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皐月四日 旅の記憶その6 弘前
津軽地方を訪うのは二十年ぶりでしょうか。
とはいえ、前回は夏だったので、桜の季節は初めてです。花の盛りに来ることができたなんて勿怪の幸い。14時から弘前市立博物館で開催される東雅夫さんの講演会がなければ、人混みが大の苦手の私がこの時期を選んで来ることはなかったかと思います。何事も、御縁は大事です。
御縁といえば、仕事関係で何度かやり取りさせてもらっていた怪談作家の高田公太さんにご連絡し、こちらも初めてお目にかかることにもなっていました。近頃はどの土地でもお化け関係の方々と交流することができます。なんともよい時代になったものです。
でも、その前にご飯。
弘前はフレンチがいいと聞いていたので目星をつけていた店に行ってみたものの、メニューを見ると今ひとつピンとこなかったので、その直ぐ側にあったスペイン料理店に入ってみたら、これがもう大当たりでした。
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特に画像の左下、エビに乗っかられているスパニッシュ・オムレツが抜群でして。キッシュもよかったなあ。ラザニアみたいなのも。豚のローストも脂が甘くて大変結構。要するに全品おいしかったわけです。
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飲まないわけにはいきませんでした。旅先でよいお店に当たると、もう最高に幸せな気分になりますよね。
これでもう準備(なんの?)はバッチリです。
高田さんとは弘前市立郷土文学館で落ち合い、軽く弘前文壇の解説などしてもらいました。これもまたありがたい。
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そしていよいよ弘前市立博物館。入館したら、いきなり旧知の方と二年ぶりに顔を合わせるなど、異郷で思わぬ再会です。コロナ禍の長さを感じつつ、恙無きに胸を撫で下ろしました。
そして始まった東さんの講演は、ちょうど開催中の企画展「弘前の文化財」に出展された伝円山応挙筆の幽霊画について触れつつ、以前「幽」で津軽地方の取材をされた際の思い出を語るような内容でした。なんだかんだで創刊号から「幽」と関係してきた身としては、あの特集がもうそんなに前かあと感慨も一入です。
講演後は一人ぶらぶらと公園内を散策しました。
そして、見ました。
花筏、ってやつを。
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盛り過ぎ 川面の影も花染めに
行春の光景の中でも、もっとも華やかなもののひとつがここにあるのでしょう。
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