【ネタ回】楽譜の「アーティキュレーション」について 〜《かえるのうた》の譜例をもとに
皆さん、ぐっもニカ〜🎹 MONICA MUSIC FACTORYです。
今回はタイトル通り「ネタ回」です。コーヒーやお酒でも飲みながらお楽しみください。
(「譜例」の画像が多いため、一見文章が長そうな記事に見えますが、全然少ないです!)
「アレンジ(編曲)」と「採譜」の違い
MONICA MUSIC FACTORYでは、鍵盤ハーモニカや音楽にまつわるnote記事を公開しながら、鍵盤ハーモニカ(ソロ・アンサンブル)のアレンジ楽譜の販売を行っております。
そんな私は、以前、このような記事を公開したのですが、皆さん覚えていますか?
タイトル通り、楽譜という「商品」はいったいどういうものなのだろう? という話が書かれているこの記事。
MONICA MUSIC FACTORYが制作した、《かえるのうた》のアレンジ楽譜を基にした内容で、ぜひ読んでいただきたい記事なんですが……。
この記事……楽譜における一番重要なことについて、一切言及されていないんですよね。
楽譜の「音」そのもの、つまり「アレンジ」については、なあ〜んにも書かれていないんです。
「譜例」をもとにした記事で、「譜」の部分について一切触れられていないんです。なんてやつだ。お前それでもアレンジャーか!
いや、そもそも、ですよ。
「アレンジ(編曲)」って、なんですか?
アレンジ arrange
(名)スル
① 並べること。整え,配列すること。
② てはずを整えること。手配すること。「首脳会談を―する」
③ 編曲すること。脚色すること。「クラシックをポップス風に―する」
へんきょく【編曲】
(名)スル
ある楽曲をその曲本来の編成から他の演奏形態に適するように書き改めること。アレンジ。アレンジメント。「交響曲をピアノ曲に―する」
とりあえず、Mac book proの辞書アプリ(三省堂『スーパー大辞林』より)から、「アレンジ」「編曲」それぞれの単語について調べたので引用させていただきます。
そういえば、最近では楽譜販売のサイトでは「採譜」という単語もよく聞きますね。採譜って、アレンジや編曲と何が違うのでしょうか? こちらも辞書で調べてみました。
さいふ【採譜】
(名)スル
民謡など口承されてきた歌を楽譜に書きとること。「土地の古老から―する」
要するに、「採譜」というのは、巷で流れている曲のメロディなどを、耳コピで楽譜に書き起こした状態、言い換えると、メロディを楽譜に書き起こしただけの、「ありのまま」の状態ということですね。
「アレンジ(編曲)」と言われている類の楽譜は、例えばクラシック音楽を「ジャズ風」にするなど、音楽のテイストを変えていたり、楽器の特徴に合わせてちょっと原曲から音をいじっていたり、「採譜」よりも若干何かしらの手が加えられている状態のものであることが多いです。
もしあなたが、「〇〇の曲の楽譜が欲しいな〜」と思ったなら、楽譜を探す際には、それが果たして「編曲」の楽譜なのか「採譜」の楽譜なのか、よく確認してから購入してみてください。
あなたの用途に合った楽譜が手元に届きますように!
【閲覧注意】《かえるのうた》譜例4パターン
さて、ここからが「ネタ回」本番です。
MONICA MUSIC FACTORYでは、鍵盤ハーモニカのための「アレンジ(編曲)」楽譜を販売しています。
《かえるのうた》の譜例も、当方が制作したアレンジ楽譜でございます。ちょっと前回の記事で掲載したものをお見せしますね。
前回は楽譜の「アレンジ」の部分については一切お話できませんでした。
そこで、今回はこの《かえるのうた》を使って、色々なパターンでアレンジをしてみることにしました。
4パターンご用意させていただいてます。今回は音源は「おまけ」しませんでしたが……まあ……わざわざ音源を聞く必要もないでしょう。
♪譜例1:テヌート+スタッカートver.
題名『(水面に浮かぶ葉っぱから葉っぱへと頑張って飛び移ろうと思ったら、着地に失敗してボチャンと水に落ちてしまった)かえるのうた』
まず、こちらは前回の譜例と同様の内容です。
かえるがボチャンと水に落下した姿がイメージできましたか?
♪譜例2:スラーver.
題名『(水面に浮かぶ葉っぱの上で優雅に過ごしていると、突然強い風に煽られてボチャンと水に落ちてしまった)かえるのうた』
先程のかえるくん(かえるさん?)よりは、水に落ちる前のシチュエーション的にも、やや余裕を持った演奏ができそうですね。
♪譜例3:スタッカートver.
題名『(おたまじゃくしから羽化したての、ピョンピョン跳ねていたところで蛇に丸呑みにされてしまった)かえるのうた』
冒頭とラストの、緊張感の差が非常に大きく現れているアレンジですね。ラストの部分でテンポがぶれないように、気をつけて演奏してください。
♪譜例4:フェルマータver.
題名『(余裕しゃくしゃくな)とのさまがえるのうた』
これまでのアレンジよりも、演奏する際の「気の長さ」がプレイヤーによって大きく差が出そうですよね。
皆さんが1音符につきどのくらい「フェルマータ」してくれるのか、楽しみです。
「アーティキュレーション」という名のチート
いかがでしたか?
もちろん皆さんお気づきだと思いますが、今ご紹介した譜例4パターンは、いずれも「音」そのものは全然変えておりません。
私が手を加えた、つまり「アレンジ」したのは、「アーティキュレーション」の部分のみです。
アーティキュレーション articulation
① 発音の明瞭度。歯切れ。
② 音楽の演奏において,各音の切り方,あるいは次の音との続け方のこと。演奏上,フレーズ内部の分節を明確にする表現手段として重要。レガート・テヌート・スタッカートなど。
アレンジ楽譜に書かれた「音」には、たいてい「アーティキュレーション」と「強弱」の指定が記されています。
今回は「強弱」の部分は全パターン統一してしまいましたが、例えば譜例2の「スラー」のアレンジは、「p(ピアノ、弱く)」の強弱で演奏するとよりラストとの表現に落差が付くのではないでしょうか。
アレンジ楽譜に限らず、楽譜において「アーティキュレーション」の変化は非常に重要な要素です。
皆さんも楽譜を見て楽器を演奏する際は、ぜひ「音」そのものだけでなく「アーティキュレーション」の変化にも注目してあげてくださいね。
↓ MONICA MUSIC FACTORYのアレンジ楽譜はこちら!
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最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
それでは、またお会いしましょう! ぐっばいニカ〜🎹
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