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某芸人について思うこと

小学校の頃はちょうどお笑いブームの時期で、テレビでは各局がお笑い番組を放送し、学校では昨日観た番組や芸人のネタの話で盛り上がっていた。
私も例に漏れず、この頃から「エンタの神様」や「笑いの金メダル」、「M-1グランプリ」といった年末特番を熱心に観るようになった。
「爆笑オンエアバトル」などの深夜番組も、親に気付かれないようこっそり観ていた。

そのうちに、あるコンビが目に留まって心惹かれるようになった。
彼らのコントは何となく他の芸人とは違う魅力があるように感じられ、彼らが出演するネタ番組は必ずチェックしていた。
田舎に住んでいたのでライブに行ったことはないが、親に近所のTSUTAYAへ連れて行ってもらって単独ライブのDVDを借りて観ていた。
それが、人生で初めて借りたDVDである。
「お笑いポポロ」でインタビューが掲載された時も、親にお願いして買ってもらい、毎晩のように読んでいた。
『35歳まで独身だったら一生結婚しないかも』みたいなことを言っていた気がする。
学校でも、いかにそのコンビが面白いかを友達に力説していた。
今思えばちょっと鬱陶しがられていたかもしれない。

それから数年経って、お笑いブームが下火になると彼らのネタを観る機会が減ってしまい、バラエティなどでたまに見かけるくらいになってしまった。
子どもながらに、こんなに面白い人たちでも芸能界で生き残るのは大変なのだと思った。
とはいえ、彼らはバラエティだけでなくドラマやラジオなど多方面でこつこつと実績を積み上げ、その地位を確立していった。
私としてはもっとネタを披露してほしいと思っていたが、それでも芸能界で活躍し続けてくれていることは喜ばしいことだった。
誰もが羨むような美人モデルと結婚した時は、もう完全に成功者になったなと率直に思った。
彼らは芸能界で確固たる地位を築いた、そう思っていた。




だから、彼の不祥事を耳にした時は愕然とした。
そして、激しい怒りの感情がわいた。

芸能界を生き抜くために今まで積み重ねてきた努力をこんなしょうもないことで台無しにしてしまうのか?
あれだけ綺麗な奥さんと可愛いお子さんがいるのになぜ思いとどまることができなかったのか?
そもそも多目的トイレって何?アパホテル以下じゃん!


不祥事の後もテレビで何事もないかのように振る舞う奥さんを見かけるといつもいたたまれない気持ちになった。
育児や自分の仕事に集中したいはずなのに、こんな裏切られ方をするなんて、現実はなぜこうも残酷なのだろうと思った。
私が同じ目に遭ったら正直何をするかわからない。


「芸人に品行方正さを求めてどうする」と言う人もいるかもしれない。
「別に犯罪行為じゃないし、不倫相手だって同意の上なんだろ?」とか、
「奥さんが許してるならそれ以上他人がどうこう言う問題じゃない」とか、
「もっと悪いことをしても許されてる人はいっぱいいる」とか。
確かに一理あるかもしれないが、この件に関してはそういうことを言われても釈然としないのである。
私の推しのなかにはコカインを吸って捕まった人がいて、当然これは犯罪行為なのだが、比較するとより嫌悪感が強いのは不祥事の方である。
理由としては、生理的に無理、としか言いようがない。
とにかく受け付けない。
コカインを吸った人のことを「死刑囚」と呼んでいじるのはまだ笑えるとしても、彼のことは何をどうやっても笑えないと思う。



不祥事の後はほとんど彼を思い出すこともなく日々を過ごしていたが、つい先日復帰のニュースが流れたので、感情のヘドロを吐き出すべく筆を執った次第である。
本人がこれを見るかは分からないが、世界の片隅にはこう思っている人間がいるということはどうしても書き留めておきたかった。

今更ネタなんかやられても笑えるものか。
奥さんが許しても、相方が許しても、世間が許しても、私は一生許さない。

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