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映画づくりが失敗する当然の成り行き、1977年の蹉跌(さてつ):昨日の続き

大きな賭けに出た映画上映会は大成功だった。お金もたんまり入った。
そんな状況で、われわれは映画製作に取りかかった。

しかし、古今東西、意欲よりもお金がたくさんある状況でつくられた映画で成功したものはあるだろうか?
「クレオパトラ」(1963年)は映画史上最大の製作費をかけたと言われている(現在の価値で300憶円近くと言われる)。
トラブル続きで大赤字になり20世紀フォックスが傾いてしまった。
後に「スターウォーズ」がこの負債を取り戻したと言われている。
SW1作目は低予算だった。SFはまだ信頼が薄かった。しかし、ジョージ・ルーカスは、予算はなくとも高い志をもって映画をつくり、伝説のヒット作に仕上げた。
その後この映画はドル箱となり莫大な予算がつくようになった。
その後、このシリーズはどのように変遷したか?
見解は様々でしょうが、お金と意欲の関係ってありそうじゃないですか?

われわれの映画はどうなのか?映画づくりは初めてではない。10~15分くらいのショートムービーをつくっていた。ビデオの普及前なので、8mmフィルムでの制作だ。大林宣彦さんや石井聰亙(岳龍)さんがお手本だった。
いつもなら着想が先にあって、お金をかけずにどうつくるかが問題だった。今回はお金が先にある。何をつくるかだ。

私は脚本に取り掛かった。しかし、ストーリーとセリフを並べただけ。時間にして1時間くらいの予定だが、そんな時間をもたせる着眼も構成力もなかった。しかし、撮影は始まった。アクションシーンやカーチェイスなど、所々では頑張ったとこもあった。しかし、何を撮りたかったのか、何を伝えたかったのか、肝心のものがなかった。
メンバーで話し合って撮りたいものを撮ってつなげたような映画になった。
作品ではなく遊びだった。
それでも、地元の映画ライターやCM制作会社のディレクターに見せ、学生映画の上映会などにも参加した。
ダイレクトに欠点を指摘された。最大の問題は撮りたい画を撮れていないことだ。中途半端だということがよく分かった。情熱の欠如だ。お金の量ではない。
私の映画づくりはここで終わった。今はただの思い出だ。

しかし、人生というのは面白い。話はこれで終わらない。
その件に関しては、引き続き明日のこころだあ。

蹉跌:さてつ
事が見込みと食い違って、うまく進まない(失敗の)状態になること。


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