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カラワン楽団『人と水牛』(1975年)メモ

カラワン楽団『人と水牛』(1975年)メモ

คาราวาน - คนกับควาย カラワン楽団 - 人と水牛(1975年)

คาราวาน - คนกับควาย カラワン楽団 - 人と水牛
1. คนกับควาย (Kon Gap Kwai) 人と水牛 / Man And Buffalo
2. เปิบข้าว (Berp Kow) めしを握る / Every Handful Of Rice
3. หมายเหตุจากหมู่บ้าน (Maihaet Jaak Mubaan) 村からの便り / Word From The Village
4. ชาวนา (Chaona) 遠い銃声 / Distant Gunfire Sounds
5. ข้าวคอยฝน (Khaw Khoy Fon) 雨を待つ稲 / Rice Waiting For Rain
6. คนภูเขา (Kon Pukao) 山の人 / Song Of The Mountain Fighters
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7. จิตร ภูมิศักดิ์ (Jit Pumisak) ジット・プミサク / Jit Pumisak (Martyr Of The People)
8. นกสีเหลือง (Nok Sii Ler-ang) 黄色い鳥 / Yellow Bird
9. หยุดก่อน (Yut Gawn) 待ってくれ / Stop Now (Oppressors)
10. กระต่ายกับเต่า และนกแสงตะวัน (Gradaey Gap Dao) うさぎとかめ / The Hare And The Tortoise


 タイのフォークグループ、カラワン楽団 คาราวาน (Caravan) のアルバム第1作『人と水牛 คนกับควาย』(1975年)を、(ようやく)2013年1月に復刻盤で入手したとき、手持ちの日本語資料を参照して、タイ語の原題と日本語の訳題を対照させました。そのときのメモを上に転載しました。ウェブ上で、原題が翻訳できたり、歌詞を粗訳付きで見ることができたり、『人と水牛』を始めとして複数のアルバムの配信版を聞くことができる2024年5月現在の環境からすると、細く頼りない藁のようなものでしかありませんが。

 日本語の訳題は、後述のサイト「水牛」、森下ヒバリ編『カラワン・ソングブック CARAVAN SONG BOOK』(ビレッジプレス、2004年10月)等を参考にした、と2013年1月時点で書いていたのですが、いくつか相違があり、どこから引っぱってきたのか忘れているものがあります。
 英語の訳題は、Smithsonian Folkwaysからリリースされている "Thailand: Songs For Life Sung By Caravan: Songs of the peasant, student and worker struggle for democratic rights" から採りました。Songs For Life、「生きるためのうた」は、カラワン楽団らのタイのプロテストフォークソングを指す言葉です。

 1973年10月、タイで起こった学生を中心とした、独裁政権に対する民主化運動から生まれたフォークグループ、カラワン楽団 については、彼らに触発され、彼らの代表曲「人と水牛」にちなんで名付けられた高橋悠治氏らによるグループ、水牛楽団を通じて、知りました。
 水牛楽団は、「アジアの民衆のたたかいのなかから生まれた歌を、うたい、演奏する」ことを目的としてスタートし、さまざまな活動の現場で演奏し続けました。活動の交流の中から、アジアにとどまらず、欧州、パレスチナ、中南米と範囲を広げています。高橋悠治氏はピアニストであり、作曲家ですが、このグループでは「もちはこびが自由で電気をとおさなくてもいいもの」で演奏していました。当時、演奏の場に足を運ぶ機会はありませんでしたが、機関誌「水牛」「水牛通信」の発行を含めて、その自主独立活動に憧れました。(引用は、高橋悠治「インタビュー 水牛楽団あらわる」、『水牛通信 1978-1987』リブロポート、1987年12月より)。

水牛通信編集委員会『水牛通信 1978-1987』(リブロポート、1987年12月)

 水牛楽団はの演奏活動は終了しており、印刷物としての「水牛通信」も発行されていませんが、「水牛」は現在も活動を継続しており、ウェブサイト「水牛」 https://suigyu.com/ で触れることができます。サイト内の「水牛の本棚」https://www.suigyu.com/hondana/ では、ウィラサク・スントンシー著(荘司和子訳)『カラワン楽団の冒険 生きるための歌』(晶文社、1983年7月)、荘司和子編訳『ジット・プミサク――戦闘的タイ詩人の肖像』(鹿砦社、1980年12月)を読むことができます。前者の「カラワン歌集」には、『人と水牛』に収録されている「人と水牛《コン・ガップ・クワーイ》」、「コメのうた《プープ・カーウ》」(めしを握る)、「雨をまつ稲《カーウ・コーイ・フォン》」(雨を待つ稲)、「村からの便り《マーイヘート・ジャーク・ムーバーン》」、「ジット・プミサク」、「黄色い鳥《ノック・シールアン》」、「やめてくれ《ユット・ゴーン》」(待ってくれ)、「うさぎとかめ《グラターイ・ガップ・タウ》」の訳が掲載されています。

 森下ヒバリ編『カラワン・ソングブック CARAVAN SONG BOOK』(ビレッジプレス、2004年10月)は、カラワン楽団結成30周年に合わせて制作された冊子です。カラワン楽団のレパートリー(一部、解散後のソロ作品)から25編の訳詞(小野崎忠士氏、高岡正信氏による)が、メンバー紹介、ウィラサック・スントンシーへのインタビュー「カラワンの誕生から三〇年」、アルバム紹介、交流のある豊田勇造氏のエッセイとともに収められています。
 アルバム『人と水牛』収録曲は、「人と水牛 コン・カップ・クワーイ」、「雨を待つ稲 カウ・コイ・フォン」、「黄色い鳥 ノック・シールアン」、「待ってくれ ユット・コーン」が掲載されています。訳詞は掲載されていませんが、アルバム紹介には "เปิบข้าว (Berp Kow)" が「ペープ・カーウ(めしを握る)」と記されています。日本語の題名は、『カラワン・ソングブック』をベースに、不足分は『カラワン楽団の冒険 生きるための歌』の「カラワン歌集」から採ったようです。

森下ヒバリ編『カラワン・ソングブック CARAVAN SONG BOOK』
(ビレッジプレス、2004年10月)版画・畦地あつ

 謎と言いますか、何を参照したのかすっかり忘れてしまっているのが、"ชาวนา (Chaona)" の「遠い銃声」です。2013年の時点では、ウェブ翻訳で確認しなかったと思うのですが、「農夫」の意です。Smithsonian Folkways盤でのタイトルも "Distant Gunfire Sounds" となっていますが、これは歌詞の出だしに基づいています。英語題に基づいて「遠い銃声」としたのでしょうか。


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