SHOWROOMという名の揺り籠

 SHOWROOM(以下SR)のバーチャルの配信を見るようになって3年になるが、SRを長く見ていると戦場を他に移す者は少なくない。
SRとYou Tube以外のプラットフォームはあまり見ないので他がどうかは分からないので、ここではあくまで個人的な見解で語らせてもらう。

 個人的にSRは配信を始めるプラットフォームとしては手軽な部類だと思っている。
スマホ1台からでも始めることができ、どういうリスナーが配信に来ているかがアバターである程度は可視化されるからだ。
SRに限らず、最初から有名な者でもない限り配信初期はどうしても一人語りをする壁打ち配信になるのはどのプラットフォームも同じだろう。

リスナがーアバターで可視化され、その者のプロフィールも見れるのでコメントしている者とのやり取りや話題の切り替えなどもしやすい。
SRのシステム上、無料ポイントの星を集めるついでに立ち寄ったルームの話や雰囲気を少しだけ見てファンになるなんて事も珍しくない。

リスナー側としても他プラットフォームのように入室は表示されても、いつ退室したかを配信者に見られないので、あまり心苦しくなく他へ行くことが出来るのもメリットだ。
とまぁ、SRはファンを作りやすい環境が比較的揃っているプラットフォームである。

You Tubeのメリットとデメリット

 一方でYou Tubeの場合は、Vtuberだけも母数があまりに多く、TwitterなどのSNSを駆使して誘導ラインを積極的に活用し、外部から引っ張ってくる必要がある。
SNSの重要性はどのプラットフォームも同じだが、You Tubeを視聴しているユーザーの多くの特性としてYou TubeからTwitterをフォローするユーザーは少ない。
ホーム画面で表示されるオススメや別動画からのジャンプもあるものの、大手でもない限りは期待値はあまり高いとは言えない。

しかし、生配信を動画として残せたりするので、気がついたらチャンネル登録者数が増えていたり、収益化可能になっていたりとメリットがある。
なので、一度動画を出してしまえばある程度の成果が出るとも言える。
(実際には動画の再生時間やクリック率、検索されやすいタイトルなど色々と注視する点が多いのだが…)

チャンネル登録者数が3万人を超え(ゲームチャンネルの場合は、チャンネル登録者数は1000人以上)になるとメンバーシップ機能が解放される。
これで収益をより伸ばすことも出来るので、活動費用をより稼ぐ事が可能になる。

ただし現実問題として、収益の大半はスーパーチャットで賄われているのが現状で、配信メインで収益を確保していると収益剥奪など起きようものなら一気に無収入へと転がる。
そのため、pixiv FAN BOXやnote、別プラットフォームでの活動なども視野に入れておく必要はあるだろう。

お金があるという事は配信環境を整えたり、もっと多くの企画を考えやすくなるなどメリットが多い。
エンタメで金稼ぎをするのは悪とする者は近くに居た所で良い影響は与えないので、さっさと切ってしまう方が他のリスナーのメンタルにも良い。
この辺の考え方はプラットフォーム関係なく配信者とリスナー共に持っておいた方が良いだろう。

揺り籠としてのSR

 最初SRを見た時は「なんか機能も多いし、なんだここ?」と思ったものだが、慣れると星投げという独自のシステムやアバターなど、リスナー側も"個"を主張しやすい場で、配信者に認知されやすいなど案外居心地が良いものだったりする。

しかし、配信サーバーが安定しない、アクティブユーザーが増えにくいといったデメリットもある。
そのためSRでの活動を主としていたVは一定のラインになるとよりリスナー数を増やすためにYou Tubeへと主戦場を移すようになる。
寂しさを感じない訳ではないが、リスナーの頭数が増えないという事は緩やかな死に繋がるという事だ。
例えヘビーリスナーでも離れる時は離れてしまうもので、リスナーの母数が減るという事は配信者側のモチベーションにも関わってくる。

特に企業Vの場合は収益も活動を継続するかどうかの判断になるので、メインに活動する場所を移すのは自然な事と言える。

 では、そうなった時のSRでの活動のメリットは何か?それはもちろんガチイベの時にこそ発揮されるだろう。
SRで育った者が外部で力をつけてSRという辺境の地に凱旋して来るのだ、他の者にとっては驚異でしかないが、ファンにとっては逞しく見える。

他にもYou Tubeや動画では配信者と距離を感じるというファンも、距離の近いSRの方が好みという者も全然居る。
特にSR時代から追っているファンにとっては、"推しがSRで配信をする"ということ自体がファンサービスだったりするのだ。
つまり、SRでの活動継続はヘビーリスナーを繋ぎ止める事にも有効といえる。

 SRに不満が無い訳ではないが、SRでおっかなびっくり配信していた推しが羽ばたいて行くというのは寂しくもあり、同時に誇らしくもある。
まさに、「儂が育てた」というやつだ。
このように、SRはVとファンにとって揺り籠のような場所だと思う。