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隠語

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【あらすじ】 タクシー運転手である田代は、ある夜、一人の女性をタクシーに乗せる。タクシーの中でその女性と言葉を交わしていると、その女性の様子に次第に違和感を感じ始める。
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2024年6月の記事一覧

隠語(第1話)

1  田代勇輝は、O街道をタクシーで走っていた。  時刻は午前零時を回っており、流石にO街道を走る車の量は減ってきている。道路の脇の歩道には、人通りは全く無くなっていた。  先ほど長距離の客をM駅で拾って三十分くらいの距離にあるW町まで乗せて行き、そしてまたM駅に戻る途中だった。  田代はタクシー運転手になってまだ日が浅い。  もともとはメーカーで営業をやっていたのだが、3か月前にタクシー運転手に転じた。 メーカーに勤めていた時は仕事のノルマは厳しく、業務効率化の名のもと

隠語(第2話)

 女性はそれほど興味があるわけでもないのか、その隠語についてそれ以上訊いてくることはなかった。  田代は気を取り直して前方に集中する。  ちらちらと横目でメーターを確認する。大丈夫だ。法定速度はしっかりと守っている。  一か月前に、昼寝をしようと路肩にタクシーを駐車して、寝ていると、警察に窓をコンコンと叩かれたことがあった。何事かと思って窓を開けると、 「ここは、駐車禁止エリアだから」  その中年の男性警察官は、事務的な口調で田代に告げた。  結局、違反切符を切られてしまい、