TypeScriptジェネリクスをサクッと理解【その2 functionに対して使うジェネリクス】
TypeScriptのジェネリクスはむずかしい?
この記事はジェネリクスをサクッと解説する全4回の記事の2つ目です。
functionのジェネリクス
次のコードがあったとします
// main.ts
function example(a: string){
return a
}
これは「a」という渡されたstringのデータをreturnするだけのfunctionです。
次のコードを追加してJavaScriptに変換すると、ブラウザのコンソールには「東京」と表示されます。
// main.ts
function example(a: string){
return a
}
// 👇追加
console.log(
example("東京")
)
// 👆追加
さて、functionにはデータが2つ登場します。
「渡すデータ」と「操作後のデータ(=returnするデータ)」です。
function 名前(渡すデータ){
実行したい操作
return 操作後のデータ
}
「returnするデータ」の型は「渡すデータ」の型によってTypeScriptが推測してくれるので、実際は書く必要のないケースがほとんどですが、次のように明示も可能です。
// main.ts
👇追加
function example(a: string): string{
return a
}
...
つまりfunctionに書く型の記法は次のようになっています。
function 名前(渡すデータ: 渡すデータの型): returnするデータの型{
実行したい操作
return 操作後のデータ
}
main.tsに次のコードを追加したとします。
// main.ts
function example(a: string): string{
return a
}
console.log(
example("東京")
)
// 👇追加
console.log(
example(2005)
)
// 👆追加
エラーが出ます。渡すデータの型がstringと指定されているからです。
ここで使うのがジェネリクスです。まず「a」の横の「string」を「T」に変えます。
// main.ts
👇変更
function example(a: T){
return a
}
...
渡すデータの型が「T」という実質的な中身のないものになり、TypeScriptの推測が働かなくなったので、returnするデータの型を明示してあげる必要があります。
// main.ts
👇追加
function example(a: T): T{
return a
}
...
これで済めばコードの見た目は比較的シンプルですが、「ジェネリクスを使っています」ということを明示する必要があるので、次のコードも必要です。
// main.ts
👇追加
function example<T>(a: T): T{
return a
}
...
これでジェネリクス化は完了し、exampleというfunctionの型は、実際にexampleを利用する時に注入するようになりました。しかし型の推測によって、この時点でエラーは消えます。
次のように、実際の型情報を注入する必要があるケースも存在するので、覚えておきましょう。
// main.ts
function example<T>(a: T): T{
return a
}
console.log(
example<string>("東京") // 追加
)
console.log(
example<number>(2005) // 追加
)
これがfunctionに対するジェネリクスです。次回は、「型定義とfunctionの両方に対してジェネリクス」を使う例を見ましょう。
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