青春の青はインディゴブルー
甘酸っぱい青春時代はあったのか聞かれると、「別にないけど文句あるか」と返したくなる。
これぞ受験大国うまれの悲劇と言うべきか。
まあ、せめてもの慰めではないが、少なくとも青春の香る音楽だけは常に側にあった気がする。
私は通称「渋谷系」で日本のポップに触れ、興味を持ち始めた。
そして渋谷系がニューミレニアムとともに華々しく散り始めた頃、韓国でもどんどん日本の音楽を経験できる機会が増えていった。
今振り返ると、それにはサブカルの影響が何よりも多大なものだったように思える。
90年代半ば登場したケーブルテレビのアニメ専門チャンネルもすっかり定着し、ソニーや任天堂のテレビゲームの影響もいつよりも増して大きくなってきた時期。
新作のアニメやゲームのタイアップ曲は、正に新しい日本の音楽の宝庫であり、特に当時の韓国の若者にとっては新鮮な刺激そのものだった。
これでもかっていうほど勢い付いた日本のサブカルの波が押し寄せる真っ只中の2003年。
私は中学の最後の年を迎え、何もかもが面倒くさく感じる歳頃。
その時初めて聴いた、the indigoの飾り気ないけどセンスのあふれる曲作りと演奏、そして透明感と清涼感に満ちたボーカルは、彼らのテイストとは裏腹に天地開闢の衝撃に等しかった。
the indigoの音楽を聴いているとそんなに必死にならなくても良い、生きるって無理することでもないよと言われている気がした。
もちろん彼らはそのゆるく優しく繊細な音楽をするために必死だったに違いないが、中防の私がそれを理解するのはもう少し後の話で、とにかくそっと語りかけながら暖かく包み込んでくれる彼らの音楽に心を奪われた記憶がある。
私はもう自分が青春を謳歌できなかったことを無闇に悔やむべきではないかもしれない。
少なくとも私には「青春したかった」頃の思い出を呼び覚ます藍色の音楽があるのだから。