見出し画像

散文「公園」 2023-04-09

 夜中。お腹が空いて、ペヤングの大きいサイズのやつ(二人前のやつ)をファミマに買いに行こうと思って電動チャリに乗っていつもの公園を通りかかると、小象がいた。小僧じゃない。小象。小さいゾウ。

 深夜の公園に小僧がいてもそれはそれで問題なんだけど、いたのは小象だった。驚きはしたけれど、まあ、いいかと思ってファミマに行った。愛想のない店員さんになぜか右頬をグーでぶん殴られたが、無事、ひとまずペヤングの大きいやつを買って、家に戻ろうとした。

 まだ小象はいた。公園のそばに一個だけある、ちかちか光った電灯のせいで、小象の目が光って見える。突進されたら困るなあ、と思ったけれど、よくよく見ると小象の目はファイターのそれではなく、むしろ真逆の、物乞いの目だった。小象は腹をすかせていたのだ。

 僕は家に戻り、やかんで湯を沸かし、急いでペヤングをつくった。待ちきれずに、2分34秒でお湯を捨てた。ソースを入れ、ぐるぐるとかき回し、そしてふりかけとスパイスをかけると、僕は走って公園に向かった。小象はいなかった。

 ベンチに座った僕は、一人、いつもの公園でペヤング二人前を食べた。春の夜。外で食べるペヤングは部屋で食べるペヤングより、美味しかった。

いいなと思ったら応援しよう!