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【モノの図書館事例紹介】THE THINGERY

こんにちは。モノの図書館研究所の佐藤です。

今回はLoTの導入を支援する団体の紹介です。THE THINGERYはカナダのLoTを導入支援する会社です。THE THINGERYの創業者Chris Diplock氏は、カナダでのシェアリングエコノミーの発展に向けて、バンクーバー市、Simon Fraser Universityの修士課程の学生と共にバンクーバー市でのシェアリングエコノミーに関する研究を行っています。*1

THE THINGERY

THE THINGERYとは

https://thethingery.com/ HPから引用


THE THINGERYは、地域社会に根ざした機材貸出ライブラリを設計、設置、運営する企業です。各拠点は、改造された収納スペースを活用し、コミュニティのシェア、再利用、修理の拠点として機能しています。これにより、寄付された機材の共有、修理ワークショップの開催、機材の貸出を促進しています。

同社の使命は、隣人同士のつながりを深め、スキル向上の機会を提供し、シェアリングを通じて物質的な無駄を削減することです。各拠点は、包括的な学習と機材アクセスの場を提供し、コミュニティの強化やエコロジカル・フットプリントの削減に寄与しています。これにより、個人が新たな機材を購入する必要性を減らし、廃棄物の削減にも貢献しています。

THE THINGERYの設立者であるクリス・ディプロック氏は、「私たちの夢は、規模や場所に関係なく、すべてのコミュニティがメンバーの情熱を追求するための機材にアクセスできるThingeryを持つことです」と述べています。同社は、地域社会のニーズに合わせたカスタムデザインの提供、サイトの構築、必要なシステムやサインの設置、定期的なメンテナンスや修理を行うことで、各地域の特性に応じたサービスを提供しています。

現在、THE THINGERYはカナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーのコリングウッド・ビレッジに拠点を持っています。同社は、他の地域への拡大も視野に入れており、各コミュニティのニーズに応じた機材貸出ライブラリの設置を進めています。これにより、地域社会のレジリエンスを高め、持続可能な消費モデルへの移行を目指しています。

THE THINGERYのサービスは、地域住民が必要な機材を手軽に利用できる環境を提供し、コミュニティの結束を強化し、環境負荷の低減にも寄与しています。同社の取り組みは、シェアリングエコノミーの推進と持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。(chatGPTより)

コミュニティを結束・強化することに重きを置いている

https://thethingery.com/ HPから引用

THE THINGERYは、モノのシェアを通じて地域コミュニティの結束・強化に重きを置いている点は特徴的です。LoTは、コミュニティを強化するということをヒルズボロ公共図書館のラックス氏も述べています。*2 THE THINGERYでは、地域コミュニティの結束を高めることが地域のレジリエンスを高め、環境への負荷を減らすことに繋がると述べており、モノのシェアを通じて地域コミュニティの活性化を行っています。

公共住宅、マンション、コミュニティスペースにモノのシェアの拠点を構築し、コミュニティハブにしている

https://thethingery.com/ HPから引用

公共住宅、マンション、コミュニティスペースにモノのシェアの拠点を導入している点もTHE THINGERYの特徴的な点といえます。他のLoTに関しては、図書館や商業施設などの多数の人が集まる場所に設置しています。一方、THE THINGERYでは、一定の規模のコミュニティの範囲内で共有することを前提とし公共住宅、マンションなどの単位で導入している点は特徴的です。日本で言えば、公団やタワーマンションの管理組合などを対象に、そこの住民の方でシェアする形態です。

インパクトレポートを報告。THE THINGERYがあることで、緊急時の備えにつながるという意見が80%

https://thethingery.com/ HPから引用

THE THINGERYでは、過去3年間の利用者に対するアンケートにより、インパクトレポートを発行しています。インパクトレポートによれば、以下のような結果が出ています。
1、持続可能性について
・機器を寄付してくれた人の3人に1人は、THE THINGERYがなかった場合、機器を廃棄していたと回答
・回答者の15%が、THE THINGERYがなかったら新しい機器を購入していたと回答
・回答者の92%が、THE THINGERYのおかげでモノを買う量が減ったと回答
2、緊急事態への備え
・回答者の80%が、大規模な緊急事態が発生した場合の備えを計画していない回答
・回答者の80%が、THE THINGERYが計画の一部になる可能性があると回答
・回答者の50%が、THE THINGERYが行うワークショップに参加することで計画が立てられる力を得られると回答
3、社会的つながり
・回答者の85%が、THE THINGERYを地域社会でより強い社会的つながりを築く手段とみなしていると回答
・回答者の92%が、THE THINGERYによって機器へのアクセスが容易になったと回答
4、包含・手頃の価格
・回答者の20%が、THE THINGERYがなければ必要な機器にアクセスできなかったと回答
・回答者の45%が、THE THINGERYの設備を利用して、新しいプロジェクトを立ち上げていると回答

このように、LoTはコミュニティの活性化に寄与する機能を備えており、地域コミュニティをドライブさせるシステムとして有効と考えられる。今回は、THE THINGERYの紹介を行いました。ではまた。

*1 Chris Diplock,A report on sharing in Vancouver,2013
*2 What Are These Things Doing in the Library? How a Library of Things Can Engage and Delight a Community by Brendan Lax(Collection Development Librarian, Hillsboro Public Library)

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