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親指の爪が半分もげた時人が思うこと

先日、風邪をひきました。
数日療養して、ようやく治ってきた時に、
引き出しの角に足を思いっきりぶつけてしまいました。
そのとき、強烈な痛みと共に、
聞き慣れないメリッとした音が聞こえました。

メリッ…?

恐る恐る見た親指の爪が、あきらかに
浮き上がっています!!

ヒッ!
つ、つめが剥げた!

驚いて固まっていると、爪の脇からじんわりと血が…

ぎゃー!

ティッシュ!ティッシュ!とは思いますが
既に床に尻もちをついている私、
ティッシュを取ることさえ出来ません。

子供が後ろから
「大丈夫?」って声をかけてくるので
「大丈夫じゃないの!爪が剥がれた〜〜!」って
事の重大さをアピールし騒ぎます。

すると、娘がスッとティッシュを渡してくれました。

それ以上爪を見るのが怖くて、すぐさま
ティッシュで親指をグルグルまく私。
ジンジンと痛いし、ティッシュはじんわり赤いし、
気分も悪くなってきてしまったので一旦

そっと…静かに床に横たわりました。

そして
「つめがハゲタ…オヤユビのつめが…」と
意味もなくブツブツとつぶやきます。

娘に「大丈夫?痛い?」と聞かれ、なぜか
「わからない」と答えてしまいます。
イヤ本当にショックのあまり
痛いのかなんなのかよくわからなくなり、
ただ気分は悪いので、吐きたい気もします。

「爪が剥げたら、爪はかぶせたままで、皮膚科に行くといいみたい」
とすばやくググってくれた娘が、
指示してくれます。ありがとう。

急ぎ病院にいきたいけど、
こんな状態で靴を履いたり
歩いたりできるんだろうか。
でも放置していたら菌が入って大変な
ことになってしまいそう。腫れたらどうしよう?
風邪が治ったばかりだというのに、こんなことになるなんて
なにかの天罰かしら?日頃の行いが悪かった?
あれ?今年の運勢ってどうだったっけ?
と、思考はマイナスの方へマイナスの方へ転がっていきます。
(寝っ転がったまんまで)

しばらく横になっていましたが、
あ!今日から仕事だ!病院行くならとっとと行かねば!
と、現実に引き戻され、あちこち手配をし
足を保護しながらサンダルを履いて病院へ向かいました。

行った先の病院では、これから何をされるの?と
ドキドキしている私をよそに、ベテラン先生が
爪先のテイッシュを慣れた様子でピッと剥がし、
「あ〜、半分だけ剥がれてますね。
なぜか爪根が飛び出してるよ。」
と患部を確認し、
「ま、でもこれは放置するしかないんだよね。
伸びてくるのをまちましょう。」
と言って、薬を塗ってガーゼを巻き
「お大事に」と数分で終了したのでした。

え?それだけ?
爪が剥げた!と怯える私とのこの温度差!
「伸びてきたら少しづつ切ってね。」
先生のあっさりとした反応に、
そうか、そんな大したことではなかったのか、と
騒いでいた自分がちょっと恥ずかしくなりました。
痛みもガクンと減ったような気がします。

なんかあれですよね。
爪を剥ぐって、昔の拷問にもあったと聞きますし
人間の一番恐ろしい急所のようなイメージがあって
脳が過剰に反応しちゃうんですかね。

その証拠?に、
私は、その後聞かれもしないのに何度も
「角にぶつけて足の爪が剥がれたのよ!(半分だけど)」と
会う人に大げさに語っていました。
なんの自慢?と自分でも思いますが、つい話したくなるのです。
(こうやって、noteにも書いてますしね)

話を聞いた人は大抵、「うわ!痛そう」って顔をしかめて
くれるのですが、たまに現れるのが

「俺も爪が剥がれたことあるんだよ!ドアに挟んで!
あれ痛いよね〜」と、被せてくる人。

「あんときゃ、病院で全部剥がされてさあ〜」と
私よりも数倍痛いエピソードをかませてきます。
こっちは半剥げですから、負けた気分です。
全剥げうらやましいとさえ思えるような…。

それにしても、人はなぜ、痛い体験談を語る時は、
こんなにも饒舌になり、痛さマウントを取りたがるのか。
出産時の分娩何時間苦しんだかマウントを
ちょっと思い出しました。

だんだん黒く変色する爪を見ながら、
まあ、「もう2度とごめんだけど」と
思ったのは間違いありません。






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