半纏に柄・模様をつける場所の名前(大紋・衿・総柄など・・・)
大紋、衿、腰柄、総柄・・・これらは半纏の決まった場所に付ける模様や柄の総称です。
半纏を作る時に知っておくと、円滑に相談ができたり、話の中で半纏の形をイメージしやすくなり、便利なのでご紹介します。
半纏を使用する分には知らなくても全く問題ない内容です。
この記事では標準的な位置で書きますが、現在は技術・時代・用途的にも柄・模様をつける位置の自由度は高いので、参考の1つとして読んでもらえればと思います。
(地域、お店で呼び名が違う場合があります。)
・大紋/背紋(だいもん/せもん)
一番目立つ背中のところに付ける紋を指します。
ここに町会の紋や、団体の代表するマークを入れます。
丸、四角・・・形はそれぞれで字が入ったり、絵が描かれていたり、紋であったりとデザインは様々です。
位置・大きさの標準は、(※)下がり約1寸、大きさ約8寸(30cm)です。
※下がり1寸(3.8cm)→肩山から1寸(3.8cm)下がった位置に大紋をつけるという意味。
ちなみに和装で使われる尺寸は1尺約38cm、1寸約3.8cmです。(鯨尺)
土建で使う尺寸(約30cm/3cm、曲尺)よりも1尺寸あたりが長いです。
・衿(えり)
衿に町会名や、個人名などを入れます。
着用時に左側を「上前(うわまえ)」、右側を「下前(したまえ)」といいます。
両衿に異なる町会名や個人名を入れるときに、大きい集団を表す方を上前にします。(例:上前に~~会、下前に個人名や役職)
両衿につけた町会名、個人名の上「衿頭(えりあたま)」に紋などを入れることもあります。
また、上前の裏に名前を入れられるように白抜きにするところを「小判」といいます。
衿の付ける位置は、文字数(長さ)をみてバランスを取り、つける位置を決めます(※衿下がり~寸/cm)。好みの位置に調整も可能です。
※衿下がり→衿の中心(首の部分)から~寸(cm)下がった位置を指す。
・腰柄/腰付(こしがら/こしつき)
腰部につく模様や柄を指します。
下がり1尺~1尺数寸(cm)の位置から模様をつける事が多いです。
(半纏の丈や腰柄の大きさで変わります。)
大紋と同様、独自の模様や絵など、地域・町会で様々な意匠が見られます。
例:横に5本線を入れる→5丁目を表す。1本なら1丁目。火消半纏でよく見られます。
町会名などを角字という字体にして腰柄にあてるのも良く見られます。
参考:角字とは?
・総柄/惣型(そうがら/そうがた)
生地全体に模様をつけることをいいます。
衿にも惣柄をつける場合は「衿共総柄/衿共惣型」「共柄(ともがら)」
といいます。
(⇔つけない場合は、「衿文字のみ」「地染まり」「す上がり」など)
また、模様に上下がある総柄(肩山から切り返しがあるもの)を「付下げ」と呼びます。
代表的な例を挙げると、上下のない柄は「縞」や「紗綾形」。
これに対して付下げは「青海波」です。
・肩筋
袖~肩にかけての上部を指します。
この部分を赤の線で引いている消防半纏が多く見られます。
・ちりけ
衿の首部分をいい、紋などをつけます。
・まとめ
以上の位置を絵でまとめるとこうなります。
以上です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
具体的な半纏の作り方に関する内容は、別のリンクを貼っておきますのでそちらの記事を参考にしてください。
リンク①いろいろなお店に見積もりとることが大事!ということを商流を交えて説明しています。
具体的な問い合わせは下のリンクからおうかがいします。
半纏全般、藍染製品に関すること、染色に関することでもお気軽にどうぞ。