如月十八日 【紹介】絵本『蒼い夜の狼たち』
今日は絵本の御紹介です。
かつて日本の山野を駆け巡り「大神(おおかみ)」や「大口真神」として畏れ、崇められていたニホンオオカミたち。彼らが地上から姿を消して百年の歳月が流れました。
山梨県北東部の山奥にある丹波山村は、地理上秩父や多摩と一続きで、オオカミ信仰が根付いていた土地柄でもあります。
ですが、人口減少や社会の変化の波を受け、生体としてのオオカミに続き、信仰上のオオカミも失おうとしていました。
ところが、一人の若者が現れ、土地の伝承や民俗をていねいに掘り起こし、2018年にはオオカミを眷属とする七ツ石神社の再建にまでこぎつけたのです。その人の名前は寺崎美紅さん。現在は丹波山村文化財担当として土地に定住し、村の文化を守りながら、外部に向けて発信する仕事をされています。
この度、その一環として、絵本『蒼い夜の狼たち』が出版されました。文は寺崎さん、絵は寺崎さんの盟友で狼画を中心に発表されているイラストレーターの玉川麻依さんが手掛けています。
お二人はオオカミ信仰が縁で出会われたとのこと、もしかしたらこの本を創らせるための神の深謀だったのかもしれませんね。
長年山に宿ってきたオオカミたちが、失われようとする命と信仰を守ろうとする儚くも強く、美しい物語です。過去を愛惜するとともに、未来への希望をつなごうとする意志も感じます。
もう二度と戻ってこない神々。けれど、忘れられない限り、彼らはまだ“いる”のでしょう。そうであってほしいと願わざるを得ません。
購入方法は下記、たばやま観光Naviのお問い合わせフォームから問い合わせてください。
公式Twitterもあるので、チェックしてみてはいかがでしょう。
私はまだ一度も丹波山村に行ったことがないのですが、今秋ぐらいに行けるといいなと思っています。
横須賀移住で海の街に足がかりができたから、次は山の村との縁がほしいんですよね。とりあえず山登りの訓練でもしよう。
雑誌『怪と幽』4号に寺崎さんのインタビューが載っているので、こちらもぜひ!