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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

都市伝説解体センターのクリア後感想

【ネタバレなし感想】
まず、全体の感想としてすごく面白かったです。
最初は淡々とノベルゲームを進めていくような感覚で少し単調かも…?と思っていましたが、中盤からは物語が加速して、ラストまでストーリーに引き込まれてしまいました。
結末も好みで、珍しい展開と言わけではないですが、序盤から丁寧に誘導されて行って最後どうなるの…?ってとこで、あーそう来たか!という気持ちよさがあります。

あと、主題歌もすごく好きです。
リズム感が気持ちよく、でもオドロドロしいような感じがとても良かったです。主要な部分で何度か主題歌が差し込まれて行くのですが、その感じが映画っぽく、ラストの雰囲気にもつながっていてとても良かったです。











【ネタバレあり感想】
・3章以降のストーリーについて
 ネタバレなし感想で書きましたが、3章以降でグッとストーリーに引き込まれました。3章は「上野ダーク&オカルトツアー」の話で、無作為に選ばれたはずの参加者が実は未解決事件の容疑者で、被害者の親族が復讐を企てていた…という王道の話で面白かったです。(都市伝説は「異界」ということで、きさらぎ駅や時空のおっさんの話が出てくるのも堪りませんでした。)
 4章は都市伝説が「コトリバコ」ということで言わずもがなというか、ワクワクしてしまいました。タネとしは、茶葉とアルコールの飲み合わせで呪いのような幻覚症状が出ていたということで、なるほど…とこの辺は調査していて面白かったです。しかも、この4章エピローグではセンターの先輩「ジャスミン」が止木警視正と呼ばれ、警察組織の人間と分かりましたね。1章からスパイっぽい匂わせがありましたが、まさか警察の潜入捜査官だったとは… 章の話もオカルト好きには堪らなく、ストーリー全体も加速し3章以降は本当に次が気になって仕方りませんでした。
 
・「あずみ」の正体
このゲームで語りたいところは、やはり主人公「あずみ」の正体についてですね。物語が終盤に差し掛かると「管理人」が誰なのかを考察すると思いますが、私は当てることができませんでした。
 物語をそのまま見ていくと廻屋渉=如月弟=「管理人」というのが見えてきますが、メタ的に考えてそれでは捻りがないよなあというのと、勝手にセンター長は味方であって欲しいという願望から他の犯人を考えました。そうなると、あとの候補は主人公の「あざみ」本人となると思います。実際、2章では公園で記憶を飛ばして夜に目覚めたりする気になる描写があり、二重人格で片方が「管理人」なのでは?と考えました。さらに6章では、「管理人」の痕跡に「こんな白装束で出歩くなんて、迂闊!」とギャグめいた突っ込みをしてましたが、あずみの念視は人を判別できるため、これはあずみが「管理人」人格の時はそう見えるのでは…?と疑念が強まりました。
 ただ、そうすると問題が発生します。「管理人」と目される如月努の弟は天才的なハッカーですが、ハッカー要素を持っているのはセンター長の廻屋渉です。あざみのもう一人格を真犯人とすると、如月弟(廻屋)とは別に如月努に因縁のある人物が必要になります。うーん、そんな人いたっけ…
 そんな中、如月努の研究室を調査中に如月努の日記が出てきます。そこで努は弟に両頬に手を添えるおまじないを教えるシーンがあり、あずみはそれに共感します。つまり、あずみも努に育てられた子、実は弟だけでなく妹もいて、弟(廻屋)VS 妹(あずみ)の構図になるのだな!と思っていました。
 はい、はずれです。二重人格や妹ってところまでは行けたのですが、まさか如月努には妹しかいなくて、妹(管理人)=あざみ=廻屋の3重人格だったとは… 確かに如月弟についてはあずみしか言及していなかった…はず。主人公視点だと認識が操作されてるので、その情報だけだと弟が実在しないことに中々思い至れませんね。最初からあずみを信用せずに読んでいれば分かったのかな… でも、あずみの無垢な性格も相まって疑い切れない、そんな印象操作だったのかな。。

・ラストについて
 ラストは崩壊と審判が起こり、混乱の中で廻屋を捕まえようとしたところ、あずみが真犯人であることが発覚、その時には影も形もない…みたいな感じでしたね。それまで小動物のように気圧される存在だったあずみが警察組織を手玉に取って消えていくシーンはギャップ感がありとても好みな展開でした。
 エンディング後のCパートでは、ジャスミンが中東っぽいところに解体センターの噂を追って訪れていましたが、ジャスミンはあずみと関わったことできっと大きく人生が変わってしまったのでしょうね。(そりゃ純粋無垢な後輩が実は真犯人で忽然と姿消したらね…)再会時は、あずみが廻屋との人格切り替えを目の前で披露してくれたり…サービス満点でしたね。無垢さと不気味さが合わさって最高なラストカットでした。(エンディング前のえっ?あずみどうなったの?という感想からこのCパートという時点で既にプレイヤーが見たいもの分かってるな…最高って感じですが)

・ゲーム全体の一体感
 このゲームをクリアして振り返ると、全体の一体感すごかったんだなあと実感できます。まず、全体としてSNSの害、その場の人たちの中で善悪が決められてしまう事などがテーマになっていて、序盤はただの情報収集用のゲームギミックだと思っていたSNS調査もテーマを取り込んだシステムになっていました。また、ゲームの主題歌の歌詞もがっつりSNSを連想させるものになっていて、最後のエンディングだけ歌詞が出るのですが、そこでこんな歌詞だったんだ…と驚きました。
 テーマ的な一貫以外にも、序盤からちりばめられた伏線がとても素晴らしかったです。あずみが思考整理の際にセンター長が頭の中に出てくるのも、ギャグ的に扱われてましたが、実は多重人格で同一人物だからですし、思考整理の直前にあずみが両手を頬に当てるしぐさも如月努に教えてもらったおまじないだったりと、クリア後の振り返りが楽しくなる要素満載でした。

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