美は乱調にあり
ゆきひら
週末は高山に出た。
市内から車で20分程走った、山の麓の民家がその夜の宿であった。
私と娘は、ここの岩風呂の湯に浸かった。泊まり客は少なく、思いがけず、二人きりとなった。娘と湯に入るなんていつ以来だろう。
立ち昇る湯気の向こうで、大学生の娘は恥ずかしがって、私に背を向けてばかりいた。
時々覗く、胸の膨らみは大きくない。なのに、ウエストから骨盤へかけてのラインが急に膨らむ。まるで、神様が筆を持って今、まさに描いている最中というのに、急に思い立って、大きく、太く弧を描いてみせたかのようなアンバランスさだ。
美は乱調にあり、という言葉を思い出した。
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