流産の話だけどバタバタすぎてそれどころじゃない話
息子が1歳半に差し掛かりそうな頃、第二子の妊娠が発覚した。
息子の体質のこともあり、私と夫の遺伝子検査の結果を聞いた上での計画妊娠だったけど割とすんなり妊娠したので拍子抜けしていたくらい順調に思った。
今度は息子の育児をしながら妊娠生活を送らなければいけない!前回の重いつわりや切迫流産の経験から不安が多々あり、乗り越えられるのか心配もあったけど多くの家庭がなんとかやっていけてるんだから、妊娠した以上私が頑張るしかないのだ、そう思っていた。
最終生理日からのカウントで6週になった頃に初めて産科へ行くことに。
すると「袋はあるけど週数にしては小さいね。また2週間後に来てください」との事だった。
正直もうこの時点でダメだと思った。でも悲しさとか不安とか、それよりも家で仕事をしながら息子を見ている夫の状況の方が心配だった。
会計待ちの時間で「妊娠初期 週数より小さい」とスマホで検索をしたきり、それ以降不用意な検索をすることはやめた。
そして急いで家へ帰ると部屋中がおもちゃで散らかり、息子は泣いていて、夫はお昼ご飯を作っていた。
みんなそれぞれが必死だった。
もしこのままお腹の子が育ったとして、これ以上の地獄絵は日常茶飯事になるのであろう。こんなのはまだまだいい方なのかもしれない、でもその時の私にとってはこの目の前の状況が絶望的に思えた。
泣いている息子は構ってもらえないのと眠いのとでぐずっているとわかったので、夫には足早に「袋はあったけど小さいからまた2週間後に行くよ!今回はだめかもね!」と伝えて息子と寝室に行った。
それっきり夫も気を使ってかあまり妊娠のことについて2人で話す事もなかった。
袋が小さかろうが何だろうが悲しみに浸る暇もなく、息子と2人で過ごす日常はどんどん過ぎていき、息子を抱っこしながらベビーカーも担ぐし体調が悪くても寝ていられるわけもなく、そんなこんなであっという間に2週間は経った。
「受診は10時だから朝イチで買い物済ませてくるね」と夫が買い物に行った。
しばらくして、そろそろ支度しておこうかなと診察カードにふと目をやった瞬間、私の頭の中にはガキ使のテデーンが流れた。
「予約時間9時やん!!!!!!」
今なんじ?!そうねだいたいね〜
人はなぜピンチになると頭の中にBGMが流れるのだろうか、私だけだろうか。
今は8:30、私はパジャマ、夫は買い物中、息子はこれ読んでくれと絵本を持ってきている。
すぐに夫に電話をする
「今どんな状況?私予約9時だった!」
「え?!今これから会計だよ!」
「もう間に合わないから(息子)連れてくね!また連絡する!」
私は一方的に電話を切り、パジャマを脱ぎ捨てマスク装着、絵本を持って文句を言っているオムツと肌着姿の息子を着替えさせベビーカーへ乗せる。
なぜ、こういう日に限って雨なのか。
まだ使ったことのないベビーカー用のレインカバーを使い方もわからずとりあえず装着。私は傘をさし早歩きで産婦人科へ向かった。
不満そうだった息子は初めてのレインカバーと高速ベビーカーの揺れを楽しんでいたようで途中からキャッキャしていたが、傘をさしながらの早歩きベビーカーは危険なのでくれぐれも真似はしていただきたくない。
どうにか産婦人科に到着し急いで受付を済ませ、夫にラインをしようとスマホを見たら9時ぴったり。
ギリギリセーフなのかギリギリアウトなのか。
私は汗だくでウォーターサーバーの水をいただいた。急いでかばんにつっこんだ息子のマグを渡すと息子はマグを床にぽーい。
母を試しているのか?しかし今はそんな状況ではないのだ、息子よ。
無言でマグを拾いお尻ふきで拭いてかばんにしまった。息子は私のリアクションがなくて不満げである。
そうこうしているとすぐに診察室に呼ばれた。
袋は大きくなっているけど赤ちゃんが育ってない、流産の流れになるから週明けに処置をしましょう、と医師が言いづらそうに話した。
覚悟はしていたのととにかく汗がとまらない暑さなのと、最初診てもらった時あまりいい印象を受けなかった先生だったけどこんな言いづらそうな感じになるんだな〜と悲しさ以外の感情が勝っていた。
家に帰ると夫が玄関のドアの鍵穴に油をさしていた。
「会計して急いで帰ったけどもういなくてびっくりしたよ。早かったね!てか見事な水玉だね!」
夫に指摘されるまで気がつかなかったけど
息子の服の上下がチグハグな水玉模様だった。
夫にどう切り出そうか考えてる暇もなく息子がぐずりだしたのでそのまま寝かせることに。
夫にはまだ話せていない。けど聞いてこなかったから察しているのだと思う。
とにもかくにも、私は悲しみに浸る暇がない、と息子が眠る横でこれを記しているのであった。
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