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味がない、ベロが感じないんだ

白いご飯を嫌がる子どもが増えているらしい。
理由は味がないから。
私の知り合いのカナダ人は日本人と結婚して和食が大好き。
しかし、白ご飯は味がないから好きじゃないと言う。寿司ならOKらしい。
日本人はご飯とおかずを交互に食べて口の中で調味する食べ方が基本だが、世界的に見ると珍しいらしい。確かに西洋人は料理を一品ずつ片づけていく。
彼らからするとご飯の位置づけがよく分からないのだ。
チャーハンなら理解できるが。
日本人からすれば、ご飯は味がなくても旨みがある。
だから漬物、海苔、塩昆布とかだけでおいしくいただけるのだ。

さて、そんな日本人を60年以上やっている私に
今アイデンティティの危機が迫っている。
味なし問題である。
放射線治療の副作用による味覚の消失がいよいよひどくなってきた。
舌先には味覚が少し残っているが、真ん中から喉の奥にかけて味覚がない。
味が変わってしまう現象もある。たとえば、果物の酸味は苦みになる。
また、塩味は感じないのに、食後に喉の奥に塩気が残るのだ。
水をいくら飲んでもこの塩気は取れない。
とにかく味覚に関して私の中で大混乱しているのだ。

どうして人は味のないものを食べる気にならないのだろう?
腹は減るから、割り切ってひたすら飲み込んでしまえばいいと思うのだが、毎日は辛い。
私の場合で1日2,000kcal必要だ。
味がない世界では、これがすごい量に感じるのだ。
もちろんいろいろと工夫して、なんとか食べているが‥。
今の一番のお気に入りはとろろそばだ。
とろろは喉の通りがよい。もともと味が薄いから味がなくても気にならない、するりと喉を通ってくれる。味は分からないけど、喉ごしは楽しめる。
これに納豆や温泉卵をプラスすることで喉ごしのリッチ感もプラス。

味覚はなくても食感はある。
味のない世界でも創造性を発揮することはできる、
ということで自分を納得させる日々は、後2週間くらいか。

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「殺しの烙印」(1967年)で宍戸錠は炊き立てご飯に興奮するという殺し屋を演じている。この映画はいろいろ物議をかもした変な映画だけど、私は好きですね。

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