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紺屋と信仰の話

 今回は染物屋と信仰の話を少し。
昔、藍染めなど染物の仕事としていた染物屋を「紺屋」と呼んでいました。
紺屋の多くは愛染明王を信仰しています。
この信仰は江戸時代あたりから始まったとされています。
江戸周辺だけでなく、静岡など当時染物が盛んだった地域の紺屋も同じように愛染明王を信仰していたようです。

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愛染明王と紺屋の関係

著書引用「さいたまの職人 民俗工芸実演公開の記録ー」(詳細最下部)
 ”愛染明王は、人間の愛欲などの欲望そのものでさえ仏心に通じることを教える仏であることから、すべてのものに色彩を与える力を持つことや、藍が藍と通じて藍染めと読めることなどから、紺屋や型付屋などの職人の信仰対象になったと考えられる。県内では一般的に愛染様と呼ばれ、紺屋や型付屋などの染織に携わる職人の守り神様とされている。”

引用文中の県内=埼玉県です。
愛染明王の宗教的な部分は明るくなく掘り下げられないので、このような説明にさせてください。
日常的には「愛染様」と呼んでいます。

関東紺屋の愛染様の信仰

 相澤染工場のある埼玉県内では愛染明王の信仰は南北に分かれています。
北側は熊谷市下川上の愛染堂、南側は東京都板橋区の日曜寺を信仰しています。
板橋の日曜寺では今でもお参りをする染物屋の集まり「東京愛染講」があります。

習わし事

 毎月26日が縁日で、正月、5月、9月の26日には愛染様の掛け軸をかけ、お供え物をしてお祝いをします。
紺屋によっては、甕場(染める所)に愛染明王を祀ったり、初染め(仕事始め)の時は和紙を染めて愛染様に祀る、などをしていました。
相澤染工場では、初染めでは特別なことをしていませんが、5月、9月の26日には愛染様の掛け軸をかけ、お供え物をしています。

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参考文献:「さいたまの職人 民俗工芸実演公開の記録・第1回~70回 埼玉県立民俗文化センター」




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