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和菓子をもっと知ってほしいから、和菓子のサイトをはじめた

旅するように和菓子と出逢う

会社で、和菓子をおすすめするサイト「旅するように和菓子と出逢う」を運営している。

和菓子というと、衰退していく商品のように思われるかもしれないが、決してそんなことはない。
日本の菓子業界において、和菓子は未だにチョコに続く第2位のシェア(約14%)を占めている。生洋菓子やスナックよりも売れているのだ。
この10年間の家計消費額の推移を見ても、すごく安定している。
季節に合わせてつくられる和菓子は今も日本人の生活に深く根差しているようだ。
※データ類は、日本和菓子協会の資料より引用

和菓子の多くは各地の和菓子専門店(製造小売り)が担っている。
その数、約3万店と言われるが、小さいながらも長い歴史をもつ店が多いのが特徴だ。
ただ、経営者の高齢化や後継者不足によって廃業する店が増えているのが気がかりだ。買う人がいても、つくる人がいなくてはどうしようもない。

私たちは、この歴史ある和菓子の奥深さをひとりでも多くの人に知ってもらい、和菓子文化の維持発展につながることを願って、和菓子のオンラインセレクトショップを始めた。

ふだん、あまり見ないような映画を見たら、
いろいろと考えさせられた

その関係もあって、最近、和菓子に関係しそうな映画を2本続けて見た。
「あん」(2015年)と「日日是好日」(2018年)で、どちらも樹木希林さんが主演だった。

「あん」は街の小さなどら焼き屋さんのお話。
あん作りを50年やってきた女性(樹木希林)のつくるどら焼きは大評判なのだが、その女性にはある秘密があった。
あんを50年間作り続けて来たことには、実はとても悲しい理由(歴史)があったのだ。

映画は四季の変化を背景として物語が進んで行く。
監督の河瀨直美さんは、
春夏秋冬を実際の季節に合わせて撮影することにこだわった。
出演者たちはその街に実際に住みながら撮影を続けたらしい。
そこまでするのは、長い時の流れ(歴史)の重みが映画の主題だからだ。

一方の「日日是好日」は、平凡な主人公がお茶のお稽古を通じて、凡庸と思っていた日常に意味を見出していくまでの、およそ20年間を描いている。
ここでは樹木希林さんは茶道の先生を演じている。
この映画でも丹念に、四季の変化が描かれる。

監督の大森立嗣さんは、季節の変化を細かく描きながら、お茶のお稽古シーンを丁寧に繰り返し見せていく。
同じ場面を繰り返しながら、主人公の成長を見せる手法は映画の基本だと思うが、この映画は四季の巡りと合わさって、とても効果的に使われている。
20年かけて主人公の心情がゆっくりと変化していく様が、自然に描かれている。

劇中で茶道の心得として、同じ所作をひたすら繰り返すことの意味、頭で考えるのではなく、体が自然に動くようになること。それこそが、人生の本質であるという趣旨のセリフがあるが、映画自体がそれを実践している。

この2本は映画のルックとしては対照的だが、一定の時を経なければ知りえない人生の機微を、2時間ほどの時間の中できっちり体感させてくれたように思う。

知ることよりも、体感すること、味わうことを大切に

今回、和菓子のサイトを始めたことで、和菓子についていろいろと調べたり勉強したりしたが、映画を見て、より大切なのは日本の四季を体感することだと知った。
私は日本に生まれ育ちながら、若い時から欧米のカルチャーにうつつを抜かしてきたので、65歳にもなるのに、日本文化への理解がきわめて浅い。
遅まきながら、和菓子を味わいながら日本文化のエッセンスを身につけていきたいと思う。

「旅するように和菓子と出逢う」もよろしくお願いします。


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