結婚に怖気づく
「色々片付いてないこともあるけど、そろそろ結婚しようか」
彼氏にそう伝えられたのは昨年末のことだった。
付き合って5年以上経つが、私から結婚の話をしても何だかんだではぐらかされてきた。
だから、彼の方からそういった話が出るのは意外だった。
付き合ってしばらくしてから同棲して、私の転勤で同棲解消してからのコロナ禍で、遠方のため2年くらい会っていないのでさすがに寂しくなったのだろうか。
普通だったら喜ぶところなのかもしれない。
しかし、”色々片付いてない”というのは、
・来年度以降の転勤先が不明であること
(今結婚して同居すると複数回転居する可能性がある)
・ファミリー向けの物件に引っ越す資金がないこと
・私が新しい就職先を探さなければならないこと
などを指す。
いくらなんでも色々片付いてなさすぎる。
私は、
「まぁ別に、今じゃなくていいんじゃない?」
といって一旦話を保留した。
改めて結婚について考えてみると、正直、結婚してもしなくてもどっちでもいいのではないかと思えてきた。
もちろん結婚したらしたで楽しい生活ができそうな気はするが、逆に厄介な部分も生じる気もする。
具体的には、子どものこととか。
彼と私は、偶然にも子どもを持たないという共通認識を持っている者同士なので、結婚したらおそらくDINKSになると思う。
しかし、彼や私の両親がその考えに納得するかどうかは分からない。
特に彼の場合は一人っ子なので、彼の両親としては孫が見たいという風に思うのが自然だろう。
結婚した当初は良好な関係が持てたとしても、次第に、
「結婚して数年経つのに孫はまだなのか」とか、
「子どもを産むのが嫁の務めなのに」とか、
「畑が悪いんじゃないか」とか、
「孫もいないなんて恥ずかしくて親戚に会わせる顔がない」とか、
「”子どもはいらない”なんておかしい、嫁が変な思想に染まってうちの息子を唆してるだけだろう」とか、
「そんな訳の分からない嫁はさっさと捨ててもっと若い嫁を探して子どもを作った方がいい」とか、
そのようなことを直接言われたり、間接的に言われたり、心の中で思われたりするんじゃないかという疑念がどうしても拭えないのである。
本当に言われたとしても、考えを改める気はさらさらないし。
大体、父が事業で失敗して家計が火の車って中で育って、大学も学費が払えなくて途中で辞めて、何とか仕事見つけて、ようやく趣味に没頭できるようになったってところなのに、どうしてこのタイミングで子どもを産まないといけないのか。
奨学金も返し終わってないのに。
そういうわけで、今の私は結婚に怖気づいている。
これで結婚できなかったら、それはそれでいいや、という気分である。
その辺のところを今度会った時に話しておこうと思っているけど、いつになるのやら。