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藍染印半纏の工程

 今回は藍染印半纏の工程について説明をしたいと思います。
相澤染工場のサイトにも少し載せていますがそれよりも詳しくご紹介します。
仕事の大部分は、この作業のどれかをやっています。

(説明の中に出る用語について、リンクを参考にしてください。)


全体の流れ

 藍染印半纏の代表的な2種類の半纏を想定して紹介します。
どちらも色は藍染紺の場合です。
1.大紋または衿に色を入れる場合。
つもり→練地(精練)→型付け⇒色さし⇒つぶし⇒呉入れ(下呉)⇒呉入れ(上呉)⇒染出し⇒藍染→水元、たたみあげ
2.半纏全体に柄を入れる場合(惣柄の地色が鼠色の場合)。
つもり→練地(精練)→型付け⇒呉入れ(鼠下)⇒惣型付け⇒呉入れ(下呉)⇒呉入れ(上呉)→藍染→水元、たたみあげ

 以上のような流れです。「⇒」は天日干し(乾燥)が入ります。
かかる日数としては、つもり~練地の工程で約3日間。
形付け~水元・たたみあげまでの工程は、乾きの良い時期(春~夏の安定した晴れの日のような)で最短4日の作業です。

各工程について

※載せた写真は一つの半纏を追ったものではありません。いくつかの半纏の工程をそれぞれに載せています。

・つもり、練地(精練)

つもり→半纏の寸法に必要な生地を裁断、準備します。
練地(精練)→織ったばかりの生地(生機)の不純物を除く作業です。
晒生地、精練済みの生地も漂白剤等が残っている場合があるので一度処理をします。
練地を終えたら一度干します。

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・型付け

 生地を湿らせて付け台(防染糊をつける台)に引っ張ります。
決められたところに型紙を置き防染糊を置いていきます。
型付けをしたところ(防染糊を置いたところ)は染め上がりが白(生地の色)になります。

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・色さし、つぶし

色さし→色を刷毛でさしていきます。
つぶし→色をさした部分に防染糊をかぶせます。

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・呉入れ(鼠下)

大豆の搾り汁(呉汁)+顔料を刷毛で生地に引いていきます。
呉汁は生地の染まりを良くするのと、防染糊をはがれにくくする役割をします。
紺の場合は鼠色、紺より薄い藍色(なんど色など)の場合は薄い鼠色にすることが多いです。
他の色の場合や色をいれないこと(白目下)もあります。

W学報 (1) - コピー

・惣型付け

 生地全体に柄をつけていきます。
代表的な柄を挙げると縞や紗綾型、格子など。あとは町会ごとで付下げの大きい惣型もあり、それぞれの型紙を使います。
縞などの型紙は35㎝四方以内くらいで模様に目印(おくり)があり、その目印を合わせるとひとつなぎの柄がつくようになっています。
付下げの大きい柄は、袖、半身頃、それぞれで型を作り大きい型紙になります。その場合は、枠に型紙を張って型付けをします。

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W学報 (3) - コピー

・呉入れ(下呉/したご、上呉/うわご)
下呉→鼠下を引いた惣型の場合は、顔料は入れずに呉汁のみ。そうでない藍染紺半纏の場合は鼠色を引きます。
上呉→藍染紺半纏の場合は、さらに濃い鼠色+タンカラなどを呉に入れて刷毛で引きます。

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・染出し

 薄めの藍甕にくぐらせます。総柄の場合は糊が削れやすいので染出しは行いません。

・藍染

 反物を屏風たたみにします。
藍甕に沈めて数分、出して発色させてしばらく時間を置く、沈めて数分・・・を数回繰り返します。
染め終えたら酸通しを行い、生地を水に一晩つけて防染糊をふやかします。

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・水元、たたみあげ

水元→水中で生地から糊を落としていきます。
たたみあげ→染まり具合、仕上がりをチェックしながらたたんでいきます。

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外に引っ張り、乾かして染めの完了です。

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 以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。
ちなみに。写真の通り、相澤染工場は基本的に小幅生地を使うので、背割れ(背縫い)がはいる仕立てになります。

 今回の工程で製作された半纏のお見積りや、その技法を基に製作した品物はリンク先でご紹介しています。
ご興味を持たれた方、ご質問等はリンクのお問い合わせフォームからどうぞ。


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