見出し画像

お宝かもしれない(3−1)

 先週、こんな夢を見た。

 ちなみに「ぼけパ」というのは、認知症になって昨年84歳で他界したパートナーのことである。あじさいが生えてきちゃった ねこは今回どうでもよくて、本題は吊るしてあるスーツ。気になったので見てみると、その裾の奥のほうに見覚えのある古そうな白い紙箱が鎮座していた。
 ええと、コレなんだっけ。
 開けてみると外箱より一回り小さな桐箱に紐が掛けられた姿で思い出した。あー、銀杯だ。ぼけパの生前、一緒に開いて見たことがあったが、特に用事もないもんだからしまい込んだのだ。今となっては完全に遺品である。
 文字通り、ひもといて───ひもとくには2つの意味があり、「紐解く」と「繙く」で書き分けられている。前者はそれこそ文字通り衣服の紐をほどくこと。つぼみが開くという意味もあるらしい。後者は書物の知識に触れることである、と。
 じゃあ、この場合は紐解く、だな。で、確認すると杯の底部中央には大きな桐紋、外側には「贈 内閣総理大臣」の箔押しがある。

桐箱の紐をほどいて開封

 内閣府のサイトによると、杯の紋章は桐紋と菊紋の2種類あり、授与対象として桐紋は褒章条例に基づき授与されるものらしい。
 かつてぼけパ家で褒章をもらうようなことがあったのだろうか。それはいつ頃なのだろう。100歳を迎えた先祖はいないし、誰かが何かの功労賞をもらった話も聞いていない。一つだけ、あるとすれば消防団の退職・退団記念かもしれない。
 ぼけパ父が早稲田で伊勢丹の工場長をやっていた頃、近所で火事が多発していて工場も被害に遭って大変めんどくさかったという経緯から、町内の消防団長的なものを任命されたそうだ。昭和10年〜20年のことだが、すでに確認のしようがない。

 お国から授与される銀杯、全部かどうか不明だが、ある時期から材質が銀ではなく安価な金属に銀メッキを施したものへ変更されているらしいので、純銀製あるいは92.5%でなければ、ただの金属。不燃ごみである。
 いずれにしてもウチにあったところで屁のつっぱりにもならない。金銀プラチナ類が得意そうな買取屋さんを探して査定を申し込むことにした。ついでだから、使っていない指輪数点と銀製のオイルライターも同梱する。

 夢を見たおかげで、ちょうどインフレによる金銀価格の高騰中というタイミングに、しまい込んで忘れていた銀杯と再会することになったのだ。うまいこと高く買ってもらえれば、ぼけパ(夢のお告げ)ありがたやとなるところだが、はたして。

 10月16日現在の地金チャートによると9月下旬あたりを境に金やプラチナは当然のこと、銀の取引価格も上昇していて、その後の値動きも上のほうで行ったり来たりしているのがわかる。

銀価格の推移グラフ

 きょう買取屋さんに発送して翌日到着予定なのだが、銀価格の推移をグラフで見るとまだ上昇傾向っぽいではないか。このインフレがまさか突然デフレに変わって急落なんてことはおそらくないだろうから、少しは期待して良いんじゃなかろうか。
 とは言え、銀はもともと安い。ついでに送ったプラチナと金の指輪のほうが小さいくせに良い値が付きそうな気がしてきた。そうだとイイネ。

 というわけで返事待ちである。
 つづくかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!