モンゴルEdTechスタートアップ「STERA」は、クラス管理効率化プラットフォームにより、教師の負担を軽減し、モンゴル教育業界のアップデートに挑む!
モンゴルのスタートアップを発信するこのnote。
第4弾は、オンライン教育におけるクラス管理効率化プラットフォームを開発するSTERA innovationのCOO/共同創業者であるテリーさんにインタビューしました。
【会社概要】
社名 :STERA innovation LLC
分野 :EdTech(クラス管理プラットフォーム)
設立年月 :2021年1月
従業員数 :7名
■ Tamira Terry (タミラ・テリー) COO & Co-founder
高校卒業後1年間シンガポールに留学。モンゴル帰国後、大学では会計学を専攻。モンゴル現地通信事業者大手のMobiCom Cooperation社に勤務後、不動産業界等様々な業界にてプロジェクトマネージャーやブランドマネージャーとして活躍。2020年に前職の同僚とともにSTERA innovation LLCを創業。個人としては、大学時代に学内のチェス大会で優勝するなど、子供の頃からチェスが得意。
・起業のきっかけ
順風満帆なビジネスマンライフを送っていたテリーさんですが、なぜ突然起業という選択をされたのでしょうか。起業のきっかけを聞いてみました。
テリー「コロナが拡大しオンライン授業が余儀なくされた2020年、私の息子は小学1年生でした。オンライン授業の形式に関し、モンゴル政府から特別な指示があったわけではなく、各学校は独自でオンライン化を進める必要がありました。私の息子の学校の授業はZoomで行われ、宿題はFaceBookメッセンジャーのグループチャットを通じて、親が子供の勉強の結果を送信する形式になっていました。この方法では、50人のクラスメイトの親がそれぞれ5枚の宿題の写真を送ると、グループチャットには250枚の写真が流れることとなります。先生にとって、毎日送られてくる膨大な写真確認する作業が大きな負担となっていることは明らかでした。今後もこの状況が続いた場合、モンゴルの教育の質が低下してしまうだろうと私は懸念しました。この経験をきっかけに、私はオンライン授業におけるクラス管理の効率化が不可欠であると確信し、友人と起業することを決意しました。」
※学校数が不足しているため、モンゴルの小学校における1クラスの平均人数は38-56人とのこと。首都ウランバートルでは、2部制や3部制の学校も少なくない。
・事業概要
STERA innovation LLCでは、教師の負担を軽減し、クラス管理を効率化するために、下記機能を盛り込んだ統合的なプラットフォームを開発しているようです。また、利用料金は1生徒あたり年間1.3USDを予定しており、利用料金を親と学校のどちらが負担するかは、引き続き検討中のようです。
開発中の機能一覧:
・クラス名簿
・出欠管理
・授業/課外活動スケジュール
・宿題管理
・試験結果
・お知らせ
・緊急連絡(SOS)
・その他随時検討中
モンゴルの新年度が始まる予定の2021年8月中旬に向けてリリース予定とのことですが、事業の詳細を聞いてみました。
テリー「教師の負担軽減により、生産性が向上し、教育の質の向上に結びつくと考えています。我々が開発中のプラットフォーム「My Class」では、親と教師を効率的に結びつけるために、複数の機能開発していますが、特に重要だと考えている機能は「緊急連絡(SOS)機能」です。モンゴルの学校では、よく郊外に遠足に行きます。遠足に行く際は、教師が全生徒の親の携帯電話番号を事前に紙にメモし、仮に事故があった際は、毎回生徒全員の親に電話している状況を知りました。もし一つの操作で状況を全生徒の親に一斉に知らせることができたらどれだけ教師の負担を軽減できるかと思い、この機能を開発することにしました。」
・競合他社/自身の強みについて
モンゴルでは、まだあまり普及が進んでいないクラス管理効率化プラットフォームに関し、競合他社や強みについてヒアリングしてみました。
テリー「モンゴル国内でもクラス管理効率化プラットフォームを提供している会社は2社ほどあるのですが、我々は「教師の負担軽減」という他社と違うポイントに焦点を当ててサービスを開発しています。個人的には、テクノロジーでの差別化は、すぐに追いつかれてしまうものであると考えており、UXで差別化をしていくことが重要だと考えています。我々は教師にとって本当に使いやすいUXを追求することに拘っています。また、我々は既に、全国教師協会を含む3つの団体とMOUを締結しており、2000人以上の教師とのコネクションを持っています。」
・最後に一言
8月中旬のリリースに向けて、開発作業に追われていたテリーさんですが、最後に一言、読者の皆様向けにメッセージを頂きました。
テリー「現在資金調達を行なっているのですが、もし我々の事業に共感を頂ける読者の方がいれば是非連絡頂きたいです。我々は、本事業を通じてモンゴルの教育業界をアップデートします!」
テリーさんによる事業紹介プレゼン動画はこちら↓
・インタビューを終えて
実はモンゴル人は非常に教育熱心な国民であり、どんなに節約しても教育費だけは惜しまないというような文化が根付いています。EdTechスタートアップも続々と誕生しており、モンゴルスタートアップ業界では、一番群雄割拠なセクターと言われています。その中でも、「教師の負担」という独特のペインにフォーカスしてサービスを開発するSTERA innovation社、今後の成長が楽しみなスタートアップの一つです!