ベガババを享受せよ
元々ゲームが好きで、楽しみにしている新作タイトルは発売日に購入し、休日ずっとやっているような人間だった。しかしおっさんになるにつれ興味関心が薄れ、集中力が無くなってきている。あんなに好きだったのに悲しいものである。
ただ身体がゲームを欲してはいるようで、代わりにゲーム実況動画にはまっていった。きっかけは幕末志士で、ほぼ自分と同年齢層ということもあり共感も強かったのだが、ハイテンションで終始大笑いしている彼らのテンションとは少し異なるものも求めるようになった(そこが良さなんですけどね。今でもファン、緑のキノコプラン所属です)。
そこで出会ったのが西美濃八十八人衆、もとい稲葉百万鉄とがみだった。きっかけはFNAFでがみが絶叫しているのを聴き衝撃を受けたとかだったと思うが、特に稲葉のひとり実況の温度感に心を奪われていった。
彼らもほぼ同年代で、基本的には観ていて笑えるものが多いが、落ち着いた物腰で語る引き出しも持ち合わせている。とりあえず流しておくような、寄り添うといった感じの、ちょっと違った嗜み方をさせてくれるものになった。もちろんゲーム実況も好きだが、どちらかというと元老院やパトロール、正月企画等の普通語りが大変好みである。
この感覚はオードリーのANNにはまったのと同じ感じがある。どんなテンションでも聴けるものという感じ。例えば元気な時にしか会えない知人とか聴けない曲ってあると思うのだが、どんな感情の時でも寄り添ってくれるようなものに心地良さを感じる年齢になってきているのかもしれない。
2020年、東京から京都へのUターンを決意し思い悩んでいた最中、学校であった怖い話の実況が進められていた。更新を本当に楽しみにしていた。子供の頃に毎週テレビドラマやアニメを楽しみにしていたような、久しく忘れていた感覚だった。個人的に大変だった時期に出会ったということもあり、思い入れが強くなっていった。
生活の一部と言うと大袈裟だが、それなりに影響を受けた。グノーシアは実況part1を数分観て即購入を決意したし、Inscrypsionをやってみるきっかけでsteamデビューした。Florenceも即購入して即泣いた。稲葉が「今生きている理由のひとつ」とまで語ったスキップとローファーにもえらはまりし、親しい友人4人に送りつける等した。みんなはまってくれており嬉しい限り。そろそろ新刊が出る。
そんな彼らが実況したゲームのBGMを演奏するという趣旨のピアノコンサートが催された。
新しい。こんなエンタメがあったかと驚く。元々ピアノは好きで、すぐ泣くし、心酔している作品にはだいたいピアノの曲が使われている。映画every dayなんかはまさにそうで、最近ルックバックでも話題になったharuka nakamuraが作中のBGMを担当されている。
帯広から駆け付けたかったが、残念ながらチケットが取れなかった。オードリーの東京ドームライブチケット当選で今年の運は使い果たしていたのかもしれないと自分を納得させ、オンライン配信に気持ちを切り替える。
仕事を終えた金曜日、次の日から3連休なので札幌に出かけることにした。
帯広から札幌に向かう車内でオンライン配信を流す。
非常に贅沢な元老院から始まる。思わずにやける。
ファミレスを享受せよで大泣きした。泣くだろうなと思っていたがやはり泣いた。
学校であった怖い話、特に新堂さんのテーマはおそらく観客が最も楽しみにしていた曲のひとつではないだろうか。日野様のテーマはなんか笑ってしまった。
あと、絶体絶命都市2は鳥肌が立った。実況のラストで「満腹之丞だ!」とふたりが驚いていた時の鳥肌が蘇った。アクセント程度だったが名曲だったと気付かされた。
ゆめにっきでまた泣き、コンサートが終わる。
終了後も再度聴き直し、気づいたら札幌に着いていた。およそ3時間半の移動距離だが、こんなに退屈しなかったのは初めてだった。
Xでゲーム作者、作曲者の方々がそれぞれ呟き、集まってきていたその様子に感動した。ピアコンきっかけでひとつの場所に集っている。ファンの方々も、なんというか、悪人が居なさそうな雰囲気を感じる。それなりに年齢層が高いからだろうか笑。
オンライン配信のアーカイブをリピートしながら、札幌の街を散歩している。通信量が凄まじいことになっているが仕方無い。贅沢な休日である。
大満足、こんな素晴らしいものを有難うとしか言いようが無いのだが、強いて、強いて言えばFlorenceが聴きたかった。オープニングテーマだけで確実に泣いていた自信がある。
また何かしらの形で、次の機会があると期待したい。次こそは会場で観たいし。
決して重い意味では無く、自分が生きている理由のひとつといえるかもしれない。彼らの最終回を観るまでは死ねないという気持ちがある。