USBケーブル聴き比べ(旧製品)
いまの家に引っ越してきて4年半。スタジオとして使う部屋の特性などが旧居と違うため、仕事をしながら機材の入れ替えや各種調整などを進めていき、昨年末のメインモニター新調でようやく一段落したので、ここらで久しぶりに手持ちのUSBケーブルの音の比較と、実際に常用するケーブルの選定を行おうと思い立ったので実行してみました!
使用箇所は、Mac(MacBook Pro 14インチ[M1 Max])とオーディオI/F(RME Fireface UFX 初代)との接続です。接続にあたり、Mac側のUSB-C端子に対応させるため、iFi AudioのOTGケーブルを使ってA to C変換をしてます。モニタリングはメインモニターであるIK MULTIMEDIA iLoud Precision MTMで試聴しました。
OYAIDE d+ USB ClassS
まずはこちらから。注意していただきたいのは、これは導体にPCOCCを使った旧製品ということ。現行の同製品はVer.2となり、導体には102 SSCが使われているため、音質が変わっている可能性が高いことをご了承ください。
一聴して感じるのは、センター定位の明確さ。ボーカルなどが真ん中にビシッと定位してとても安定して聞こえます。これはなかなか気持ちがいい♪ レンジ感も広く、高域はキレイに伸びているし、低域も膨らみすぎず引き締まっている。ただ、左右への広がりが抑えられた印象も強い。センター定位の音が目立つため、よりその印象が強まる。なので、定位の移動なんかは若干苦手かもしれない。ただ、解像度は高いので、歌ものをガッツリ聴きたいときなんかにはいいかもしれない。
OYAIDE d+ USB ClassA
お次はこちら。これもClassS同様にPCOCCの旧製品となります。
音の傾向はClassSとは真逆というか。比べると、レンジ的には高域がほんの若干ナローになり、逆に低域の存在感が増してくる印象。その低域の広がりが驚くほど広く、音に包まれてる感がスゴイ。そのぶん、センター定位の音の明確さも若干後退するかな。けど、尖ったところのない音なので、これはこれでなかなか気持ちがいい。クラシックやアコースティック系の音楽をゆったりと聴くにはすごく合うんじゃないかと思う。
Toneflake × WAGNUS Milky Beamz Out USB Cable
最後はこちら。ToneflakeとWAGNUS. のコラボ製品です。だいぶ前の製品ですが、まだ現行品みたいですね。もういつ導入したかも覚えてないですが、おそらく10年近くは使ってるかと。ということで、その間、これが僕の常用USBケーブルでした。
今回、改めて比較試聴してみると、やはりこれが一番しっくりくるなという結論に。レンジ感、解像度、左右への広がりや定位感、そしてキックやベースなどの低音がしっかり止まってくれる感じ……すべてにおいて素晴らしいです。解像度が高いということは、つまり音の輪郭がクッキリ見えるということ。写真や映像に例えるならば、高画素化して細かな部分が潰れずにディテールをしっかりと認識できる状態なので、見える世界が変わってきます。ClassSも解像度が高いので、この点においては不満はないんですが、左右の音像が薄くなる感じがあるので、こちらの方が仕事をする上では信頼できる音に感じます。あとは、音の隙間がよく見えますね。ClassAは広がり感が気持ちいいんですが、隙間も埋められてしまう感じがします。これは、Milky Beamz Outの方がトランジェント(音の立ち上がりや立ち下がり)をしっかり再現してくれるからだと思います。
総評
というわけで、常用USBケーブルの入れ替えは実現せず、Milky Beamz Outを続投することとなりました(笑)。他のケーブルも決して悪いわけではなく、むしろこうしてたまに聴くと「いいじゃん!」って思っちゃいますね。実際、ClassAの音とか結構好きで、これに替えようかなと思ったり、いやいやClassSのセンター音像の素晴らしさも捨て難いなと、何度も思いました。けど、音楽制作やMAといった仕事をする際には、やはり音に対してシビアな判断をしなきゃいけないので、色付けというか、わかりやすい特徴を持ったケーブルよりは、全体的な性能のバランスが取れていて、ダメな音はしっかりダメに聴こえるようなケーブルの方が、個人的には使いやすいということですね。なので、Milky Beamz Outが僕のリファレンス・ケーブルということになります。
世の中にはオーディオ向けのUSBケーブルがたくさんあるので、とてもじゃないけどすべての製品を試している余裕はないですが、1本「これは!」と思える自分にとってのリファレンスとなるケーブルを見つけておくと、その後の判断がしやすくなると思います♪
余談ですが、ヘッダーの写真にはもう1本写ってて、それも比較試聴ラインナップには入れてるんですが、市販品ではないので、記事には書きませんでした💦全体的な性能が高く、中低域が太めのとても良い音で悩ましかったんですが、音の見え方がMilky Beamz Outの方が良かったという感じですね。