見出し画像

まるで粉ミルク。食べることの原点なのか?究極の形か?完全栄養食。

現在、中咽頭がんの治療中で、普通の食事がとりにくい。
唾液が出ない、味覚がない、喉が痛い。
食事を楽しむための要素がすべてない。最悪だ。
しかし、食べなければ治らないので、どうやって食べるかが私の一番の問題となる。
ポイントは喉をいかにスムーズに通すかだ。

今のところ最良の選択が、ざるそばにとろろ芋と納豆をかけたもの。
日本の伝統食品の見事な組合せだ。これはすばらしい。日本人でよかった。
喉の滑りがよくて栄養価が高い。これに温泉卵などを足すとタンパク質もいける。
とは言うものの、これを毎日食べていると、やっぱりあきてしまう。
この辺が人間の微妙なところだ。

そこで思い切り方向性を変えて、こんなものを入手した。
COMP Powder TB v.5.1。
パソコンではない。食品の名前だ。

バランス栄養食として日本で独自開発された商品だ。
白いパウチにスミ文字1色で栄養成分が書いてあるだけのパッケージ。
1つが95gで、400kcalのエネルギーと必須栄養素がバランスよく配合されているそうだ。
パウチの中は乳白色の粉。これを水に溶いて、シェイクして飲む。粉ミルクのようでとても簡単だ。味は分からないが匂いはほぼない。かすかに穀物臭を感じるくらいか。
水を入れるとすぐに溶ける。牛乳を飲むようにはいかないが、ゴクゴクと飲める。喉に痛くないし、数分で飲み終わった。いやはやカンタンだ。赤ちゃんに戻った気分だな?

私が独自に開発(?)した「納豆とろろそば+温泉卵」とは対極の存在だ。しかし、それを完食するのに今の私は30分かかる。この商品は数分で終わる。必要なものを必要なだけ。味気ないかもしれないが、この科学的合理性が私の苦痛をやわらげる。

「健康は、ラクじゃない。
何かに夢中になりながら、日々の食生活を考えるのはとても難しいことです」
この商品のサイトにそう書かれていた。

確かにそうだ。身をもって実感している。

いろいろな助けを借りながらも、
食べることの原点に還った私の治療生活もあと少し。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?