卯月二十九日 旅の記憶その2 倶知安から長万部
倶知安から三度目の乗り換え駅である長万部まではだいたい一時間半ほどかかります。窓際に陣取り、さっそくお弁当を食べながら流れる景色を堪能と洒落込みました。
いわゆるひとつの呑み鉄旅です。
呑み鉄旅の酒のチョイスは、多少ぬるくなっても美味しいものを選ぶのがコツ。ビールならエールがよろしいかと思います。今回は白ビールにしました。このタイプは香りが命だから本当はグラスに注いで飲むのが一番だけど、電車では瓶からそのままも悪くありません。
走る列車に揺られて、ただのんびりお酒を楽しむ。
これ以上の命の洗濯があるでしょうか。自動車旅では味わえない楽しみです。
沿線の景色、しっかり目に焼き付けよう……と思っていたけど、さすがに満腹とアルコールのダブルパンチには敵わなかったようで、眠気が襲ってきて気づけば二股駅。黒松内駅を見逃しました。失敗だ。
雪もすっかり少なくなっています。そうこうしている間に長万部に到着。アナウンスさえ由利徹の声に聞こえる気分です。
この駅は名物駅弁かにめしで有名ですね。乗り換え時間に余裕があったので買おうかなと思ったものの、物産展などでも高頻度で出店されるので今回はひとまずスルーしました。
次の出発時刻までは三十分弱。のんびり駅周辺を散歩したり、駅売店を観たりしながら過ごしました。もちろん、スタンプも押しましたよ。
駅からわずかばり開けた視界の先に、海が見えました。ここからは再びの海岸線の旅です。
そうそう、売店では長万部名物「あめせんべい」なるお菓子を買いました。どんな食べ物かまったくわからないままの購入だったのですが、帰宅してから食べてびっくり。本当にせんべいの間に飴が入っているんです。飴といっても水飴、それもかなり素朴な味。素朴といえばせんべいの方も相当素朴で、ちょっと鹿せんべいのような香りが……。
でも、私は嫌いじゃないというか、昔のお菓子ってこんな感じだったんだろうなと妙に納得しながら食べました。こちらはかにめしと違ってなかなか買えるものでもないので、長万部駅にお出かけの際には、ぜひ。