務活動にはあまり参加したことが無いのですが、年明け以降は開業税理士として新たな支部に入りますので、そちらのコミュニティにも顔を出してみようと思います。受注活動をしてみた
会計ソフトのベンダーと契約するとChatworkの顧客紹介チャンネルに招待され、毎日数件、税理士を探している法人・個人の情報がアップされるので、それに応募しました。関東圏の比較的近い場所で、先方のニーズ(予算感とか)と合っていそうな先のみ応募しました。2週間で10件程度応募して面談に至ったのがまだ2件という結果なので、これだけで顧客を増やしていくのは難しそう。そのためウェブ広告等も利用するか検討中。交流会に出た
リアルのビジネス交流会や士業交流会というのにも出てみました。
感想としては、
・ビジネス交流会:不動産やシステム開発、人材系の営業マンが多い。
・士業交流会:気の合いそうな他士業の方何人かと繋がれた。
年明けには若手経営者交流会というのもあるみたいなのでそれにも出てみる予定です。ただ、いずれにしてもあまりこちらから先に提供できること(顧客の紹介とか)がまだあまり無いので、単なるテイカーみたいになりがち。一人一人ともあまり長い時間話せないので工夫が必要ですね。お金を借りた
上記の機材やオフィスの初期費用に加え、会計ソフト・税務申告ソフトの利用料、会計士協会や税理士会の会費、広告費などの支出が必要になりますし、日々の生活についてもやはり不安なので、日本政策金融公庫に行って創業資金を借り入れました。手許資金はあるに越したことはない。
また、今後顧客に創業融資の支援をするのにも自分で借りてみた方が経験になるんじゃないかと思いました。その意味で、公庫以外の信用金庫からも別途借入(保証協会付き)を行う予定です。事業計画を作った
借入と同時並行ですが、お金を返す&利益を稼ぐためにどんなペースで受注して売上を得るべきなのか、どんな業務をどのような構成比で提供するのか、そのために必要なコスト等を実際に数字に表した5カ年計画を作成しました。この作業を通じてやるべきことの優先順位がつけられたと思いますし、今後の事務所運営の指針として使えるようになりました。法人を作った
12月25日を設立日として自分の法人(株式会社)を設立しました。多少の維持費はかかると思いますが法人格があった方が今後便利な場面もあるかなと思い、早めに作っておくことにしました。ちなみに12月25日を設立日にしたのは、クリスマスを「創立記念日=休暇」にしたら将来従業員が入ったときに喜ばれるかと思ったためです(笑)。
その他、名刺を刷ったり、自分のホームページを作ったり、営業資料や契約書のテンプレを作ったりなど、細かいタスクはまだまだありましたが、ここ数週間はそんな感じでバタバタと過ごしました。
年明け以降の大きな方向性としては、監査の非常勤や業務委託の案件をこなしながら、顧客開拓のため動き回る日々になりそうです。IPO支援や決算早期化、PMI支援など、中小企業の事業成長につながる業務を今後やっていきたいので、会社設立や創業融資の支援、それに付随して税務顧問などを中心に増やせればと考えています。
当面は一人事務所ですが、一人でやっていくのもリスクだと思うので、早期の組織化も視野に入れて進めていきます。
希望と不安は7:3くらい
というわけで、今回ざっくりと独立の経緯や今後の方針などをまとめてみました。やるべきことが固まり、やる気も漲る反面、「本当にうまくやれるのか…?」という不安も正直あります。ただ公認会計士として今までやってきた経験や知識は自信にもなっていますし、なんとかなるだろうとポジティブに進んでいければと思います。
現実にはどうなるかわかりませんが、生きている限りは引き続き頑張っていきますので、何かお力になれることがあればお気軽にお声がけください。
読んでいただきありがとうございました。
2024年も残りわずかですが、みなさん体調など崩されませんようお気をつけいただき、良いお年をお迎えください。2025年もどうぞよろしくお願いいたします。