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note、はじめました。
「人の第一印象は出会って三秒で決まる」
カフェで開いた本のその一文に、私はいささか緊張してしまった。そうであるならば「書き手の第一印象は読み始めて何行目で決まる」のだろうか。
アカウント未取得にも関わらずnoteやtumblrに顔を出し、日頃から人の書いたエッセイや日記や小説を楽しんでいた私だったが、「そろそろ自分も随筆活動を再開させよう」と遂にnoteに登録。おろしたてのアカウントを身にまとい、この下書きページに軽やかに舞い降りたまでは良かったが、先の言葉に触れ「一度しかない出会いの瞬間……これは慎重にならねば」と、それまで書いていた自己紹介文をゴミ箱に放り、頭から書き直し始めたのだ。
そしてご覧の通り、気づけば早くも数行を費やしてしまっている。
ああ、すでに読者諸氏の第一印象は決まってしまったのだろうか……不安で仕方がない。もう少し早い段階でパーソナルな内容に触れた方が良かったのではないかという気がしてきた。いや、今からでも遅くないのかもしれないが、ここで「わ、わたしの好きな食べ物は、ま、ま、マーボー豆腐です!」と急に告げたところで、「読者に開示する第一情報が好きな食べ物とは、こいつはどうも間の悪い男だ」という印象を与えそうだし、「名も名乗らずに眼前にマーボーをつきつけるとは無礼千万」とお叱りのコメントを頂戴する可能性すらありそうだ。
そう。名乗ってすらいなかったのだ。名前と言えば自己紹介の基本ではないか。しかし自己紹介と言っても、初めての読者に対してどこまで書けば良いのだろうか。24歳、女、独身……これだけで充分なのだろうか。いや、職業はバーテンダーであることも早めに明かしておいた方が良いような気がする。週に六日、赤坂にあるオーセンティックバーでシェイカーを……。
とよく見たら、数行前に「間の悪い男」と本来の性別を書いてしまっていることに気付いた。冷や汗が吹き出る。性別がウソと分かれば「24歳? バーテンダー? それもウソじゃねぇのか」と疑う読者もいても不思議ではない。事実、ウソだ。
今や、私に対する読者の第一印象は「ホラふき」という四文字に落ち着いてしまったのではないだろうか。こうなると何から何まで疑われてしまう……。
「おい。改めて読み返すと、二行目に書いてある“カフェ”も怪しいぞ」
まずい。
「こいつはきっとオシャレカフェなんかじゃない。きっと上の画像もどっかのフリー素材だろう」
そこまでバレているのか。
「どうせマクドナルドあたりでワンコインのコーヒーでも飲んでいるのだろう」
それは違う! 誤解なんだ! マクドナルドではないんだ……ここは近所のヨーカドーの軽食「ポッポ」なんだよ……。
「ポッポかよ」
いかんのか。山盛りポテトにウォーターサーバーの無料水で昼下がりのブレイクに洒落こんではいかんのか。ポッポをカフェと言ってはいかんのか。そうなのか。すみません。
もうダメだ。何を言ったところで、開始たった二行で虚偽表現をする輩を信じてはもらえまい。悪いのは、第一印象を良くしようと己を偽ってしまった私だ。後悔の涙でこの下書きページを埋め尽くしたい気分になってきた。しかし、もう為す術はない。
短い間ではあったが、読者のみなさん、ご愛読ありがとうございました。
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皆さま、はじめまして! mono-lessと申します。ちょくちょく活字創作をやっているのですが、日々文章を書いて発表する場が欲しくて、この度noteに登録しました。趣味は音楽鑑賞、ゲーム、読書。札幌在住の30代男です。突然フォローしたりコメントしたりしますがご了承ください。よろしくおねがいしますね!
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最初の簡易な自己紹介文をゴミ箱から拾ってみると、今からでもこれを載せればなんとかなるのではないかと思えてきた。どうだろう。これまでのことは挨拶代わりの冗談ということで、読者諸氏はどうか末永くお付き合いいただけないだろうか。もうウソはつきませんから。
どうか。何卒、お願いします。
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