遊ばれる女の特徴~太郎の場合~
どうやら、同期の女性社員A子が先輩社員と付き合っているらしいのだが、その先輩は聞くところによるとかなり遊んでいる人らしい。
俺には別に関係ないしどうでもいいことだが、たまたま同期の飲み会で一緒になったA子が、隣に座った俺に「どう思う?」なんて恋愛相談してきたのが、まぁ最近の面倒なことだったな。
もちろん適当に聞き流していたが、男の俺からしたら(そういうとこだろな)って感じで。覇気のない生返事で相槌をうっていたら「もう、ちゃんと聞いてよ」と俺の腕を叩き、途中で合流した別の奴の所へ移動していった。これでやっとゆっくり飲めると、ビール瓶に手を伸ばす。
遊ばれる女には特徴がある。
まず、こんな親しくもない同期、しかも男である俺に相談するような女は、同性の友人がいない。女というのは、他人の事になると凄い察し能力と推理を発揮する生きものだ、と俺の彼女を見ていてよくわかる。でもその同性からの意見を聞く機会がない女は、悪い男に騙されいいなりになりやすい。
人に恋愛相談するような女は、恋愛偏差値が低い。これは付き合った人数ではなく男の対処スキルの問題だ。男に不慣れなわけではないので、敷居は高くないし、自分でどうすればいいか決められないタイプは、目の前のことに惑わされやすい。ちょっと優しい言葉をかけ、何かしてあげるだけで簡単に心を開く。男はそういう頭のちょっと弱そうな女は扱いやすい。
そして飲み会や人の集まりに常に顔を出す女は、さみしがりだ。隙も多く「誰かかまってください」って感が出てしまっている。
こういう女は、ある程度顔も可愛ければ男からのお声がかかることは多いかもしれないが、大半の男は「イージーな女」という認識であり、簡単に遊べる女を好むくせに、本命にはそういう女は嫌だと避ける。
勝手でクズな考えなのは百も承知だが、男ってやつは大体、自分の彼女にする女には理想を抱きがちだ。全ての男が女をもて遊ぶわけではないが、本命とそれ以外をハッキリ分けられてしまう、というのは全ての男の共通脳だ。
席を離れていったA子は、別の席で大きな声を上げて笑い、盛り上がっているようだ。おいおい、悩んでたんじゃないのかよ。痛い目に遭っても直ぐ同じことを繰り返しそうなタイプだな、ああいう単純さもまた・・・まぁ余計なお世話だな。
ビール瓶から少しだけ残ったビールをグラスにあけ、それを一気に口に流し込んだ。「俺、先帰るわ」
「もう少し飲んでいけよ、付き合いが悪いぞ」なんて周りの声を背に、店を出る。駅へ向かい歩き出すと「ちょっと待って」と呼び止められる。振り返るとA子が駆け寄ってきた。
ズボンのポケットに入っているスマホが、さっきから何度もバイブで着信を知らせている。・・・ああ、面倒くさいことになりそうだ。