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3. 業務内容・待遇等

今回は,業務内容・待遇等について扱います。
私自身,インハウスとして働き始めているわけではないので,あくまでも2021年度の就活で見聞きした情報インターネット上の情報が中心です。

なお,本記事では,インハウスに関するアンケートの結果を引用しますが,これらはいずれも,日本組織内弁護士協会企業内弁護士に関するアンケート集計結果 (2021年3月実施)です。

質問・要望等はコメント欄Twitterの質問箱にお願いします。

3.1 業務内容等

インハウスのデメリットとして真っ先に挙げられるのは,「仕事がつまらない」ということです。確かに,インハウスの典型的な仕事とされる契約書のレビューは必ずしも楽しい仕事とはいえないかもしれません。
しかし,説明会で業務内容を聞く限り,契約書のレビューばかりやっているわけではないようです。業界や企業次第ではありますが,企業内の法律相談や顧問弁護士とのやりとりに加えて,時には海外に行って自ら交渉をしたりすることもあるようです。

インハウスのメリットとして挙げられることが多い点として「案件に当事者として主体的に関わることができる」ということがあります。これも企業によるとは思いますが,プロジェクトの立ち上げ当初から(場合によってはプロジェクトの終了まで)法的な観点で関わることができるとされています。こうした点は,第三者として関わる法律事務所の弁護士とは大きく異なるところです。

弁護士といえば,「裁判」ですが,アンケート結果を見ると,訴訟代理人になることがあるのは少数派のようです。「せっかく弁護士になるなら訴訟もやってみたい!」という方は,説明会などで,訴訟はインハウスがやっているのか,外注しているのかについて聞いてみてください。

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コロナ禍を契機にリモートワークが増えていますが,コロナ禍が終わってもリモートワークを継続する予定の企業も多いようです。

また,業務の進め方として,インハウスの方が事務所よりも手厚くサポートしてもらえる傾向にあるとされています。説明会で「一人で何かをすることはない」とまで言っている企業もありました。この点は,人によって評価は異なると思いますが,しっかりとサポートしてもらいたい人にとってはメリットだと思います。

3.2 給与面

インハウスになった場合,給与はどれくらいもらえるのでしょうか。
これも業界や企業によって大きく異なりますが,全体で見ると750万円〜1000万円が一番多いようです。
インハウスは従業員ではありますが,弁護士である以上,初任給等は通常の新卒よりも高く設定されていることが多いです。例えば,最初から役職があったり,新卒5年目くらいの給与から始まったりすることで,通常の新卒よりも優遇されていることがあります。ただし,新卒インハウスを普通の院卒として給与設定している企業もあるので,入りたい企業については,しっかりと確認することをお勧めします。

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業種別のアンケートでは,金融が高い傾向にあるようです。

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弁護士経験5年未満の年収を見ると,500万円〜750万円が一番多いようです。
おそらく,この時点で1000万円を超えている人は,基本的には大手事務所を数年で辞めて中途でインハウスになった方だと思います(あくまで私見です)。

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忘れてはならないのが弁護士会費の負担です。自腹だとかなりの出費になるため,事務所就活でも多くの就活生が気になる点だと思います。
8割を超える方が企業に負担してもらっているようです。実際,説明会ではほとんどの企業が「弁護士会費は企業が負担します」と言っていました。

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残念ながら,昇給については,十分な情報がありません。初任給の額ももちろん大切ですが,その後の昇給のスピードや程度は,それ以上に大切な事柄だと思います。
年功序列制を採っていない企業もありますので,入社した場合に自分が何歳でどのくらいの年収になる見込みなのかは,具体的に聞いておくと良いでしょう。

3.3 労働時間

インハウスのメリットの一つは,企業法務系の事務所と比べた場合の,労働時間の短さだと思います。普通の仕事と比べて短いというわけではありませんが,労基法が適用される以上,無茶な働き方はできません。
特に,大企業では,仕事の効率化(による人件費削減)やワークライフバランスの観点から,残業時間を減らす方向に進んでいるようです。

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また,フレックスタイム制を採用している企業もあり,働き方の多様化が進んでいるという印象です。

3.4 留学

説明会において,業務内容に次いで言及されることが多いのが留学制度です。
大手渉外事務所であれば留学に行かれる方が大半だと思いますが,インハウスでも留学に行く機会は十分にあるようです。
もちろん,TOEICで一定以上の点数を取るなどの基準はありますが,海外で通用する人材を育成するため,留学を奨励している企業が多いようです。ただし,業種や企業の規模によって留学制度の充実度は大きく異なるはずですので,説明会などで確認することが必須だと思います。

どういった大学に留学できるのか,何年目から行けるのかなど,詳しく説明してくれる企業も少なくありませんでした。質疑応答でも,留学について質問する方が多く,企業・就活生の双方が留学制度を重視しているという印象を受けました。

運が良ければ,説明会や面接で,留学経験のあるインハウスの方とお話しする機会があるかもしれません。

3.5 福利厚生

福利厚生も就活する上で重要な要素だと思います。事務所では,必ずしも福利厚生が充実しているわけではなく,インハウスのメリットの一つといえるでしょう。
実際,給与はそこまで高くなくても,住宅手当などが手厚く,実質的な給与は高いという説明をしている企業がありました。

また,法定外の休暇や,資格取得支援などの自己啓発関係の制度が充実している企業も多く,自己研鑽を推奨する方向に向かっているような印象を受けました。

細かい制度は,企業ごとに異なるので,企業の採用ページ等で確認すると良いと思います。

3.6 今回の情報の確認方法

今回の情報のうち,業務内容留学制度の情報は,企業説明会で簡単に確認できます。説明会での質疑応答では,これらの点の質問が大半だった気がします。
また,企業によっては,採用ページにインハウスのインタビュー記事が掲載されていることもあり,非常に参考になると思います。

他方,給与面(初任給や昇給)や労働時間については,法律事務所の悪影響か,説明会時点で明らかにしている企業は少ないと感じました。そのため,そういった事項については,説明会の質疑応答面接の際に聞いてみると良いと思います。

福利厚生については,企業の採用ページなどに詳しく載っているので簡単に確認できます。

冒頭にも書きましたが,今回扱ったインハウスに関するアンケートの詳細は,日本組織内弁護士協会のホームページで確認することができます。アンケート結果の推移なども載っており,分析してみると面白いかもしれません。



〔更新履歴〕
2022.1.29 投稿



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