合格した年の合格発表日の話
今回は、司法試験に合格した年の合格発表の日について
書こうと思います。
司法試験合格発表の前日、
私は「明日は司法試験の合格発表」という現実を
抱えきれず、自宅を出て、現実逃避の旅に出ました。
当時、夫は仕事の関係で単身赴任をしていたので、
夫の赴任先に行って、そこでオンラインで合否を確認して、
不合格だったらそのまま近郊の温泉にでも旅行に行こうと、
最低限の荷物を持って家を出ました。
というのも、私の合格した年は、コロナの影響で、
法務省前での合格者受験番号の掲示がないことが決まっていたので、
合格したとしても法務省に行くことはなく、
だったら遠くに行ってしまおう、と考えていました。
もし、掲示があったら
「合格していた場合には絶対に法務省に行きたい」と考えていたので、
遠出はしなかったと思います。
そして、夕方ごろに現地に着き、
スーパーでこれでもかというほど、
好きな総菜やお酒を買い込み、
夫の赴任先の自宅で過ごしました。
翌日、合格発表の日。
夫は通常どおり出勤したので、
私は一人きりの状態でした。
起きていても、落ち着かないだけなので、
できる限り長く寝ていたいと思っていましたが、
昼前には目が覚めました。
ヒルナンデスをみて、
ミヤネ屋が始まる段階(午後2時頃)で、
「このままここに居ても気が狂いそうだ」と思い、
近所のスタバへ。
スタバで合否を確認することにしました。
もし不合格だった場合、
自分の精神状態がどうなるのか予測ができず、
極端な話、一人で居たらよからぬことをしたくなってしまうのではないか
という不安すらあり、
でも、家族など周りの人達と一緒に合否を確認するのは、
不合格だった場合に気を遣わせたりするのも嫌だと思い、
(同じ理由から、「レンタル何にもしない人」に依頼して合格発表に立ち会ってもらってた方も居ましたよね。私が合格した年だったかは覚えていませんが・・・。)
スタバで他にもお客さんや店員さんがいる状態であれば、
不合格であっても理性は保てるのではないかと考えて、
スタバで合否を確認することにしました。
合格発表時刻である午後4時まで、2時間弱過ごし、
ネットを見たり、いつも思考を書き留めていた無印のノートに、
今の自分の心境をまとめたり、
ソワソワ落ち着かない時間を
過ごしました。
そして、ついに、午後4時。
iPadを使って、法務省のHPを開こうとするものの、
サーバーダウンしており、なかなか開けず。
やっと開けて、合格者の番号が表示されたと思っても、
前の方の数字だけが表示されており、
私の受験番号はかなり後ろの方なので、
自分の番号まではまったくたどり着けません。
その間、何度か、私のアップルウォッチが、
心拍数の異常検知を知らせてくれ、
自身の緊張を改めて実感・・・。
こんな異常検知の通知は、後にも先にもこれ限りです。
法務省HPと格闘すること約30分。
ついに、自分の受験番号が見られるであろうページにたどり着いて、このままスクロールすれば、自分の受験番号があるかないかを見ることができるという状況になり、
ふた呼吸くらい置いて、いざスクロール!
「あっ、あった!」
と思わず声が漏れました。
一瞬にして、これまでの辛かったことや、
悲しかったことがよみがえってきて、
自分の受験番号があることに感動しました。
急いで写真を撮り、
自分の母と夫にLINEで送信。
そして、急いでスタバを出て、母に電話をかけ、
その後は、親族や友人にも報告しました。
親族は泣いて喜んでくれましたが、泣きながら電話をかけてきてくれた友人がいたり、家族ぐるみで幼稚園時代から仲良くしてきた友人のお母様からは、こんな立派な花束が届いたり。
ある意味、親族が喜ぶのは当然だと思っていた部分があったのですが、友人にまでこんな祝福を受けたことが正直意外で、「司法試験ってすごい試験なんだ」と、どこか俯瞰してしまうような、他人事のような気分になったことを覚えています。
とはいえ、司法試験の合格発表って、
保管していた受験票に記載されている受験番号が、
法務省のHPに載っているかどうかを確認するだけなので、
「え、本当に受かった?受かったってことでいいんだよね?こんなに色んな人に報告しちゃってるけど、間違ってないよね?」とずっと不安でした。
夜くらいに、出身ロースクールから祝福メールがきたり、
中国新聞に記載された合格者名簿で自分の名前を見つけて
(今でも中国新聞での掲載はやっているのでしょうか・・?)
ようやく、「どうやら本当に合格したらしい」と
少しずつ実感が沸きました。
ただ、司法試験に合格したら、空が明るく見える
というようなことを聞いたことがあったので、
楽しみにしていたのですが、、、そうでもありませんでした。(笑)
正直、合格発表当日は、嬉しさもありましたが、
驚きの感情が強く、
また、色々な人に連絡をしたり、
修習にいくためのスケジュールの確認を最低限したりなど、
心身共にバタバタしていて、
その喜びを実感する余裕がなかったというのが、
正直なところです、
でも、この日のことは大切な思い出であって、
弁護士になってから、
心が折れそうになった時に、
合格発表日の写真を見返して、当時の気持ちや、
周りの人達に祝福してもらったことを思い返して、
せっかく合格して、弁護士になるチャンスを与えられたのだから、
頑張ろう!と自分を奮い立たせています。