唯一無二の景色に包まれる隠れ家、NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA
その名の通り、”ただのホテルに非ず”、NOT A HOTELをご存知だろうか。毎年10泊分から所有でき、自分の別荘利用、ホテル貸出しの切り替えがアプリ1つでできる全く新しい”住まい”のあり方を提供するサービスだ。彼らがハウスと呼ぶ複数のアイデンティティをもつ建築物は、直近ではNIGO氏など異業種のアーティストとコラボレーションをするなどの業界の常識を覆すクリエイションというハードの面のみならず、数億円するハウスのオンライン販売、NFTでの宿泊権の売買、スマートホームの開発など、顧客体験すべてがデジタルで完結するといったソフトの面においても革新的なアプローチをする注目のカンパニーだ。
浅間山の大噴火がもたらした奇跡のランドスケープを生かす建築
今回の訪問先は、NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA BASE(以下BASE)。軽井沢より車で30分ほど北上した群馬県嬬恋村の浅間山の麓にある敷地内には約240年前の大噴火時の溶岩の塊が点在していて、野生的な自然が残されている。従来デベロッパーにとっては厄介である大きな石を取り除かず、ランドスケープとしてあえて生かした建築をつくるという点においてもイノベーティブな精神を感じることができる。
「大きな一枚岩、そこに根を張る木々たち。表層密度の低い溶岩だからこそ、植物や大きな木が根を張ることができるその独特の景色は、世界中探してもここしかない。代表の濱渦ともに、この地のランドスケープ的な魅力に、僕たちはまず一目惚れしました。」と語るのは、設計を担当した北田翔さん。
森に小さく佇むような小屋をイメージして設計されたという、切妻屋根の家型のBASEは、S、M、Lの3サイズに加えナチュラル・ブラックの色展開があり、洋服を選ぶように気分や用途によって選ぶことができるようになっている。たとえば2人組で利用するならS棟、4人家族ならM棟、グループで利用するならL棟など。iPhoneのようにデザインの構成はあまり変えずに、サイズが大きくなるにつれ機能=部屋数やサウナや岩風呂の有無などがアップグレードされていく。
NOT A HOTELにとって環境を考慮した建築はスタンダードになっていくと話す北田さん。屋根には、モノクロームの屋根一体型太陽光パネルRoof-1が採用されている。
北田さん「現代建築において環境配慮だったりとか、オフグリッドの考え方は、無視できないはいものになっている中、意匠性の良いものって中々ないんですよね。さらに日本国内で使用する際に保証がきちん提供されているものは結構限られてくる。国内外様々検討しましたがその中で、1番意匠性が高いのがモノクロームのRoof–1でした。」
異業種間コラボレーション。ファッションデザイナー相澤陽介氏監修の家
BASEは、White Mountaineeringを手掛けるファッションデザイナー相澤陽介監修のもと設計された。相澤氏とのコラボレーションだからこそ成し得たストーリーを北田さんに伺った。
北田さん「僕たちは建築のロジックで考えがちなのですが、相澤さんは発想も着眼点も違いました。例えば色やスペースの捉え方に対して繊細であること、僕ら建築業界では、家と外のつながりは、内部・外部・半屋外と3つ程のレイヤーで考えがちなのですが、相澤さんはファッションデザイナーの視点でその辺りのレイヤリングの捉え方がすごく繊細で、空間もそれ以上に細かいレイヤーで見えているようでした。」
S棟は敷地内に点在する巨大な溶岩石の上に配置し、建物とランドスケープが一体となるような、この場所を象徴する建築を目指した。M、L棟は植物と溶岩石が融合するランドスケープを最大限取り込むようにデザインされている。
北田さん「内部に使用する木の色に対しても、それより少し暗くしたい、明るくしたいといった色の感覚で、木材に着色して微妙な木材の色ニュアンスを合わせていく。カラーのトーンの感覚は、明らかに僕たちよりも繊細な感覚をお持ちだったので、コラボレーションしてすごく学びになりました。」
北田さん「L棟には、神奈川県の真鶴で取れる小松石という岩をくりぬいて作った浴槽があるのですが、断崖絶壁の採石場まで相澤さんと一緒に行って、巨大な原石を4つぐらい並べて、どれにするか一緒に選んでいます。フリッツハンセンの椅子も特注でして、張地も相澤さんオリジナルのテキスタイルです。オリジナルテキスタイルはクッションをはじめお客様がお召しになれるガウンやスリッパにも使用されています」
アメニティもスタッフ厳選で、スキンケアやバスグッズはAesop、竹製の歯ブラシやコーム、歯磨き粉はMARVIS。空間、その中でのくらしを構成する要素ひとつひとつのピースへのこだわりには一寸の隙もない。
設計者としてだけではなく、オーナーとして一生付き合っていく
企画、設計の基本計画、実施設計だけではなく、現場管理から一気通貫で担当したプロデューサーでもある北田さんは、BASE S棟のオーナーでもある。
北田さん「僕としては代表の濱渦と相澤さんと一緒に物を作ることって、多分この後の人生で無いと思ったんですよね。こんな恵まれた座組で、 それを自分で所有するチャンスがあるんだったら、買わない理由はなかったです。オーナー候補の方を案内してる時、”僕も実はオーナーなんです”ってお伝えしたら、安心していただけたり。自ら所有することで、現場管理の延長でこの場所と付き合うのでは無く、オーナーとしてこの場所と残りの人生付き合うっていうもう1つの覚悟の現れみたいな形です。周りからは、あれ、僕が所有するS棟だけなんか特別仕様なんじゃない?と言われてしまいましたけれどね(笑)」
アプリ1つで予約からチェックインまで可能。消化しきれなかった分は宿泊に出して収益を得ることもできれば、プレゼントすることができる。また、自分の泊数を利用して、KITAKARUIZAWAではない他のNOT A HOTELにも相互利用として宿泊することも可能だ。(物件のグレードによって差額が発生する場合あり)
北田さん「自分のために予約をしていたのですが、スケジュール的に行けなくなってしまったんです。でも、宿泊権はギフトにできるので今回は親にプレゼントしました。自分で消費することもギフトもしない場合、自動でホテル利用の方に振り分けられますので、その枠がアプリで売り上げとして戻ってきます。」
「また、スマートホームというものを開発していて、部屋のライトや空調などはタブレットから操作することができます。アプリでキーを受け取り誰にも会わずにチェックインからチェックアウトができますが、困ったことがあればアプリからコンシェルジュに連絡することもできます。」
四季折々の野生的な自然を楽しむ
北田さん「北軽井沢は野生的な自然がそのまま残っている、奇跡的な場だと思っています。ゆっくり大切な人たちと自然の中に包まれることを楽しんでいただきたいです。この場所って結構四季折々ですごく表情が違うんですよね。冬は深い時で1mほど雪が積もるのですが、雪が音を吸収するので、すごく静かで胸のすくようなランドスケープになりますし、春は新緑が2週間ぐらいで一気に芽吹いてきて、生命感あふれる爽やかな自然が広がります。今は夏で1番緑が深いタイミングで野生動物も遊びに来たりして、朝起きたらすごく鳥の声が聞こえて気持ちよかったりとか、自然を目いっぱい感じるような風景が広がります。秋には落葉樹の葉がすべて落ち、その紅葉に包まれる季節も綺麗なんですよね。ハイシーズンは 軽井沢に合わせて夏と冬に設定されていますが、春夏秋冬いつ来ていただいても季節に合わせたランドスケープの魅力があります。」
BASEの一般宿泊は一休.comなどのホテル予約サイトから利用することが可能。また現在(2024/8/30時点)オーナー向けにはM棟が1棟のみ販売されている。今後このKITAKARUIZAWAエリアに別のモデルも販売される予定なので、気になる方はNOT A HOTEL公式サイトでニュースレターをサブスクライブしてみてはいかがだろうか。
NOT A HOTEL KITAKARZUIZAWA BASE
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モノクロームについて
モノクロームは、創業者の梅田優祐が自宅を建設する際に、理想の住宅用太陽光パネルと、つくられた自然エネルギーを効果的に制御するためのソフトウェア(HEMS)が存在しない問題に直面したことをきっかけに、その問題を解決するため、2021年7月に設立された会社です。
HP: https://www.monochrome.so/
Instagram:@monochrome.so
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Text&Edit:Miko Okamura Ellies
Photo:Kenta Hasegawa / Christopher Ellies