歌詞読みについて
歌詞読みについて
寸評で「歌詞読みが甘い」と書かれたことがある人いますか?
歌詞読みって何だろう?
今回は歌詞読みについて書きたいと思います。
「歌唱とは文章にメロディーをつけたものである」と誰か偉い人が言うてはりました笑
つまり、音の良さが先なのではなく、まずは伝えたい言葉が先にあるのが歌唱なのです。
もちろんR&B などのように、歌詞よりも音色の良さで聞かせに行くジャンルがあるのも確かです。でもカラオケ大会で一般的に歌われている歌謡曲や演歌やポップスに関して言うならば、やはり歌詞が伝わることは大事と言えるでしょう。
「その歌を知らない聞き手が、歌詞カードを持っていなくても何を言っているのかがきちんと聞き取れること」
これが歌詞読みの基本です。では具体的にどうすればいいのでしょうか?
第一に発音がしっかりしていること。母音がくぐもっている音では何を言ったか聞き落としやすいし、
子音がはっきりしていなければ「もっと」なのか「そっと」なのかで意味が違ってくる。
まずはクリアに1音1音がぼやけずに発音できるようになりましょう。
第二にブレス(息継ぎの位置)を単語の途中などにもってこないこと。
「ハナミズキ」の歌でサビ直前に
つぼみをあげよう~ 庭のハナミズキ
というフレーズがあります。歌いやすいように何も考えずに発声すると
つぼみをー/あげよう 庭のハー/ナミズキー
となってしまいます。でもね、これタイトルにもなっている大事な花の名前なんです。
きちんと「ハナミズキ」って呼んであげてほしい。でも音符の長さは決まっているからどうしたらいいの?
庭のハーナミズキー というふうに、「ハ」を伸ばしても必ず「ハーナ」と音を繋げてあげてほしい。
こうすることで文章を読み上げるような区切りになると思います。
第三にアクセント管理。ここまで来たらもう玄人の域です。アクセントって分かりますか?
どこに一番強い発声をもってくるか、です。
日本語の「ギター」は「ギ」にアクセントを置くけれど、英語の「guitar」はtaのほうを強く発音しますよね。これがアクセントです。
「涙の数だけ強くなれるよ」というフレーズであれば「な」「か」「つ」「な」が強く読まれるべき音です。岡本真夜さんの「TOMORROW」ではメロディー的にただ歌うだけでこの部分が強く歌えるので自然とアクセント管理ができた歌唱となります。
しかし、最近の歌で特に作曲後に作詞されたものはアクセント管理の難しいものが多いです。単語の途中で高音に飛ぶ時って、どうしてもその高音を強く読んでしまいがちです。でもその音がたとえば「なみだ」の「み」や「だ」だったら?難しいですよね。
高音を力まずに中音域と同じ音の圧で歌えるのを【等圧歌唱】というのですが、その技術があればこのようなアクセント管理の難しい曲でも歌詞読みで失点されることなく歌唱できます。
等圧歌唱が難しい場合は、
なるべく事前の「な」を強めに読んでおくことで高音に飛んだ時にそちらにアクセントがいてしまわないように防ぐことができるというのも小手先のコツですね。
この3点(まずは第1と第2の2点だけでも)を意識して改善できるようになると、聞き手に歌詞がすっと入っていくので「歌に説得力を持たせる」ことができるようになります。