写真の色が変わるワケ?ホワイトバランスの設定で変わる写真の世界
1. ホワイトバランスとは?初心者でも簡単に理解できる基礎知識
カメラで写真を撮影する際、「ホワイトバランス」という設定は非常に重要な役割を果たします。ホワイトバランスは、写真における色の正確さをコントロールする機能で、環境の光の種類に応じて、写真の色調を自動的に調整してくれます。
たとえば、曇りの日に撮影した写真が青っぽく見えたり、夕方の屋内写真がオレンジ色っぽくなることがあります。これは、光の色温度による影響です。ホワイトバランスは、この色温度の違いを調整し、被写体の本来の色を再現するための設定です。
初心者にとっては難しそうに感じるかもしれませんが、ホワイトバランスを理解して適切に設定することで、写真の仕上がりが大きく変わります。カメラには「オートホワイトバランス(AWB)」という便利な機能があり、これが自動的に色を調整してくれるため、最初はこの設定で十分でしょう。しかし、特定の場面ではホワイトバランスを固定することがより適切な場合もあります。
2. オートホワイトバランスのメリットとデメリット
オートホワイトバランス(AWB)は、カメラが自動的に撮影環境の光を判断し、適切な色調に調整してくれる便利な機能です。カメラ初心者には非常に役立つ機能であり、特に複雑な設定をする必要なく美しい写真が撮れるという点で人気があります。しかし、オートホワイトバランスにはメリットだけでなく、特定の状況下ではデメリットもあります。
オートホワイトバランスのメリット
手軽さとスピード
AWBは、自動で色調を調整してくれるため、設定を気にせずにすぐに撮影に集中できます。特に初心者にとっては、この手軽さが大きな利点です。多様な撮影環境に対応
室内、屋外、日中や夜間など、さまざまな環境で自動的に最適なホワイトバランスを選択してくれるため、幅広いシーンで役立ちます。
オートホワイトバランスのデメリット
色の一貫性が保たれない
オートホワイトバランスは、光の加減、影の量などによってカメラが判断する色調が異なるため、同じ場所で撮影しても一貫した色合いを保つことが難しくなります。特に連続して写真を撮る場合、色のばらつきが目立つことがあります。特定の意図した色を再現できないことがある
撮影者が意図的に温かみのある色やクールな色を表現したい場合、オートホワイトバランスではその調整がうまくいかないことがあります。特定の雰囲気を狙った写真では、AWBは適切ではないことが多いです。
特にNikonは黄色に寄る傾向がある、と言われています。
3. ホワイトバランスを固定する理由:狙った色合いを再現するために
ホワイトバランスを固定することは、写真の色合いを意図通りにコントロールするための重要なステップです。特に、写真を撮る目的が「狙った色合いを再現する」場合には、オートではなく、ホワイトバランスを手動で設定して固定することが必要です。
理由1: 一貫性のある写真を撮影するため
たとえば、同じシーンや場所で複数枚の写真を撮る際に、ホワイトバランスを固定しておけば、全ての写真で一貫した色調を保つことができます。これにより、色のばらつきがなく、統一感のあるアルバムや作品を作ることができます。
特に室内撮影やスタジオ撮影など、光源が一定の状況では、ホワイトバランスを固定することで、毎回同じ色味の写真を撮影できます。例えば、商品写真やポートレート撮影で色味が変わってしまうと、統一感が崩れてしまいます。
理由2: 自然な色味を再現するため
ホワイトバランスを固定することで、自然な色合いを再現しやすくなります。たとえば、夕焼けの暖かいオレンジ色をそのまま表現したい場合、オートホワイトバランスでは冷たい色に補正されることがあります。しかし、ホワイトバランスを「太陽光」や「曇り」などに固定することで、正確に色温度を反映し、狙った色合いを再現することが可能です。
理由3: 撮影者の意図を明確に反映するため
固定ホワイトバランスを使うことで、写真の色味を撮影者が意図的に決めることができます。例えば、冷たい印象を与えたい場合には色温度を下げ、温かい印象を与えたい場合には色温度を高く設定することで、写真の雰囲気をコントロールできます。これにより、撮影者の創造的なビジョンをより正確に反映させることができます。
4. カメラ初心者でもできるホワイトバランスの設定方法
ホワイトバランスを手動で設定するのは難しそうに感じるかもしれませんが、実際にはカメラ初心者でも簡単に設定できます。ここでは、カメラのホワイトバランスを固定する基本的な方法を紹介します。
ステップ1: カメラのホワイトバランス設定メニューを開く
まず、カメラの設定メニューから「ホワイトバランス」を選択します。ほとんどのデジタルカメラでは、この機能は撮影メニューの中にあります。ボタンやダイヤルで直接アクセスできるカメラもありますので、説明書を確認してみてください。
ステップ2: シーンに合ったプリセットを選ぶ
ホワイトバランスのプリセットには、以下のような一般的な選択肢があります。
オート(AWB): カメラが自動的に調整してくれますが、特定の色味を狙う場合にはこの設定を避けましょう。
日光: 晴れた日の屋外撮影に最適です。
曇り: 曇りの日や陰になった場所で撮影する場合に適しています。色温度を少し高く設定して、暖かみのある色調にします。
電球: 室内で白熱電球の下で撮影する場合に使います。青みを加えた冷たい色合いになります。
蛍光灯: 蛍光灯下で撮影する場合に適した設定です。青みがかかった色を補正して、自然な色味に調整します。
フラッシュ: フラッシュ撮影をする際に最適な設定です。
ステップ3: カスタムホワイトバランスを使用する
プリセットで満足できない場合や、特定の光源下で色を正確に再現したい場合は「カスタムホワイトバランス」機能を使うことができます。この機能では、白い紙やグレーのカードを使ってカメラに基準となる色を認識させ、その場の光源に最も適したホワイトバランスを設定できます。
以下、Canon / Nikon / Sony、3社のホワイトバランス関するマニュアルリンクを掲載します。モデルはフルサイズのスタンダードモデルを掲載しますが、エントリーモデルも現行であればメニュー構成はほぼ同じです。
ステップ4: 何度も試してみる
最後は根性論です。
初心者の場合は、まずはシーンに合ったプリセットから始めて、少しずつ感覚を掴んでいくことが大切です。ホワイトバランスを変えることで、写真がどのように変わるかを試しながら、自分に合った設定を見つけていきましょう。
5. 中級者向け:より高度なホワイトバランスの活用法
カメラに慣れてきた中級者には、基本的なホワイトバランス設定に加えて、さらに高度な方法で色調をコントロールするテクニックを紹介します。これらの方法を使えば、特定の撮影条件や演出に応じて、より創造的な表現が可能になります。
カスタムホワイトバランスの活用
カスタムホワイトバランスを使えば、特定の光源やシーンにぴったり合った色調を自分で設定することができます。この方法は、たとえば結婚式やイベントで照明が特殊な環境である場合や、商品の色を正確に再現したいときに役立ちます。
白やグレーの基準となるものを用意
白い紙やグレーカードを撮影対象の近くに置き、その画像をカメラに読み込ませます。これが基準となり、カメラが光の色温度を正確に調整してくれます。ホワイトバランスを手動で設定
カメラのカスタムホワイトバランス設定から、この基準画像を選び、環境に応じたホワイトバランスを登録します。これにより、撮影環境が変わっても一貫した色調を維持できます。
色温度を手動で調整
ホワイトバランスを固定する際、色温度を数値で細かく調整することも可能です。色温度は通常、ケルビン(K)という単位で表され、低い値(2000~4000K)は冷たい青い色合い、高い値(5000~8000K)は暖かい赤い色合いを表します。
低い色温度(3000~4000K): 冷たくクールな印象を与えたいシーンに適しています。雪景色や青い夜空などを強調したいときに使用します。
高い色温度(6000~7000K): 夕焼けや暖かみのある写真を撮りたい場合に適した設定です。
ホワイトバランスブラケット機能を活用
一部のカメラには「ホワイトバランスブラケット」機能があります。この機能を使うと、一度のシャッターで異なるホワイトバランス設定を適用した複数の写真を撮ることができます。これにより、後から最適な色調を選びやすくなります。
ブラケット撮影を行う際はシングルショットではなく、連写撮影を行いましょう。ですが、ブラケット撮影を行うくらいなら、下のRAW撮影を行った方が無難です。
RAW現像で後から調整
中級者が取り入れたいもう一つのテクニックは、RAW形式で撮影し、後からホワイトバランスを調整する方法です。
上記で解説しているホワイトバランスの固定はあくまでJPEGのデータに対する設定です。RAWの場合、ホワイトバランスの数値は全て記録されるため、後からプリセットを設定し直すことも可能ですし、マニュアル設定を行うことも可能です。
まとめ
以上、ホワイトバランスを固定する必要性についてでした。
黄色と青色、緑とマゼンタのバランスを手動で調整するのは中々大変ですが、その写真の印象を大きく変えることが可能です。
白色に合わせる意外にも、冷たく見せる、暖かく見せるなど、見せ方も調整できるため、この機会にホワイトバランスについて改めて見つめ直してみてください!