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ヒグマ駆除を拒否する道猟友会
はじめに
北海道でヒグマをめぐって問題が出ている。地元のヒグマ駆除要請に北海道の猟友会が拒否するという姿勢を示している。それには事情があるようなのだが、皆さんはどう思うだろうか?
秋田でもクマを殺すのは可哀想というふざけた苦情が来ていたそうだが、北海道はまた違う問題があるようだ。それについて解説していこう。
北海道のヒグマ問題
北海道に限らずだが、最近街でのクマの目撃証言が増えている。人間による山の開発が主な理由ではあるが、猟師の高齢化による駆除数の減少なんかも理由にありそうだ。
目撃証言などはひぐまっぷというサイトで見れるのだが、結構な数がある。同じクマの目撃証言もあるだろうが、それにしても多い。
秋田県ではツキノワグマが出るのだが、北海道の場合はヒグマになる。ちなみにツキノワグマはオスで体長1.2-1.8m、体重は50kg-120kgだが、ヒグマは体長2-2.8m、体重は250-300kgになる。ツキノワグマですら人間では手に負えない力を持っている。ヒグマであれば人間などひとたまりもないことはお分かりいただけるだろう。
詳しくはこちらの記事を読んでいただいて
秋田県のクマ捕獲にクレームを入れるひと
麻酔銃の実際や、捕獲して森に帰す意味のなさを書いている。
ヒグマは賢いし、自分の獲った餌には執着する。一度覚えたら忘れることはないだろう。少し前にはOSO-18という大きいヒグマが北海道を震撼させた。牧場にいる牛を襲ったりするのだ。
ヒグマとヒトが戦うなら猟銃を持ってもまだ難しいのだ。
北海道での警察と猟師の事件
北海道の問題は秋田県と一味違う。数年前に北海道ではこんな事件があった。
ある自治体が猟友会にヒグマ駆除要請が出た。そしてヒグマを撃たないといけないわけだが、場所が本来猟銃を撃ってはいけないところだった。しかし、警察も同行しており、その猟師は「撃っていいか?」と聞き、「大丈夫だ」と応えたのでヒグマを撃って駆除したという一件があった。
この流れを聞いておかしいところはあるだろうか?本来撃ってはいけない地域ではあるものの、方々に安全を配慮して撃ったとされている。そして、警察の許可も得て行動に及んだことも確認されている。
しかし、後日この猟師は警察からの訴えで危険な地域で発砲したとして猟銃を取り上げられている。
この猟師は違法性を訴え裁判になり勝訴するのだが、確か検察が控訴しており、裁判は途中だったと思う。
この一連の流れを受けて猟友会は駆除要請を拒否しているのだ。
それはそうだろう。これは拒否する。ヒグマ駆除は文字通り命懸けだ。そもそも駆除費用が安いという問題も既にあった。散弾銃の飛距離でもかなり優位な位置でなければ危険だし、ライフルですら当たり方が悪いと頭蓋骨に弾かれたりする。
すぐに仕留めることができなければ、激オコのクマが襲ってくる。それはそうだろう。クマからすれば爆音と共に攻撃してきた敵なのだ。向こうも命懸けだ殺す気で襲ってくる。一般のひとはわからないと思うが、野生の動物の本気、殺す気で向かってきた時本当に動けなくなるし、硬直する。シカやイノシシでも本当に怖い。クマとなれば別格だ。それを警察なり、自治体が自分でできるのか?ということになる。
解決策は?
大きく2つだろう。「警察が謝る」か「警察ないし自治体が自分でやる」しかない。どちらにしても駆除費用の大幅アップは否めない。少なくとも警察が悪いと言っていいだろう。
警察がクマを駆除するなら拳銃を使うわけだが、警察が使っている拳銃はサクラ360というリボルバーだ。とてもじゃないがヒグマは一撃で殺せない。6発入りで1発は空砲なのでMAX5発撃てるが有効射程距離が25mだ。ヒグマは最高時速60kmで走ると言われている。0からのスタートなのでもう少し遅く平均時速30kmとしよう。秒速8.3mだ。有効射程距離をMAX使ったとして、3秒で詰めてくる。その間に仮に残り4発撃てたとしてもクマは即死しない。間違いなくクマを撃った警察官は死ぬだろう。その後クマも死ぬかもしれないが、ヒトを殺す時間はあると思う。これほど無理ゲーなのだ。
おわりに
そもそもの環境破壊の問題も解決しないといけないだろう。ヒグマも山から降りたくて降りているわけではない。冬眠前に栄養を蓄えるために餌を探してる結果に過ぎない。ただ、栄養をしっかり摂れないと穴持たずという冬眠しないヒグマになる。そうなると性格が非常に荒くなると言われている。
そして、一度街に降りて美味しい食べやすい餌を知ってしまっては山では生きていけない。街に食べやすい餌がいっぱいあるのだ。ヒトの出したゴミかもしれないし、ヒトそのものかもしれない。一度山を降りてしまったヒグマは撃たざる追えないのではないかと僕は考えている。