鮫だ！！！！！！！逃げろ！！！！！！！！
「磁石を近付けてくっつく方がマナ、離れる方がカナだぞ。」
斉藤エマージェンシーが自慢げに話す。
夏。僕は十五歳だった。茹だるような熱気の中、いつもの坂道を登る。
斉藤エマージェンシーは尚もくだらない知識を披露しているが、僕には関係ない。この坂道を登りきれば、こんな苦痛ともおさらばだ。
一瞬光が目を貫いて、気づくと僕は見知らぬ部屋にいた。
部屋の奥には仙人の如きいかつい髭を蓄えた爺が虚脱したような表情で座り込んでいる。僕はすかさずYouTubeを再生した───。
マナがメリケンサックをつけてカナに殴りかかる。しかしメリケンサックには磁石が仕込まれているので、マナのパンチはカナに届かず、虚しくも空を切る。点と点が繋がった。くだらない雑学がこんなところで役に立つとは。
YouTubeを閉じると、僕は爺の右乳首を反時計回りに5回捻った。
みるみる床が崩壊していく。深海のように暗く深く沈み込んでいく世界。ゆっくりと、ただゆっくりと落ちていく。
無明の闇の中、母の胎内を思い出す───。
ここは───
いつか見た、あの───
？？？「踊らにゃ損 踊らにゃ損です」
巨大な、あまりに巨大な和田アキ子がこちらを見つめている。
猿内部「YONA YONA DANCE……？」
和田アキ子「君と舞っていたい 舞っていたいだけです」
和田アキ子が松明に火を灯す。
心臓が高鳴り、涙が零れ落ちる。無限に切り刻まれては金太郎飴のように同じ自分が作り出されていく。アキ子の灯した炎がゆらめく。炎の揺れと同調するように大地が生まれる。風が流れ、水が踊る。生命が爆発する。
僕は、今僕は創世を目の当たりにしているのだ。
Dance beat 乗っかって 心通じ合っていく
さらけだして頂戴感情を
手を鳴らしてClap your hands
Back beat 乗っかって 夜な夜な踊っていこう
今宵のらりくらり自由奔放存在証明がしたい
アキ子がウインクし、右手をクイってして、僕を誘う！！！！！！！！！！
ならば踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
君と舞っていたい 舞っていたいだけです
ならば踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
心踊れない毎日なんて 私気に食わないわ
火山が噴火し、アキ子のビートは最高潮に達する！！！！！！！！！！
ミラーボール輝いて 心照らしあっていく
暴き出して頂戴表情を
惹かれあって Take your hands
洒落たBeat投下して 舞い踊って最前線
今宵洗いざらい話してくれ傍観者じゃ勿体ない
野良犬(雑種)が登場、アキ子のアキレス腱に噛み付く！！！！！！！！！！！！
すかさず野良犬(雑種)を引き剥がすアキ子、ゲッツーを狙う遊撃手のようにファーストへ野良犬(雑種)を放り投げる！！！！！！！！！！！
故に踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
君と舞っていたい 舞っていたいだけです
故に踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
心踊れない毎日だって たまにゃあってもいいわ
一塁手、斉藤エマージェンシーが野良犬(雑種)を連れ階段を駆け上がる！！！！！！！そこには見慣れた顔ぶれが！！！！！！！！！！
されど惹かれる方へ 誰も知らない方へ
どこまでも行けそうな そんな日々を過ごして
夜が明けてはまた繰り返す
このままずっと 胸が騒ぐ方へ
明石家さんま！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
ビートたけし！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
タモリ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
お笑いBIG3だ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
ならば踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
君と舞っていたい 舞っていたいだけです
BIG3によって野良犬(雑種)は羽根が生えた芝犬にランクアップ！！！！！！！！！斉藤エマージェンシーを背に乗せ、飛び立つ！！！！！！！！！斉藤エマージェンシーは創世への歓喜を歌にして世界に届ける！！！！！！！！！！！！
ならば踊らにゃ損 踊らにゃ損です
踊らにゃ損 踊らにゃ損です
心踊れない毎日なんて 私気に食わないわ
ありがとう！！！！！！！！！！！！みんなありがとう！！！！！！！！！！！！！！アキ子もありがとうね！！！！！！！！！！！また、あの、なんかあったら呼んでね！！！！！！！！！！！！！！また面白いことしましょう！！！！！！！！！！！！はい、それじゃあね！！！！！！！！！！！！！！うん、また、うん、うん、はい！！！！！！！！！！！！！！！！！！お疲れした！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
目を覚ますと、僕は丘の上に立っていた。綺麗な花が咲く、見晴らしのいい丘。将来はここに家を建てたいと思っている。窓の広い、小さな家。