アメリカでの年齢制限 [プログラマー35歳限界説 part2]
年齢制限シリーズの第2弾です。第1弾はこちらへ。
さて、アメリカにプログラマの年齢制限や限界があるのかというと。ないです。そして、このような説も聞いたことはない。
まず、他人の年齢が分からない社会システムであることを理解する必要があります。アメリカの採用面接時に年齢を聞くのは、差別であり違法です。履歴書にも性別や年齢、人種、写真を載せることはありません。
履歴書からおおよその年齢は把握できるけれど、多民族国家で、異なる人種の人の見た目から年齢を想像するのは、非常に困難。
一般的にアジア人は若く見られる人種で、白人は成熟しているように見られる人種です。アフリカンアメリカン(黒人)に至っては年齢の変化があまりみられない人種と思われています。
英語には丁寧語や敬語はあれど、尊敬、謙譲語が存在しないため、当たり障りのない日常の会話から即時に年齢を推測するのが難しい。
つまり、ある程度の期間一緒に働いて、子供がいるだとか、家があるだとかいう、個人の情報を得ない限り、同僚の年齢がさっぱり分からない。
そして、退職年齢も決まっていない。働きたい人、働かなければならない人は高齢まで働くし、40代でセミリタイア、50代でリタイアする人もいる。
アメリカは自由の国、つまりは自己責任、自己裁量が基本なのです。必要がある人材を採用し、仕事の対価として給料を支払う。対価に見合う仕事をしていなければ解雇する。
そして、減給の概念がほぼ無いのも特徴の一つ。
例えば、あなたが1千万円の年収で雇われたとして、期待値に達する仕事をしなかった場合、会社はあなたの年収を700万円に減らし、雇い続けることはしません。
あなたを解雇し、新たに1千万円分の仕事が出来る人を募集する。
景気がよく、企業が財政的に体力、ゆとりがあるうちは、余剰人員を抱えることもあるけれど、基本的に株主への還元が最大の重要事項とするアメリカ企業は、利益が見込まれない年は、早々とレイオフを実行し、人件費の削除を図ります。
アメリカの企業は、社員のための会社ではなく、株主のための会社なのです。
もちろん、全体の年齢バランスは取ろうとしますが、必要とされる人材でなければ、仕事は貰えない。必要とされなくなったら、仕事はなくなる。仕事が出来れば、老いも若きも、男も女もゲイも障害者も関係がない。とてもシンプルな社会構造です。
もちろん、政府関連の仕事などは、年功序列的なシステムを用いている場合もあります。一般の企業でも、オールドエコノミーと言われる産業では、労働組合があり、社員はある程度守られています。
しかし、ITはニューエコノミー産業に属し、企業は過去50年間の間に急激に成長し、新しい仕事、企業を生み出してきました。
社会経験のない若者が起業しても、製品やサービスが素晴らしいか、タイミングがよければ、投資家達が喜んで投資します。
創業者はとにかく会社を成長させることに集中するので、その時に必要とする人材を確保します。
「多分、彼は40歳ぐらい?」とおおよその年齢の推測は採用時にするけれど、年齢がどうこうよりも、その人のパフォーマンスが良ければ、そのまま雇用し続け、パフォーマスが悪ければ解雇するといったように、企業の成長と共に必要とされる人材が変われば、時折々に人材を入れ替えていきます。
働く側も、あまり会社に拘ることはなく、同様の仕事で現状より良い給料を払ってくれる会社があれば転職します。
もちろん給料面だけではなく、結婚して子供が出来たので健康保険など福利厚生のしっかりした企業に転職したり、ご飯を作らない人にとって、ランチやディナーが提供される会社は、自分のやりたいことに集中できるからと、同じ会社に長く働き続けることもあります。
企業も人も「自分の幸せ」を追求しているのです。
「歳をとって、子供の世話で忙しく、新しい技術の習得が難しくなってきた」と個人的に言う人は当然います。
しかし、「異なる人種、異なる教育、異なる価値観の人々」がいる社会からは一律的な限界説は出づらいのです。
この国での自由とは、自分の人生に責任を持つこと。
あなたの幸せや成功はあなた自身が決め、作り上げるものなのです。