香港との再会
2014年10月、僕は、仙台で行われた香港貿易発展局主催の輸出促進フェアに参加していた。初めての海外展示会であった香港から気が付けば、約3年が経ち、その間に、日本国内でバカ売れしているはずだったが、現実的にはイマイチであった。日本橋三越をはじめ国内の有名百貨店等での展示販売会を何度も行ったが思った以上に成果が出ていなかった。
初めのうちは、「まあ、まだ始めたばかりだし・・・」くらいに思っていたが、どうやらそういう事ではないらしいという事に1年を過ぎたあたりから気が付き始めた。しかしながら、諦めがつかないので、継続的にやってはいたが、その頃から並行して海外への販路も徐々に模索し始めていた。
そして、色々な縁もあってアメリカ、上海、マレーシア、フランス等商品だけの展示も含めて複数国で展示会や展示販売会に参加していた。その中では、アメリカが良い感じではあったが、それでもコスパを見るとかなり厳しかったため、次なる可能性を求めて、様々な海外関係のセミナーやフェア等に参加しまくっていた。
そこで、巡り合ったのが上述の香港への輸出促進フェアであった。3年前のこともあり、勝手に身近に感じていた香港であったが、内容的には、工業製品や食品等の色合いが強く正直微妙だった。ところが、そのセミナーの最後の方に見たことのある人が登壇していたのである。なんと3年前の香港での展示会の際にお世話になったグッドデザイン賞関連の方であった。そして、その方が話の終盤に「宣伝じみてて恐縮ですが香港のセントラルと言うエリアでグッドデザインストアと言うショップを運営し始めて、そこに月変わりで様々なグッドデザイン賞を取った製品等を展示販売しているギャラリースペースがありますので、ご興味のある方はどうぞ」と申し訳程度言っていたのである。
まさに興味の塊だった僕は、セミナー終了後に覚えてもらっているかの不安を抱えながらも、その方に詳しい話を聞きに行った。まずは、覚えてもらっていた事に安堵したが、それ以上に、そのギャラリースペースがこちらの求めていた条件にピッタリと当てはまる物件であったことに歓喜した。場所、広さ、周りの環境、コスト、雰囲気等全てが理想的だったのである。その上、先方も門間屋の製品を覚えてくれていたので、話がスムーズに進み翌週には開催が決定していた。
まさかこんなところに、こんな好物件が転がっているとは夢にも思わなかった。犬も歩けば棒にあたるではないが、方向性さえ間違っていなければ、とにかく一歩踏み出すことで道が切り拓けることに改めて気づかされた。
展示販売会はギャラリースペースの空き状況とこちら側の準備の関係もあり、翌年の2015年3月となった。
展示販売会の様子等は次回以降で書かせていただきます。