【大炎上中!?】ESAT-J試験(スピーキング試験)の実装が本当に悪いのか、現役英語コーチが本気で語ってみた。
こんにちは!
MONEY ENGLISHで英語コーチを務めております大石です。
本日は、現在大変な物議を醸している「ESAT-J(スピーキング試験)」について、現役の英語コーチである私がグローバルスタンダードを踏まえて良いところ・悪いところを赤裸々に語っていく!という記事になります。
ちなみに現在、学校の教職員の皆さま、保護者様、並びに受験生に対する試験実施の是非を問うアンケートでは、なんと驚愕の「90%以上が反対している!」という結果みたいです。(すごい数字ですね、、)
この記事を見てくださる方も、もしかしたら反対派の方が多いのかもしれません・・!
とはいえ、残酷な現実ですが、
「英語を4技能領域で求められる時代」はもう既に来ています。
すぐそこまで来ている。。そろそろ準備しないとな~。。
ではなく、既に来ています。。(大事なので2回言いました)
そして遅かれ早かれ東京だけではなく、地方でも同じように英語試験の4技能化が実装される未来は確実です。(これは避けようもない現実です)
話は少し変わりますが、
私は今まで主にビジネスで英語が必要!という方を指導してきて、
かれこれ1000人以上は指導してきておりますが、
そして現在進行形でも毎日カウンセリングにて
「仕事で急に英語が必要になった(泣)」
「英語ができなさすぎて、仕事にならない・・」
というようなご相談を受けています。
「英語のメールを受け取る度に翻訳ソフト頼りな自分に泣けてきます・・」
「自分の英語がぐちゃぐちゃすぎて、クライアントに呆れられます・・」
「そもそも質問の意味が分からず、YES!YES! としか言えなくて仕事になりません・・」
旅行の時に日常英会話が出来るようになりたい!というような割とふわっとした動機で英語を勉強される方が今までは多かった印象ですが、現在はシビアに社会人の1つ大きなビジネスリテラシーになりつつあるというのが事実です。
それには
リーディングもリスニングもスピーキングもライティングも
4技能全て必要になっているというのが隠しようもない現実です。
前置きが長くなりましたが、
その上で、今回は皆さまに何を伝えたい記事なりそうかというと、
「ESAT-J試験の本質や英語についてのグローバルスタンダードを理解し、これから少しでも気持ちよく試験対策に取り組んでいけること」
その手助けになればと思います。
そもそも『ESAT-J』とは?
名称:中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)
読み方:「イー・サット・ジェイ」
※English Speaking Achievement Test for Junior High School Studentsの略称
対象者:都立公立中学校3学年の全生徒
概要:小・中学校で身に付けた英語によるコミュニケーション能力を、高校でさらに向上させ「使える英語力」に育成すべく、小・中・高校で一貫した英語教育と充実及び円滑な接続を目指し、令和4年度から都内公立中学校第3学年生徒を対象に「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」を実施します。
「東京都教育委員会WEBサイト」より一部抜粋
要するに、今年から始まった都内公立高校受験の際に既存の5科目に新たに追加された「英語のスピーキング試験」ということです。
まず、何故こんなにも話題が大きくなっているかと言いますと、
「大炎上しているから!」というのが、事実のようです。。
試験まで残り3カ月程度となっていますが、
未だに公立学校の教師や、保護者の方々が試験反対を訴えて抗議活動を行っているようです。
日本人の皆さんの英語学習に日々携わっている私も、何故炎上しているのかという所を調べてみた結果、納得の理由もいくつか見つけましたので、私なりの解釈も踏まえて、まずはこの「ESAT-J試験の問題 」をまとめてみました。
ESAT-Jの問題点とは?
問題点というより、この試験の実施を強く反対している方が一定数いらっしゃるのは事実のようで、その方たちが何故反対しているのかということをまとめてみたいと思います。
●反対派の意見
・採点基準が不明確
・導入の経緯が不透明
・教育現場を混乱させる
・採点内容が非公開のため学習にも生かせないし異議申し立ても出来ない
・不受験者の点を推算する方法は同等の能力をもつ受験生に対して不平等な扱いをもたらす可能性がある
・試験そのものの説明が不十分で詳細を把握できない
というように、探すと色々出てきました。。(汗)
大きなところを中心に解説していきます。
採点基準が不明確・・?
まずはここですね~。
引用:東京都教育庁指導部指導企画課
なるほど、、ぱっと見で分かる!
採点基準の線引きがものすごく曖昧に見える!!(笑)
AIが採点するならまだしも、この曖昧な採点基準で
英語試験運用実績、経験の無い民間会社が採点を請け負う!というのはさすがに不満が溢れるのも分かる気がします(爆)
しかもそのスコアが志望校受験の命運を分けかねない・・という。(泣)
ちなみに、私大石は冷静にこの採点基準をどう見ているかというと、
完璧とは言えないけど、現状これが最善だよね という印象です。
引用:British Council
唐突に出てきましたが、
こちらは、世界で今最も認知されている英語の4技能試験「IELTS」のSpeaking試験の採点基準です。
つまり、この試験がグローバルスタンダード と言っても語弊はないと思いますが、このIELTS試験ですら、、
採点基準が曖昧に見える!!!(笑)(詳細は英語で分からないと思いますが、ESAT-Jのように〇〇がどれだけできた~というような採点基準です)
というのが現実です。(笑)
何が言いたいかというと、
語学における「Speaking・Writing技能」に関して、
現状、誰もが認める「公平」な採点方法は無いということです。
何故かというと、
この2技能に関しては性質上「マル・バツ」で採点出来ないからです。
だから定性評価(数字で評価できない)になってしまう。
これは、ESAT-J試験の問題ではなく、試験内容の性質によって起こっている問題というのが正しい見方です。
導入の経緯が不透明
これは、、単純に社会人として英語技能が露骨に必要になってきている現状において、なんとかしなければ!!!!ということでしかない気がします。
むしろ導入遅すぎませんか。。?とすら私は思っています。(多分、ビジネスにおいて現役でバリバリ英語を使っている方も同じ感想を抱くと思います)
仮に反対したとして、スピーキング試験導入が5年・10年遅くなったとしましょう。
試験の公平な実施は担保され、頑張っている皆さんが今志望校に入れる確率はもしかしたら高まるかもしれません。
そして、無事高校に入学し、大学にも進学し、社会人になります。
いざ、会社の入社式!!
周りはまさかの半分以上外国人。
業務が始まってそうそう、英語での社内ミーティング。(これ本当に誇張じゃなく、こういう時代が既に来ています)
「全く英語も話せない・聴きとれない・・」
もしくは、英語が出来ないとそもそも行きたい会社にも行けない未来があるかもしれません。
皆さんがこんな状態にならないように、少しでも国や文科省がその問題に早く取り組んだ結果が今なのかもしれません。(そういう意図だろうと予想しますが、もしかすると既得権益的なダークな部分もあるのですかね~・・?)
なので、遅かれ早かれ取り組まなければいけない問題なのは確かで、
私たちはそこから目を背けてはいけないような気がします。
採点内容が非公開
これもさっきと同じ理屈で説明できるかなと思います。
非公開にしているのではなく、
適切にパブリックな情報にする方法が無い
というのが正しいと思います。
何故かというと、
試験内容の性質的にどうしても定性評価(〇×で評価できない)になってしまうからです。
とはいえ、一旦私が無理やり採点内容を公開してみましょう。
〇言語使用(採点基準の一部)
【1点の採点基準】使用している語彙や表現の幅が限られているが、簡単な接続詞を使って、単語や語句をつなげることができる。
【2点の採点基準】使用している語彙・表現や文法の幅が限られているが、文法の幅が限られているが、簡単な接続詞を使って、アイデアをつなげたりすることができる。
例えば、試験官Aが受験生Aのスピーキング試験を採点していて、
「言語使用」という採点基準で1点にしようか2点にしようか悩んでいたとします。
この基準に沿ったとして、寸分の狂いもなく、人間が公平に1点と2点を採点し分けられるでしょうか?
・・・絶対に無理ですよね。泣
絶対無理なのと、意味が無いのは分かっていますが、
せっかくなので頑張って採点内容を公開してみましょう。
【試験官Aの頭の中(サンプル)】
この受験生は使用している語彙や表現が少ないな~!けど、簡単な接続詞は使えているね!さて、単語と語句を繋げられているという点は十分できているかな!アイデアを繋げられているかと言えば、、繋げられているとも感じるな。。!ん~・・とはいえ、さっきの生徒さんには1点を付けたけど、この子の方が少し良くできている気がするから、2点にしようかな!OK!
これが採点内容ですね。
これを公開したところで、誰も納得しないですよね。
あ~なるほどね~。となりませんよね。。。
これが定性評価の難しいところで、
そもそも前提としてこのような性質の試験内容は完璧にかつ公平に採点することは不可能なのです。だから、採点内容を意図的に隠しているわけではなく、公開できる形の情報にならない。というのが恐らく本当の理由だろうと思います。
試験そのものの説明が不十分で詳細を把握できない
最後の項目になりました。
これは確かにそうでした。
ここに関しては皆さんの不満が痛い程分かりますし、東京都も委託業者も確実に怠慢だと言えるでしょう。
あまりにも情報が無さすぎる!!!!!!!!(怒)
引用:東京都教育庁指導部指導企画課
お知らせ・・・
(試験内容そのものの詳細が何もない、ただの一方的な通知に見える)
お知らせは分かりました!こういう試験やるんですね!理解です!!
じゃあ、試験の内容はどんな感じになるんですか?
引用:東京都教育庁指導部指導企画課
過去3回分の試験内容が見れますよ(^^)/
・・・はい。では、どういう対策をしたらいいんですか?
こちらです!!!
引用:東京都教育庁指導部指導企画課
このサイトで対策してみてくださいね!とのことです。
・・・・・さすがの私も絶句です。
過去3回分の試験見てみましたが、
一番最近の令和3年分のものの試験一部の内容に大幅な変更がありました。
しかも圧倒的に難化しているという事実。。。
大きな変更なので、結果的にサンプルテストは1回分しかないように思えます。
では、対策のサイトはどうでしょう。
確かに試験慣れという意味では良い練習にはなりそうですが、
練習問題と解答例しかなく、
根本的な英語力をどう上げていくべきか
ということには一切触れていません。
(大体、実際にスピーキングにせずに英語話せるようになるわけはないですよね)
こんな問題出るよ~
そして、こんな解答例だよ~
この動画で対策したとして、本当に満点取れるのかということを是非検証して欲しいなと思います。(絶対に無理です)
英検でもTOEICでもこの試験でも何でもそうですが、
根本的な英語力が向上しないと、試験慣れだけじゃどうにもなりません。。
本来このような試験を実施するならば、
根本的なスピーキング力はこうやって伸ばしていくものだよ!
というものをもっと丁寧に教えるべきです。(さすがにこれは呆れる)
まとめ
長くなってしまったので、一旦この辺りでまとめたいと思います。
賛否両論の実態や、その理由がたくさん見えてきたかと思いますが、
改めて記事の内容を個人的な意見を踏まえて整理してみたいと思います。
①日本の英語教育(リーディング・リスニングのみ試験)は、もう現状のグローバルスタンダードからかなり遅れてしまっている。
②今後日本人がグローバルスタンダードの最低基準を満たす上での必要な英語技能として、「スピーキング・ライティング」の学習機会の創出(=試験導入)は避けられない。(先送りにしてはいけないと感じます)
③その上でスピーキングやライティングという技能の性質を正しく理解し、採点基準や採点内容の不公平性は理解した上で学習に取り組むべき必要がある。
④地方自治体や文科省等も、それらの学習をしっかりサポートできる体制を早急に構築していく必要がある。(現状はあまりに不十分)
その上で今回最後に、お伝えしたいのは1つです。
英語4技能の習得は皆さんが思っているほど難しくはないということです。
私は今まで、受験英語やTOEIC対策、IELTS対策、ビジネスでの利用等、様々な目的の上で英語学習を指導してきました。
ではそれらの異なる目的によって、学習方法が大きく変わるのか?と言えば、ほとんど変わりません。
だって、英語もただの言語です。
英語だけではなく、言語を習得する際にどんなことが必要なのかな?ということを突き詰めて考えれば考えるほど、解はシンプルです。
私も普段から英語学習はシンプルだよ~と教えています。
ESAT-Jの試験内容を見た方は分かると思いますが、一見すごく難しそうですよね?
でもしっかり見てみると、大したことは求められていないのです。
問題毎にどんな能力がどの程度問われているのか
それをまず理解することが出来れば、きっともっと気楽に試験に臨めるはずです。
私たちMONEY ENGLISHでも、ESAT-Jの対策がしたい。。!というお問合せやご相談が最近数多くあった背景もあり、実は対策コースを開設しました。
対策コースの価格は少し高いですが、付け焼刃ではない、本物の英語力を身に付けてもらいたい。そして、勿論試験でもいい点数を取ってもらいたい。
そんな気持ちで、真摯に対策カリキュラムを考案しました。
もしプロの力を借りて、短期で対策したい!という方は勿論お待ちしておりますが、それを伝えたいわけではなく、英語学習はシンプルで簡単なものなんだよ。ということをお伝えしたいのです。
ESAT-J試験の対策をこれから始めなきゃな。。と思っている方は
まず、試験の内容をしっかりチェックしてみることをお勧めします。
(対策レッスンをしなきゃな。。と思っている教職員の方も同じくです)
思っているよりも求められているレベルは低いですし、
問題そのものは非常にシンプルです!
脳死的に拒否反応を示すのではなく、まずはそのマインドブロックを取り外し、問題を理解するところから始めてみてください。
その為には、繰り返しになりますが、
英語学習の今後の有用性や、試験内容の本質的な理解、その他今回記事でお話したことが少しでもあなたのマインドブロックを取り払う手助けになっていれば幸いです。
もし少しでも面白いなと思っていただけていれば、アカウントのフォロー、記事のシェア等よろしくお願いします。
それでは、また次回の記事で皆さまに会えることを心より楽しみにしています。
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