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地球で一番高い山は、マウナ・ケア山?

世界一高い山はエベレスト山か?

「世界一高い山はエベレスト山か?」と尋ねられたら、
誰もがそうだと答える。

しかし、この質問の答えは、「高い」の意味によって違ってくる。
「高い」の意味の定め方によっては、エベレストよりも「高い」山が地球上に存在するのである。

エベレストは標高8,848メートル、ハワイのマウナ・ケア山は標高4,205メートル。
いくら天才ペテン師といえども、マウナ・ケア山がエベレストよりも高いとは、言いようがない。

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▼エベレスト山(写真の著作権者:Luca Galuzzi)(標高 8,848m、地球の中心からの距離 6,382.3km

いや、しかし、実は、言いようはあるのである。
しかも、ペテンではなく、科学的に論理的に、マウナ・ケア山はエベレストよりも高いと言い切る道があるのである。

山の高さを測る3つの方法

山の高さを測る方法として、3つ考えられる。

【1】海面から頂上までの垂直距離を山の高さとする
山の高さをこのように定義すると、地球で一番高い山は、エベレスト山となる。

この方法は、絶対的のようで、そうではない。
海面自体が動くからである。
満潮時の海面と干潮時の海面とで、かなりの開きがある。
太平洋と大西洋とで、海面の水位に違いがある。
その為、太平洋と大西洋とを結ぶパナマ運河には、
海面が動く度に、山の高さが変化することになりかねない。

そこで日本では、東京湾の平均海面を基準面(0メートル)として、基準面からの高さを「標高」と呼んでいる。
東京湾の近隣の海(例えば大阪湾)の平均海面からの高さは、「海抜」と呼んでいる。

【2】地球の中心から頂上までの垂直距離を山の高さとする
この定義によると、地球で一番高い山は、南米エクアドル中央のチンボラソ山となる。

チンポラソ

▼チンポラソ山:標高 6,268m、地球の中心からの距離 6,384.4km

上は、チンボラソ山の写真。富士山とよく似ている。右肩の宝永山のこぶまで似ている。

地球は完全な球体ではない。
自転の影響もあって、極地よりも赤道付近が地球の中心から膨らんでいる。
そのために、赤道付近のチンボラソ山の方が、エベレストよりも地球の中心距離が遠いのである。

・エベレスト山:標高 8,848m、中心距離 <b>6,382.3km</b>
・チンボラソ山:標高 6,268m、中心距離 <b>6,384.4km</b>

この定義によると、地球で一番高い山は、チンボラソ山となる。

【3】山のふもと(海洋底)からの高さを山の高さとする

山のふもとが海の底にある場合は、底を基準にして山の高さを測る。
海面上に頭を出している山が二つあって、一方は海面上100メートル、他方は海面上200メートルとする。しかし、100メートルの山のふもとが階梯5000メートルにあり、200メートルの山のふもとが海底1000メートルにあるとすると、一方の高さは5100メートルとなり、他方の高さは1200メートルとなる。

この定義でいくと、マウナ・ケア山が、エベレストを抜いて、地球で一番高い山となる。

マウナケア

▼マウナ・ケア山(標高4,205m、海洋底から 10,203m)

山の高さも定義の仕方によって、このように変化する。
19世紀初頭までは、エベレスト山が世に知られずに、地球で一番高い山はチンボラソ山だと考えられていたそうだ。


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