ゴルゴ13。永く続けたからこそ、わかること
続けるのは難しい。
私は小さな会社の経営に携わっているが、先輩経営者からよく言われる。
「すごい業績を上げるよりも、会社をずっと続ける方が難しい」と。
日本には100年を超える長寿企業がたくさんあるが、
マンガにも異例の長期連載が多いように思う。
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」約40年、
「ゴルゴ13」は50年以上でまだ続いている。
新聞マンガもすごい。
「コボちゃん」約40年、「ののちゃん(となりの山田くん含め)」約30年。「サザエさん」が新聞に連載されていたのがやはり30年くらい。
新聞は毎日掲載なので、単純計算で365日×40年=14,600回。すごすぎる。
ひとつの仕事を毎日ずっと続けている方はたくさんいると思うが、毎回創作しなければならない心理的圧迫は相当なものなのでは。
以前、浦沢直樹さんの番組「漫勉」でさいとう・たかをさん(ゴルゴ13)のインタビューを見た。
興味深かったのは、長年続けることで、作品が自分のものから読者のものになったというお話。もはや自分の意思ではやめられないそうだ。
読者に求められる限り続ける。だから続いているということらしい。
ファンやマニアが作者以上に作品に思い入れることはよくある。
こうなるとマンガのキャラも社会的な共有財産と言える。
海外では原作者が死んでも、作品が引き継がれることは多い。
ホームズもボンドもアメコミヒーローたちも。
日本でも「ドラえもん」や「サザエさん」はそのパターンなのか。
創造(クリエイティブ)というのは、ひとりの力だけで生まれるとは限らず、受け手の期待や社会の願望、時には批判や失望も含めてたくさんの人たちの意識によって形成され、拡大していくものなのだろう。
私は会社経営に携わっているが、自分の会社も自分たち以上に会社を愛してくれる社員や関係者、つまりファンを育てていくことが重要なのだろう。
そうすれば、自分たちがいなくなっても会社は継続し、先輩の教えを実現することができる。
「継続は力なり」ってそういうことなのか。
さいとう・たかおさんのご冥福をお祈りいたします。